2015年1月24日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団第305回定期演奏会

2015-01-24 @みなとみらいホール


サッシャ・ゲッツェル(首席客演指揮者)
チーデム・ソヤルスラン(ソプラノ)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

コルンゴルト:組曲「シュトラウシアーナ」
R.シュトラウス:4つの最後の歌
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 (ノヴァーク版)


神奈川フィル「みなとみらい」定期としては今年最初の演奏会であり、指揮者サッシャ・ゲッツェルがウィーン出身ということもあったのかもしれないが、今回は「ウィーン関連でまとめました」というところか。

●コルンゴルトはオーストリア人で、ウィーンで活躍後、ハリウッドに渡った人だ。この人の作品は何故か最近聴く機会が多い。
もっとも、組曲「シュトラウシアーナ」はその存在さえ初めて知ったくらいだから聴くのも初めて。
コルンゴルトは、ウィンナ・ワルツ王ヨハン・シュトラウスⅡに大変傾倒していたらしい。「シュトラウシアーナ」は、そのシュトラウスⅡの作品をアレンジしたもので、3つの部分で構成されている。

1ポルカ、2マズルカ、3ワルツだ。
原曲がヨハン・シュトラウスⅡなので、全体を通してとても軽妙だ。でもわざわざ、1953年に至って作曲(正しくは編曲?)する以上、やはりオーケストレーションに新しさがあり、ハープやグロッケンシュピールなどを使って全体に華やかになっている。
コルンゴルトはこの曲に先立ってピアノ曲で「シュトラウス物語」という作品も同じ趣向で作曲しているというから相当なシュトラウス党だったのだろう。

●R・シュトラウスはオーストリア人ではなくドイツ人だ。といってもかつてドイツとオーストリアは同じ国であったのだから、今回のプログラムは「ウィーン」で束ねてみたというより、「ドイツ語圏」で束ねたという方が正確だろうが、そういう束ね方にあまり意味があるとも思えない。何しろ、バロック以降の作曲者リストを作ればその大半はドイツかオーストリア出身だから。

でも、R・シュトラウスがウィーンを活躍の場(の一つ)としていたことは確かなので、「ウィーン」関連であることには間違いない。

この「最後の4つの歌」はR・シュトラウスらしい大規模な管弦楽を伴奏にするソプラノ歌曲集だ。
死の前年(1948年)に作曲されたもので、事実上最後の作品(彼の死後もう1曲歌曲が作曲されたことが発見された。)だ。

4曲セットで、初めの3曲(春・9月・眠りにつく時)はいずれもヘッセの詩に基づいている。
最終曲(夕映え)だけアイヒェンドルフの詩に作曲したもの…と言ってもそんな詩人は知らなかったけど。
現代の作品だが、調性もギリギリ保っているようで、おっとりしたきれいな曲だ。特に最終曲が心平安にして死に臨むといった曲想のようできれいなソプラノと相まって好感が持てた。


●ブルックナーの交響曲第9番は、10曲ある交響曲中最後の作品。書くつもりの第4楽章がまったく進まず第3楽章までの未完成で終わっている(第0番があるので第9番までで全10曲)。
どういう訳か比較的聴く機会が多い。
だが、率直にいって、なかなか喰い付いて行けない。
大げさで虚仮威しのような部分があるかと思えば、えらく鎮静してしまったりして、未完成と言っても60分を超える長大曲であるので、どうも緊張感の維持が難しいような気がする。

第4番(ロマンティック)や第5番などは親しみがあるので生のオーケストラで聴くのは大いに楽しみなのだけど、第9番はしばらくは僕の鬼門かも知れない。

いや、はっきり言えば、今日の演奏は、僕の緊張感もいまいちだったけど、演奏している側も緊張の糸が途中でほつれでしまったような気がした。技術的なミスではなく、演奏者全員の呼吸が途中から揃わなくなったような気がしたのは、僕の方の呼吸が演奏にシンクロできなかっただけなのかもしれないけど。

♪2014-10/♪みなとみらいホール-04