2022年12月14日水曜日

第1973回 NHK交響楽団 定期公演 B-1

2022-12-14 @サントリーホール



ファビオ・ルイージ:指揮
NHK交響楽団
河村尚子:ピアノ*

グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18*
ドボルザーク:交響曲第9番ホ短調 作品95「新世界から」
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ラフマニノフ:幻想的小曲集-「エレジー」作品3-1*


ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番とドボルザーク:交響曲第9番「新世界から」を中心とするプログラム。

最近、厚化粧が厚着をしたようなオタク向け作品を聴く機会が多かったので、今日のようなat Homeな名曲集が心に沁みたよ。

冒頭のグリンカ:「ルスランとリュドミーラ」序曲が超速だが、弦5部の刻みがピッタリあってワクワクさせる。

昨日の都響も良いアンサンブルだったが、今日のN響を聴くと合奏力の差は如実…。

次のラフマニノフは河村ちゃんの愛嬌のある笑顔に相好を崩しながら彼女の世界に惹き込まれた。何度も聴いているのに発見があった。

ただし、いつものことだが、サントリーホールのピアノの響はまことに薄っぺらい。石のように硬く重い。高域だけ、かろうじてキラキラしているが、中低域はおもちゃのピアノかと思うよ。誰も問題にしないのが不思議だ。

「新世界から」は細部まで神経が行き届いた名演だった。
忘れ難いものになると思う。
全体にアップテンポ。3楽章から4楽章への入りは半呼吸で。この感覚が好きだ。
ちょっと歌わせすぎな気もした。インテンポで良かったのではないかと思う箇所もあったが、僕の好みどおりという訳にもゆくまい。

チェロの首席は神奈川フィルの門脇氏だった。6日にリサイタルを聴いたばかり。地元オケの面子がN響に客演するなんて嬉しいね。

それで特に耳を澄ませていた訳ではないけど、2楽章の最後のイングリッシュ・ホルンのソロに合わせて、弱音器付きの弦が2プルト〜1プルトと編成を小さくしながら、最後はバイオリン1本とチェロ1本が歌う。


この部分のなんて美しいこと!もう、ゾクゾクしてウルウルしそうになった。
ま、そんな調子で普段なんとなく聴き流している部分に宝石が隠れていたな、という思いだった。

素晴らしい経験をしたのは良いが、これでまた鑑賞評価の基準が上がってしまった。容易なことでは満足できなくなるよ。

♪2022-192/♪サントリーホール-22