2019-09-21 @国立劇場
嬢景清八嶋日記(むすめかげきよやしまにっき)
花菱屋の段
織太夫/清介
日向嶋の段
千歳太夫/富助
人形役割
花菱屋女房⇒文昇
花菱屋長⇒玉輝
肝煎左治太夫⇒簑二郎
娘糸滝(花菱屋)⇒簑紫郎
悪七兵衛景清⇒玉男
娘糸滝(日向嶋)⇒簑助
ほか
艶容女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ)
酒屋の段
靖太夫/錦糸
藤太夫/清友
津駒太夫/藤蔵
道行霜夜の千日
睦太夫・南都太夫・咲寿太夫・
碩太夫・文字栄太夫/
勝平・清馗・友之助・清公・清允
人形役割
半兵衛女房⇒簑一郎
美濃屋三勝⇒一輔
舅半兵衛⇒玉志
親宗岸や玉也
嫁お園⇒清十郎
茜屋半七⇒玉助
ほか
①嬢景清八嶋日記(むすめかげきよやしまにっき)
忠義一徹が仇で日向嶋に流された平家の武将・景清の元に父の仕官の費用を持参する娘糸滝との再会。しかし景清は武士の矜持が邪魔をして娘を蹴散らすように追い返す。
後で、そのお金は我が身を売って拵えたものであると知り既に岸を離れた糸滝の船に向かって「ヤレその子は売るまじ。娘よ、船よ返せ、戻せ」と慟哭。
このくだり、千歳大夫の叫びとも聞こえる渾身の義太夫が日本人DNAを鷲掴みにして胸を締め付ける(日向嶋の段)。
前段の「花菱屋の段」も、身を売らなければならなくなった糸滝の話に、店の面々が厚い情愛を寄せるところが、これまた胸が熱くなる。
②艶容女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ)
茜屋の若主人半七は女房お園を迎える前から芸者三勝に入れ上げ子供まで設けていたが、ひょんなことから恋敵を殺してしまう。その罪を被った父半兵衛、心ならずも離縁されたお園、行き詰まった半七と三勝は我が子をそっと半兵衛らに託し、霜の夜、自害する。
冒頭「酒屋の段」。店の留守を任された丁稚の能天気さ。そこに酒を買いに来た子連れの女。頼まれて酒を運んでやる丁稚。この謎めいた場面から始まる。
半兵衛が代官所から戻り、丁稚がなぜか子供を背負って店に戻る。そこに離縁されたお園が父親とともに茜屋を訪ねてから話は急展開し、引き込まれる。
ただ、この時点でも半七・三勝は登場しないというのが凝った作劇で面白い。
実話に基づいているというが、誰一人真の悪人はいないのに、歯車が少し欠けたか、登場人物の人生を狂わせてゆく人間の情のおかしさ。
♪2019-143/♪国立劇場-12