2023年12月10日日曜日

フォーレ四重奏団演奏会

2023-12-10 @みなとみらいホール



フォーレ四重奏団
 バイオリン:エリカ・ゲルトゼッツァー
 ビオラ:サーシャ・フレンブリング
 チェロ:コンスタンティン・ハイドリッヒ
 ピアノ:ディルク・モメルツ

マーラー:ピアノ四重奏曲断章イ短調
フォーレ:ピアノ四重奏曲第1番ハ短調 op.15
ブラームス:ピアノ四重奏曲第1番ト短調 op.25
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ドボルザーク(クライスラー編):「我が母の教え給いし歌」
フーベルト:フォーレタンゴ
フォーレ:夢のあとに



フォーレ四重奏団は、いつ頃からか知らないけど(コロナ期を除き)ほぼ毎年来日しているようだ。みなとみらいでも少なくとも過去2回は公演をしているが、それを聴き逃したなんて実に惜しいことをしたよ。

僕にとっては、21年冬のフィリアホールに次いで2回目。
前回があまりに素晴らしかったので今回の期待値は高かったが、見事にクリアして大満足。

フィリアでは、コロナ禍で前2列が封鎖。3列目が実質最前列でその真ん中で聴いた。今回もかぶりつき中央で。
Vnのエリカ・ゲルトゼッツァーとは何度か目があったが、「あなた、覚えていますわよ」という風な表情だったのは、もちろん、気のせいだけど。

全員基本黒装束だが、バイオリンは靴とイヤリングと袖口のボタンが、ビオラはポケットチーフが、チェロは靴下(とたぶん上着の裏地)が、ピアノは上着袖口ボタンが、いずれも赤だ。これは一昨冬と全く同じ。
まあ、おしゃれなお遊びだが、演奏は、各人が個性的であるのに、ピッタリと息が合っている。
28年間もメンバーが入れ替わっていないのはリーダーを置かず、みんな自由にやっているからという趣旨を過去放映のインタビューで応えていたが、まさにその<意気>で<息>を合わせているのだ。

今回は、みなとみらい小ホールという室内楽に絶好の場所を得て、フィリアより一層柔らかな音だった。それでいて、Pfのフォルテやチェロの4弦がビリビリと響き渡る。

14年(21年も)来日時の放映録画を残しているが、その時と実際に聴いた21年、そして今回に共通するプログラムはブラームスの1番だ。前回は「展覧会の絵」という大物があったので、ブラームスは前半に演奏されたが、今回はこれがメインとなった。

あらゆる作曲家のピアノ四重奏曲中、最も演奏回数が多い作品ではないか。シェーンベルクが編曲した管弦楽版もずいぶん何度も聴いているが、やはりオリジナルがよろしい。

どの楽章もブラームス調で溢れているが、特に第3楽章の郷愁を感じさせる旋律。長く続く弱音が事切れるや終楽章は打って変わってブラームス面目躍如のハンガリー舞曲を思わせるロマ調の哀愁に満ちた激しい楽想がもうたまらぬ。

縦も横も、「合っている」と感ずる隙さえ与えない見事なアンサンブルに痺れるのみ。

アンコールなんていらない!と思ったが、始まってみるとなかなか面白い。初めて聴くフーベルト:フォーレタンゴはその名のとおりフォーレ四重奏団に献呈されたものらしい。
今回もラストは「夢のあとに」で締めて、帰り道はホンに夢のあとの心地良さ。

♪2023-214/♪みなとみらいホール-46