2022年7月13日水曜日

オペラ:ドビュッシー「ペレアスとメリザンド」

2022-07-13 @新国立劇場



大野和士:指揮
【演 出】ケイティ・ミッチェル
【美 術】リジー・クラッチャン
【衣 裳】クロエ・ランフォード
【照 明】ジェイムズ・ファーンコム
【振 付】ジョセフ・アルフォード
【演出補】ジル・リコ
【舞台監督】髙橋尚史

【合唱指揮】冨平恭平
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【ペレアス】ベルナール・リヒター
【メリザンド】カレン・ヴルシュ
【ゴロー】ロラン・ナウリ
【アルケル】妻屋秀和
【ジュヌヴィエーヴ】浜田理恵
【イニョルド】九嶋香奈枝(7/6公演は前川依子)
【医師】河野鉄平

クロード・アシル・ドビュッシー
ペレアスとメリザンド<新制作>

全5幕〈フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間25分
 第1部 Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ幕   105分
  休憩                  30分
 第2部  Ⅳ.Ⅴ幕         70分


よく分からないけど面白さは期待以上だった。
生経験はデュトワ+N響(2014)の演奏会形式のみ。
専らパリ/オペラ座(2012)とエクサン・プロバンス音楽祭2016の録画を楽しんできた。

今回は、プロバンス版と演出も美術も全く同じ。
冒頭に少し違いを感じたがそれさえ自信がない。

そもそも、本作に<物語>はあるのか?
ケイティ・ミッチェルの演出は完全な読替えだ。
それも夢落ちなので、アンフェアな気もするが、曖昧模糊とした進行にそれなりの整合性を持たせるには効果的ではあった。

要は、マリッジブルーに襲われた乙女の脈絡のない漠とした不安・恐れだ。そこに合理性を求める必要はないと思う。


何が良かったか。

もう、ドビュッシーの音楽に尽きる。
僅かな幕間を除き鳴り続ける声とオケの頼りないの音の流れによる無限旋律は泡沫の夢そのもののようだ。

これを大野和士+東フィルが見事に美しく響かせる。

余談ながら、東フィルの演奏を2日で3度聴いた事になるが全てに驚きの出来栄え。

歌手陣も上出来。
ペレアス役Bリヒターは初めて。
メリザンド役KヴィルシュはN響でも聴いたのだけどすっかり忘れていた。
ゴロー役Lナウリは録画でずいぶん聴いていたが生は格別。

さて、予てからの疑問。なぜ「ペレ・メリ」なのか?内容からすれば「ゴロ・メリ」の方が相応しいのではないか?

原作を尊重しただけかもしれないが、タイトルロールが2人とも死んでしまうオペラは極めて稀だが、ドビュッシーは、ひょっとしてこの作品に「トリスタンとイゾルデ」を重ねていたのかもしれない。だとすれば、やはり「ペレアスとメリザンド」でなくっちゃ…。

♪2022-104/♪新国立劇場-10