2015-07-04 @県立音楽堂
広上淳一:指揮
石田泰尚:バイオリン【ソロ・コンサートマスター】*
門脇大樹:チェロ【首席チェロ奏者】*
古山真里江:オーボエ【首席オーボエ奏者】*
鈴木一成:ファゴット【首席ファゴット奏者】*
細川俊夫:冥想 (日本初演)
ハイドン:協奏交響曲 変ロ長調 Hob.Ⅰ-105*
ハイドン:交響曲第100番「軍隊」
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アンコール
ハイドン:ディベルティメント*
細川俊夫という作曲家については全く知らなかったが、映画「死の棘」や「眠る男」の音楽も手がけているので、少なくともこれらは聴いたはずだけど、映画を観る時に作曲家はほとんど意識しないものなあ。
「瞑想」は東日本大震災の被災者に想いを寄せて作曲した作品だそうだ。本日、神奈川フィルによる日本初演に立ち会うことになった。
全体として津波の恐ろしさや、命を奪われた人達に対する鎮魂、祈りが現代音楽として表現されている。まあ、やや、重苦しいかな。
その後で、ハイドンが続くと救われた感じだ。
協奏交響曲変ロ長調はホーボーケンの番号からも分かるが、交響曲第105番ともカウントされているが、オーボエ、ファゴット、バイオリン、チェロが独奏楽器群で、これとオーケストラが協奏する全3楽章。典型的な交響曲のスタイルとは異なるので「協奏交響曲」と言われるのだろう。
4人のソリストのみによる室内楽的な部分も置かれている。
全体として、軽い。明るい。
ここでは調性を持った簡明な音の交わりが面白い。
ハイドンならではの魅力だ。
交響曲第100番ト長調は108曲もあるハイドンの交響曲の中で、第88番「V字」、第94番「驚愕」、第104番「ロンドン」などと並んでポピュラーな方だろう。
もっとも、このような「愛称」が付いていなければとても108曲を区別することはできない。愛称が付いているのは28曲だけだから、残る80曲の中にもチャーミングな作品は現にあるのだけど、コンサートではほとんど取り上げられないし、CDで聴いて魅力を感じても数が多すぎて覚えられない。
もう、何年も前にハイドン全作品CD150枚セットを購入して、交響曲については第1番から順番に聴いているけど、この昇順聴破は時にザロモン・セット(第93番以降)に飛んだりするので、第66番で止まっており、僕にとって70番~80番台にはなかなか届かないでいる…。
と、いうのは余談だ。
この第100番が「軍隊」と呼ばれるようになった理由は、トライアングル、シンバル、大太鼓というトルコ軍楽隊発祥の楽器の組合わせが第2楽章、第4楽章に取り入れられているからだそうだ。
後期ロマン派以降の多種多様な楽器編成と大規模な管弦楽に慣れた耳にはこのような楽器が混じっているくらいでは少しも奇異に感じないのだけど、当時の管弦楽の編成からは非常に斬新だったのだろう。
ここにもハイドンの工夫や遊び心が現れている。
音楽堂はとても残響が短くてオーケストラの響も固く聴こえるのだけど、この日はお湿りもあって、そのせいか分からないけど、いつになくまろやかな響だった。
もちろん、広中御大のエネルギッシュな指揮が神奈川フィルから豊かな響を引き出したののかもしれないのだけど。
♪2015-61/♪県立音楽堂-06