2022-12-13 @新国立劇場
東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団
ドン・ジョヴァンニ⇒シモーネ・アルベルギーニ
騎士長⇒河野鉄平
レポレッロ⇒レナート・ドルチーニ
ドンナ・アンナ⇒ミルト・パパタナシュ(19年12月新国で椿姫も。エレオノーラ・ブラットから変更)
ドン・オッターヴィオ⇒レオナルド・コルテッラッツィ(ジョヴァンニ・サラから変更)
ドンナ・エルヴィーラ⇒セレーナ・マルフィ
マゼット⇒近藤圭
ツェルリーナ⇒石橋栄実
モーツァルト:オペラ「ドン・ジョヴァンニ」
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉
予定上演時間:約3時間25分
第Ⅰ幕95分
--休憩25分--
第Ⅱ幕85分
モーツァルトの音楽は大好きだが、彼のオペラはその内容にしっくりこない。オペラとなると途端に彼の人間性が遠ざかってしまう。
しかし、今日の「ドン・ジョヴァンニ」は結構楽しめた。
2019年と同じ演出・舞台美術なのだけど、今回は、一皮剥けた感じだった。キャストが良かったか?
ドンナ・アンナ役はミルト・パパタナシュに変わった。彼女は2019年の新国「椿姫」でもタイトルロールを歌っていて好感しているが、この役は年齢的には薹が立ちすぎかも…。
なんて考えていたら、このオペラの主役は誰なんだろうという疑問に発展。ドン・ジョヴァンニはもちろんとして、レポレッロもドンナ・アンナもドンナ・エルヴィーラも揺るがせにできない役だ。
そう思わせるところが、脚本と音楽の巧さなのかも。
さて、ドン・ジョヴァンニが地獄に落ちる際の態度は決然としていない。駄々っ子が意地を張っているようにしか見えない。これは過去に観たどんな演出でもだ。脚本がそうなっているからだろう。また、今回も地獄落ちの後、脳天気な6重唱で終わった。
それが普通だけど、この6重唱は初演時にはなく、ウィーン再演時に興行的配慮から追加されたようだ。
ドンジョヴァの覚悟不足と相まって、6重唱で締めることで本作全体の性格を曖昧にしている。
一度、ドン・ジョヴァンニが決然と堂々と地獄へ堕ちてゆき、そこで幕となる演出で観たいものだ。
演出といえば、今回もグリシャ・アサガロフの演出は気を衒わない分かりやすい演出だが、舞台をスペイン・セビリアからイタリア・ベネツィアに変更している。彼にとっては意味があってもお客には変更した意図が伝わらない。そればかりか、今回気がついたが、レポレッロはカタログの歌で「スペインでは既に1003人」と在スペインを前提に歌うので設定が破綻している。ゴンドラでの登場もその後全く生かされていない。
♪2022-190/♪新国立劇場-014