2014-12-19 @県民ホール
小泉和裕【特別客演指揮者】
佐々木典子(ソプラノ)
手嶋眞佐子(メゾソプラノ)
福井敬(テノール)
小森輝彦(バリトン)
神奈川フィル合唱団(合唱)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ベートーべン:交響曲第9番ニ短調Op.125 「合唱付」
神奈川フィルの定期コンサートが、メインのみなとみらい定期のほかに、今年から県立音楽堂と県民ホールでの演奏会(の全部ではない)が、音楽堂シリーズ、県民ホールシリーズという形に定期化された(これまでも両ホールで演奏会は広く行われていたけど、「定期」外の特別演奏会という位置付けだった。)。
音楽堂シリーズは既に5月に始まったが、県民ホールシリーズの方は今日が第1回めだった。
その記念すべき第1回定期の演奏曲目が「第九」とはまことにふさわしいスタートになった。
3つのホールはそれぞれに味わいがあって、同じオケを異なるコンサートホールで聴くのは楽しい。
館内の色彩は黒、淡いベージュ、臙脂の系統で統一され、舞台の床まで黒い。
たいていのコンサートホールは木目調だから開設40周年(の節目にリニューアルされた。)を迎えた歴史のあるホールだがデザインの斬新さはなお健在だ。
さて、年末の「第九」も今日で2回め。
何度聴いても飽きることはないけど、だんだん感動が遠ざかっているような気もする。毎年年末に健康で「第九」を聴けることに感謝せねばならないと思うけど、本音を言えば3回も聴けばいいかとも思う。でも、次回の横響の「第九」は楽しみにしている。
今日、良かったこと。
まずは音がきれいに響いていたこと。
県民ホールはみなとみらいホールより500人近く客席数が多いが、NHKホールをモデルにした客席設計のせいで客席も横に長い分、3階席でも案外舞台が近い。
そのため音が遠いという感じは全くなく、適度に残響も効いて不満なし。
合唱団は小振りで120人程度(前回のみなとみらいホールでの日フィルの合唱団は200人くらい。)だったが、特に音量に不足は感じない。
合唱団は全員が最初から登壇した。
この程度の規模だと出番まで座って待っておれるから最初から登壇した方がいいに決まっている。
問題はソリストがいつ登壇するか、だ。
これが気になるところだったが、今回は第2楽章が終わった時点で静々と入って着座したのは良かった。やはり、ここだ。
「第九」には音楽の分かれ目というのがある。それは第2楽章と第3楽章の境目にあるんだ。
この結果、第3楽章が終わるとほんの一呼吸で第4楽章に突入したのはうれしい。「第九」はかくあるべきという形だ。
残念なこともあった。
第3楽章、ホルンの聴かせどころがあるが、音がひっくり返ってしまった。音階練習みたいなフレーズで、楽譜の見た目にはもっとすごい難所はあるのだけど、この部分の失敗例はほかでも聴いているので、ホルンにとっては特に音が出しにくい音域なのかもしれないが。
とはいえ、いつも気になる、気にする第4楽章の低弦も実にきれいな音で満足。声楽ソリストも声量たっぷり。合唱団も力いっぱい。終わりよければすべてよし。
♪2014-117/♪県民ホール-03