シャルル・デュトワ:指揮
NHK交響楽団
ピエール・ロラン・エマール:ピアノ*
ラヴェル:古風なメヌエット
ラヴェル:組曲「クープランの墓」
ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲ニ長調*
ラヴェル:道化師の朝の歌
ラヴェル:スペイン狂詩曲
ラヴェル:ボレロ
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アンコール*
ブーレーズ:12のノタシオンから第1、4、5、2番
デュトワ指揮で全ラヴェル6曲。
聴き始めは大いに違和感を感じて好きじゃなかった左手Pf協奏曲。本当に左手しか使えない人が弾くなら分かるが両手使えるのに右手を封じて左手だけで弾くというのも妙なことだ。でも、多分、両手を使うとかえって弾きづらいのかもしれないな。何であれ、ラヴェルは左手しか使えなくなったピアニストの依頼を受けて作曲した。やってみると左手だけという制約がむしろ創作欲を刺激して名作が出来上がったという訳だけど、ピアノっていう楽器は両手使って弾くものであり、そうすることで初めてその楽器の能力を発揮できる。片手を失くしたピアニストには気の毒だけど、サロンのような場で残存能力を親しい人達に披露するのはいいとして、一般公開の場で片手演奏を披露するのは如何なものか。左手のためのピアノ曲はその後も何人かの作曲家が委嘱を受けて、あるいはこの作品のような先例に触発されて作曲していて、現に聴いたこともあるけど、やはり、ピアノは両手で弾くものではないか。
…という引っかかりがあって、どうも素直に聴けなかったのだけど、これが馴染んでくると結構すごい作品でとても片手で演奏しているとも思えないものだ。ピアノを使い尽くしているようでもあって、これはこれで十分に鑑賞に耐えるものだと思えるようになってきた。ま、完全に納得できている訳ではないが、とにかく、この頃は素直に良い音楽だと思いながら聴ける様になった。
今日も、本来は両手が使えるP.L.エマールが熱演した。大いに良かった。
シメはアマチュアがやってもハズレ無しの名曲「ボレロ」。今日の演奏が特別とは思わないけど、頂点目指すあのリズムの繰り返しにいつも原始脳をやられてしまう。