2018年12月17日月曜日

国立演芸場12月中席

2018-12-17@国立演芸場


落語    入舟辰乃助⇒たらちね
落語            入船亭扇蔵⇒元犬
音曲バラエティ    東京ガールズ
落語            柳家さん八⇒短命
落語            古今亭志ん橋⇒岸柳島
     ―仲入り―
紙切り        林家楽一
落語           橘屋文蔵⇒道灌
曲芸           翁家社中
落語         入船亭扇辰⇒雪とん

今日も噺家がマクラで取り上げていたが、日本に落語家が800人(「前座」以上)いて、江戸時代以降で過去最大。空前の落語ブームだという。うち、東京に550人ほどが集中している。
彼らを階級制度(上方にはない。)によって区分すると、数字を丸めると「真打」350人、「二ツ目」120人、「前座」80人ということになる。

つまり、東京の落語界は完全に逆ピラミッドで、少子高齢化が甚だしい。「前座」から「真打」になれるまで、およそ15年。その前に見習いという期間もある。
中には「志ん朝・小朝・家禄」のように才能があって、「二ツ目」修行を4年前後で昇進した傑物もいるが、彼らは例外的存在だし、本当に力があるから問題ない。

しかし、年功だけで「真打」になった噺家こそ厄介な存在だ。
一度「真打」になると、「定年」がないから、死ぬまで現役だ。そして、近頃はなかなか死なない!

噺家希望者、入門者が増えると能力にかかわらず「真打」が増えることになる。「真打」の粗製乱造だ。

そこに反旗を翻した噺家たちがいて、主流派「落語協会」、準主流派「落語芸術協会」を飛び出し、現在のように「圓楽一門会」や「落語立川流」が生まれているが、東京の寄席(鈴本・浅草・末廣・池袋・国立演芸場)には「落語協会」か「落語芸術協会」のいずれかに属していなければ出られない。余談だが、なぜか「落語芸術協会」は鈴本には出ない。出られないのかもしれない。複雑な世界だ。
なお、立川流などはホール落語会などに活路を求めている。

ともかく、「真打」が粗製乱造されていることは今も昔も変わらない。結果、「落語」だけでは食ってゆけない噺家の方が多いというのが現実らしい。
噺家の暮らしぶりはともかく、落語ファンにとっても、お金を払って、前座、二ツ目の下手な芸を<噺家を育てるという寛容な気持ちで>聴いた後も次々と下手くそな「真打」の噺を聴かなければならないというのは悲しい。

今日など、まさにその図で、満足できたのは「紙切り」と「曲芸」だというのが情けない。


♪2018-173/♪国立演芸場-20