2019年9月8日日曜日

新日本フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会 第10回 サファイア<横浜みなとみらいシリーズ>

2019-09-08 @みなとみらいホール


上岡敏之:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

シューベルト:交響曲第4番ハ短調 D417「悲劇的」
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 WAB107(ハース版)

新日本フィルのみなとみらいホールでのコンサートは年に3回しかないが、いずれも上岡御大が大曲を振る。
しかも数日前にサントリーホールで演奏した同一プログラムを持ってきてくれるので、謂わば、サントリーでお客を入れたゲネプロで仕上げた状態のものを聴かせてくれるのだから実に嬉しい。
そしていつもみなとみらいホールで収録するのは演奏が十分出来上がっているというだけでなく、良い音響を求めてのことだろう。いずれにせよ、いつも力が入っているのが分かる。

昨日の神奈川フィルの際もホールは良く鳴った。
不思議なもので、ホール内に入った時から、今日も良く鳴るぞという予感があった。
透明な空気感でそう感じたが、案の定だ。

弦のアンサンブルが実に美しい。
管も良い響き。
両者が混じり合う時の交響的音響はこれぞ生オケを聴く醍醐味だ。もちろん新日フィルの実力あってのことだが、音楽監督上岡敏之の采配も的確なのだろう。いつも細部へのこだわりを感ずる。時に独自な解釈を聴かせることがあって、それが楽しい。尤も、今日はオーソドックスな演奏ではなかったかと思うが、何しろブルックナーは好んで聴く方ではないから標準形を知らないので。

いずれにせよ、かくも透明感を維持して、楽器本来の音の美しさを発揮してくれるとあまり好物でもないブルックナーさえも愛おしくなる。

新日フィルが横浜に来るときはいつも客演するホルンの日高氏(元N響首席)もやはり只者ではない。マーラー同様ブルックナーでもホルンは非常に重要な役割を担っている。
第一楽章の出だしでバイオリンの細かい刻みに乗ってチェロとユニゾンでホルンソロが響くところ、ここで気持ちが乗らないと先がしんどいが、見事な演奏だった。お、これで今日は楽しめるかな、という気にさせ、そして最後まで知的興奮が継続した。

先日の大野+都響のブルックナー第9番も久しぶりに都響にも底力があるなと感心した出来だったが、今日の新日フィルの巧さは格違いの気がした。
こういう演奏を聴くと、ブルックナーに対して抱いていたマイナス印象を払拭されてしまう?ようで、どうしよう…。

♪2019-135/♪みなとみらいホール-38