2018-12-09 @国立劇場
●団子売(だんごうり)
靖太夫<杵造>・咲寿太夫<お臼>・亘太夫・碩太夫/
團吾・友之助・清公・精允
人形▶玉翔<杵造>・紋吉<お臼>
●解説 文楽の魅力
希太夫/寛太郎
人形▶玉誉
●菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
寺入りの段⇒小住太夫/寛太郎
寺子屋の段⇒前:千歳太夫/富助
後:睦太夫/清友
人形▶簑悠<菅秀才>・簑太郎<よだれくり>・文昇<戸波>・
豊松清十郎<千代>・和馬<小太郎>・玉峻<三助>・
玉也<武部源蔵>・玉輝<春藤玄蕃>・玉男<松王丸>・玉誉<御台所>・
その他大ぜい
「団子売」は歌舞伎では仁左衛門・孝太郎、猿之助・勘九郎のコンビで観たことがある。
歌舞伎では、このコンビの名前は「杵造」と「お福」だ。
お祝い事の舞踊劇で、筋書きらしいものはないけど、仲の良い夫婦が杵と臼で餅を搗くという所作だが、滑稽味もある。
文楽で観るのは今回初めてだったが、内容は同じだ。人形が踊ると人間が踊るより可愛げがある。
また、登場人物の名前が「杵造」は同じだが「お福」は「お臼」になっていた。「杵と臼」の役割どおりになっている。「杵と臼」が何を仮託しているかは見てのとおりだ。
五穀豊穣・子孫繁栄を祈る祝いの舞踊だというのが納得できる。文楽では「景事」(けいごと・けいじ)とも呼ばれているそうだが内容からは「閨事」でもあるような…。
今回の「〜手習鑑」は「寺入りの段、寺子屋の段」。
文楽では昨年5月に「茶筅酒の段、喧嘩の段、訴訟の段、桜丸切腹の段、寺入りの段、寺子屋の段」を、6月にも「車曳の段、寺入りの段、寺子屋の段」を観た。
やはり、寺入りの前段、特に「車曳きの段」や「桜丸切腹の段」を知らないと、「寺子屋の段」の痛切な哀しみは理解できないと思うが、そうであったとしても、忠義のために我が子を殺す話は現代では徐々に共感が得難くなってきているのではないか。
モーツアルトのオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」など、実に古い価値観で作られているので現代人の共感を得るために演出家が苦労するのと同じで、儒教の八徳(仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌)などを思想の根底に据えた物語は、だんだん普遍性を失って、やがては成立しなくなるかもしれないな…と思った。
鑑賞教室の楽しみの一つ。
大夫のほか、普段は口を開くことのない三味線方や人形遣いもマイクを持ってそれぞれも分野を説明してくれる。
今回は、吉田玉誉の解説が存外傑作だった。
♪2018-165/♪国立劇場-17