2019年9月5日木曜日

藤原歌劇団公演オペラ「ランスへの旅」

2019-09-05 @新国立劇場


折江忠道:総監督
園田隆一郎:指揮
松本重孝:演出

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:藤原歌劇団合唱部/新国立劇場合唱団/二期会合唱団

コリンナ:ローマの女流詩人⇒砂川涼子
メリベーア侯爵夫人:ポーランドの寡婦⇒中島郁子
フォルヴィル伯爵夫人:若い寡婦⇒佐藤美枝子
コルテーゼ夫人:金の百合亭主人⇒山口佳子
騎士ベルフィオール:仏士官。コリンナに愛⇒中井亮一
リーベンスコフ伯爵:ロシア将軍⇒小堀勇介
シドニー卿:英軍人。コリンナに愛⇒伊藤貴之
ドン・プロフォンド:文学者⇒久保田真澄
トロムボノク男爵:独陸軍少佐⇒谷友博
ドン・アルバーロ:スペインの提督⇒須藤慎吾
ドン・プルデンツィオ:医者⇒三浦克次
ドン・ルイジーノ:フォ〜夫人のいとこ⇒井出司
デリア:ギリシャ孤児。コリンナ下女⇒楠野麻衣
マッダレーナ:女中頭⇒牧野真由美
モデスティーナ:フォ〜夫人の小間使い⇒丸尾有香
ゼフィリーノ:使者⇒山内政幸
アントニオ:給仕長⇒岡野守
ほか

ロッシーニ:歌劇「ランスへの旅」
オペラ全1幕〈字幕付きイタリア語上演〉

予定上演時間:約3時間
第Ⅰ部105分
 --休憩20分--
第Ⅱ部55分

藤原歌劇団公演に二期会・新国も参加した大掛かりなプロダクション。
独唱者17人に合唱がついて目まぐるしく賑やか。
幸い同じ藤原歌劇団の同じ演出による2015年の日生劇場版を観ていたので筋書きは覚えているが、初めての人には特段の説明もなく話が進むので置いてきぼりにされるかもしれない。
ま、それでも構わぬ歌こそ命の歌劇だ。

1825年パリ近郊の湯治場、と言っても高級ホテル。
フランス王シャルルのランスでの戴冠式見物の為に同じ宿に集った紳士淑女たち。そこであれやこれやのプチ・ドラマが繰り広げられる。目的のランス行きが不可能となるもパリでもお披露目が行われると聞き安堵して、とりあえずランスへの旅の費用として集めたお金で大宴会を開くことになった。
ここまでも一言もセリフはなく、レシタティーヴォとアリアの連発だ。ともかく、次から次と歌に次ぐ歌。

クライマックスの大宴会で紳士淑女は出身国にちなむ歌を交代で披露する。実は、集まった紳士淑女たちはそれぞれ異なる国の出身者なのだ。この辺が巧い設定だ。

ドイツ人の男爵はドイツ賛歌、
ポーランドの公爵夫人はポロネーズ、
ロシアの伯爵はロシア賛歌、
スペインの海軍提督はスペインのカンツォーネ、
イギリス軍人は英国国歌、
フランスの伯爵夫人と騎士は二重唱でブルボン王家賛歌、
ティロル出身の夫人はヨーデル颯民謡
を歌い継ぎ、シメに即興詩人が全員の投票によって決まったお題を基に即興で「シャルル王」賛歌を歌い、最後は全員で「シャルル王」賛歌を歌って華やかに幕。

主要な17人の歌手の中には何度も聴いている人もいるが初めて聞く名前もあった。だが、みんな巧いことにいつもながら驚く。よく通る声で、ベルカントの難しそうな細かく早い装飾をコロコロ歌う。
独唱から二重唱、六重唱、果ては14人、17人の強力な合唱も実に聴き応えがあった。

中でも一番は主役格の砂川涼子。
この人はホンに何度も聴いているけど、今日はその実力を思い知らされた感がある。今年はまだ日生劇場の「トスカ」、紀尾井ホールでのリサイタルを追っかけなくちゃ!


♪2019-133/♪新国立劇場-09