2022年12月23日金曜日

「第九」2022-❼ 新日フィル「第九」特別演奏会 2022 アドバンスクリエイトクリスマスコンサート

2022-12-23 @みなとみらいホール



佐渡裕:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

ソプラノ:高野百合絵
メゾ・ソプラノ:谷口睦美
テノール:福井敬
バリトン:平野和
合唱:二期会合唱団/栗友会合唱団

ベートーべン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125



今年の「第九」は今年5回目である秋山「第九」がそれまでにない上出来だったが、翌日同じ場所で聴いた東フィルが僅差(合唱力の差)で更に上回った。
そして、今日、佐渡裕の新日フィルがみなとみらいホールという最良の場所を得て記憶に残ると思わせる名演を聴かせた。

新日フィルは、時に、こんな演奏ができるのか!と驚かせる。井上道義との5月定期、6月のデュトワ公演然り。

佐渡裕はがたいが大きいので、みなとみらいホールの大舞台によく似合う。立っているだけでもオケを掌握しているふうに見える…いや、実際細部までコントロールが効いていたのだろう。

3楽章のゆったりとしたテンポ、3-4楽章をアタッカのように半呼吸で続けたのも、終楽章の低弦のレシタの王道の歌わせ方も秋山御大と同じ感じで、全体の演奏時間の両者の差は1分未満…と言ってもこれは測定誤差の範囲内。つまり、全体の音楽構成は両者がよく似ているなと思った。

変わっていたのは低弦の歓喜のテーマに入る前に短く休止したこと。楽譜上は休符もないけど、誰の演奏でもここは一呼吸置くところとは言え、佐渡は明らかな区切りを置いた。否定から肯定への区切りをキッパリさせたのか。

独唱陣中、僕の好みのMrテノールと言いたい福井敬が、今日も煌めいてた。

合唱は、P席を全部潰して市松配置。加えて舞台最後部の上手下手に分かれて配置。そこに挟まれるように独唱陣。
見た目にも頼もしい布陣だ。
100名を超える二期会・栗友会混成も、難所を難なくクリアして見事な出来。もちろんNoMask、NoScore。


みなとみらいホールは僅か6日前に日フィルを聴いたばかりだったが、その後今日まで県民ホール、武満メモリアルで2日連続で聴き、今日、またみなとみらいホールの1F席の入り口に立って、適度なスロープを持って広がる大空間を前にした時、やっぱり、オケを聴くならここだな、と思った。

残響まみれではない適度な原音と残響の混じり具合、弦の共鳴・共振が産む豊かな味わいは上手なオケを一層引き立てる(失敗には容赦ないとも思うが。)。

大きな佐渡氏が、大きな舞台で、大きな音楽を、美しくホールいっぱいに響かせた。

演奏好感度★95点

余談:
第2バイオリンのトップは前N響第2バイオリン首席の大林修子さんの客演だった。あら懐かしや。昨年末のN響サントリー「第九」が卒団の舞台で、僕も客席から大きな拍手で送り出した。そして今日はようこそみなとみらいへ!と大きな拍手を送った。

♪2022-202/♪みなとみらいホール-12