2018年12月24日月曜日

読売日本交響楽団第108回みなとみらいホリデー名曲シリーズ ---「第九」❹

2018-12-24 @みなとみらいホール


マッシモ・ザネッティ:指揮
読売日本交響楽団
新国立劇場合唱団

アガ・ミコライ:ソプラノ
清水華澄:メゾ・ソプラノ
トム・ランドル:テノール
妻屋秀和:バス

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125

まず以って、コンサートマスターがバイオリン界の「百済観音」日下紗矢子であることが嬉しい。
指揮は読響を初めて振るマッシモ・ザネッティ。

冒頭、原始の雲間を切り裂くように空虚5度が響いた。
この時点で、ただならぬ「第九」の展開が予想できた。
案の定、第2楽章が遅めのほかは他楽章はいずれもテンポが速い!

2015年末の上岡敏之指揮の読響「第九」を彷彿とさせる、疾走する「第九」だ。
楽章間の休止を除き正味61分、とこれまでの最速。
細部までザネッティの彫琢が施された独自な世界を日下が長い右腕をしならせてリードしエッジの効いた弦のアンサンブルを展開する。

尤も、中でも驚速22分の終楽章の采配には疑問も残った。

終楽章も冒頭からアップテンポだが、低弦のレシタティーヴォから主題提示までの「間」の取り方に自然な呼吸を感じなかったし、チェロ(+コントラバス)から順に引き渡される歓喜の主題がビオラまではえらく抑えられ主旋律より副旋律の方が目立った。
バイオリンに渡ってようやく痞(つか)えが下りる印象。
…と、終楽章の一部に不満も残ったが…。

全体として、テンション高い楽想に聴き手も心地良く引き摺り回された感じだ。特に弦楽がシャキシャキして美しくも力強い。日下がGood Jop。
独唱陣はオケの後方に位置したが、四声ともクリアで絡みも美しかった。新国立の合唱は
風圧を感じたが、ちと雑っぽさも。

やはり「第九」は読響か…90点。

♪2018-177/♪みなとみらいホール-42