2017-12-24 @みなとみらいホール
サッシャ・ゲッツェル:指揮
読売日本交響楽団
合唱=新国立劇場合唱団
ソプラノ=インガー・ダム=イェンセン
メゾ・ソプラノ=清水華澄
テノール=ドミニク・ヴォルティヒ
バス=妻屋秀和
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調 作品125「合唱付き」
22日の神奈川フィルと同じく読響でも体調不良により急遽指揮者が交代した。エマニュエル・クリヴヌに代わったのがサッシャ・ゲッツェルだ。クリヴヌ(仏国立管弦楽団音楽監督)という人はまったく知らないが、ゲッツェルは昨年度まで神奈川フィルの首席客演指揮者をしていたので、相当回数聴いている。僕の印象では、正統的な王道を行くという感じで、好感を持っている。
まあ、その一方で、変わり種の「第九」も聴きたくて仕方がないから、仏訛の「第九」も良かったかなとちと残念でもある。
正確な弦の編成は分からないけど、コンバスが6本、Vn1が12本、Vn2が10本、VlとVcが各8本だったと思う。神奈川フィルと同じような規模で、決して大編成ではない。管・打楽器の編成からしても本来はせいぜいこの程度、いや、これでもベートーベンの時代より多いのかもしれない(いずれにせよ、好みの席が1階中央前寄りなもので弦楽器はコンバスのほかは舞台最前列に並んでいる分しか数えられない。その内側は奏者が重なっているのでよく分からない。)。
これまでの経験では弦の多数は(極端な差ではない限り、12本であろうと16本であろうと)あまり音圧に決定的ではないように思う。迫力を感ずるのはやはり管や打楽器の数かな。
昨日の日フィルに比べて明らかに弦編成の規模は小さかったが、音圧は負けていなかった。
また合唱団も60名位しかいなかったのではないか。この年末の「第九」は今日で4回目だが、目下のところ一番規模が小さい。しかし、4回目にして初めてのプロ合唱団で、これはなるほどと思わせる出来栄えだった。東響と組んだ東響コーラスもアマチュアとも思えなかったが、こちらは160名ほどの大合唱団だ。それに引き換え半分以下の小規模合唱団が勝るとも劣らない迫力ある合唱を聴かせた。
また、声楽ソリストも全員がバランスの取れた良い出来だった。
さて、肝心の音楽は、やっぱり、そうか。という演奏で、テンポは中庸。わざとらしさやいやらしい演出などの外連味はゼロで、堂々たる「第九」だと感じた。
第2楽章が終わった時点で独唱者が入場し、その間隙を縫ってチューニングもしたので、ここでは少し間が伸びた…といっても時計を見ていたら1分前後なのだけど。
第3楽章をゆったりと歌わせ、終わるや否や終楽章に突入したのは正解だ。こうでなくっちゃ。低弦のレシタティーヴォは、まるで自分が頭の中で歌っているのと同じようなフレージングでツボに嵌ったようで心地よい。
全曲終わって時計を見たら所要時間71分だった。
やはり、オーソドックスな「第九」はこの程度の時間を要するものなのかもしれない。
♪2017-210/♪みなとみらいホール-53