2015年2月14日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団音楽堂シリーズ第3回定期演奏会

2015-02-14 @県立音楽堂


川瀬賢太郎(常任指揮者)
半田美和子(ソプラノ)
門脇大樹(首席チェロ奏者)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

リゲティ:ミステリー・オブ・マカブル
ハイドン:チェロ協奏曲第1番ハ長調Hob.VIIb:1
ハイドン:交響曲第60番ハ長調Hob.I:60「うかつ者」
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アンコール
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番からプレリュード


今日の3本はどういうコンセプトなのか。
プログラムには「音楽は全てお芝居だ」ということらしいが、相当無理がある。そんなことでこの3本がくっつくのならどんな3本だって組めそうだ。


ジョルジュ・リゲティ(1923-2006)という人の名前は初めて聞いた。
ハンガリーの超前衛作曲家だ(もっとすごい曲を書く人もいるとは思うけど。何しろ、ピアノの前で座ったきり音を出さないで帰る、という作品の<作曲家>もいると聞くから)。

トーン・クラスターとかミクロ・ポリフォニーといった技法の得意な人らしい。と書いたけど、説明能力はない。

「ミステリー・オブ・マカブル」はソプラノに管弦楽が伴奏?するスタイルだけど、歌う訳ではない。歌とはいえない。
呻き声、裏声、金切り声、雷声、嗄れ声、癇声、甲声、歓声、奇声、擬声、叫声、笑い声、濁声、怒声、喚き声…etc。およそあらゆる音を発してそのほとんどは意味が無い(ところどころ意味が聞き取れる場合があった。それは簡単な英語だったり日本語だったりするので。)。

不規則なリズム、というかリズムもないようなものだけど、こんな音楽を合わせるのは容易なことではないな。



でも、ソプラノも管弦楽も格別破綻もなく演奏が終わった。
面白かったか?と尋ねられたら、面白かったと答えよう。

7分程度の曲だ。
こういうとんでもない作品を、作ってみたいという気持はよく分かる。

次のURLはこの作品の一部だ。

リゲティの作品の中ではポピュラーな部類に入るらしいピアノ練習曲第13番「悪魔の階段」が以下のURLだ。
これなんかは「ミステリー~」に比べるとずっと分かりやすく面白い。

今回、NETでこの作曲家のことを調べて分かったのだが、なんと、映画「2001年宇宙の旅」でも彼の作品が使われているそうだ。
オーケストラのための「アトモスフェール」(1961)、オーケストラと声楽のための「レクイエム」(1965)、無伴奏合唱のための「ルクス・エテルナ」(1966)、3人の独唱者とアンサンブルのための「アヴァンチュール」(ノークレジット)(1962)だという。

この映画ではR・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りぬ」やJ・シュトラウスの「美しく青きドナウ」が有名だけど、リゲティの音楽が4曲も使われていたなんて大いにびっくり。

映画の公開は68年だから、監督のキューブリックは、出来たての、いわば評価の確立していない音楽を自作に使ったのだ。これも驚きだ。


ハイドンは2曲とも良かった。
チェロ協奏曲はどちらかと言えば第2番が好き(多分こちらがポピュラーだろう)で、第1番のナマは初めて聴いた。楽しめた。

交響曲第60番はハイドンのユーモアが溢れた作品だ。
元は劇伴音楽だったせいか、全6楽章構成という珍しい構成だ。
途中にも吹き出しそうな部分があるけど、とりわけ終楽章の仕掛けはおかしい。
僕は手持ちのCDで何度も聴いているから知っていたけど、初めて聴いた人は大いにびっくりして、事故が起こったと思うだろうな。
ハイドンて、ホンに憎いやつだ。


♪2015-14/♪県立音楽堂-01