2014年7月5日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団第299回横浜定期演奏会

2014-07-05  @みなとみらいホール


田部京子:ピアノ
物集女順子:ゲストコンサートマスター
西本智実[ミュージック・パートナー]指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

チャイコフスキー:幻想序曲《ロメオとジュリエット》
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 作品16
プロコフィエフ:バレエ《ロメオとジュリエット》 作品64より
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アンコール
プロコフィエフ:ロメオとジュリエットから第18曲ガボット

今日は、指揮者が西本智実。コンサートマスター(ミストレス)は物集女順子、ピアノが田部京子と、主要キャストは女性ばかりだ。
安倍内閣の方針がここにも反映されているのは同慶の至り(^^;)。

グリーグのピアノ協奏曲を挟んで、チャイコフスキーとプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」だ。
西本智実はロシアで学んだ人だからロシアものは得意分野なのだろう。
宝塚歌劇のベルばらのオスカルを思わせるような容貌・風貌で、あるいは、固定ファンが多いのかもしれない。

チャイコの「ロメジュリ」は、オケは腕慣らし、観客は耳慣らし。
そうそう、こういう音楽だったなあ、という感じで可もなく不可もなく。ただし、サウンドはとてもきれい。

みなとみらいホール3階席最前列は舞台から遠いけど、音は程よく残響が交じり合ってまろやかで、喩え方が転倒しているけど、超HiFi装置で聴いているような耳障りの良い音がする。もちろん、日フィルの演奏レベルの高さもあってのことだけど。

<田部京子>

グリーグは20日ほど前に辣腕高校生のピアノで聴いたばかりだったが、やはり、プロのお姉さんの演奏を聴くと安定感がある。
田部京子って人のことは皆目知らなかったけど、プログラム記載の紹介を読むと学生時代は超優秀な成績を修め、国内外のコンクールでも記録破りの好成績を残している超優等生だ。たくさんのCDも出しているのに、なぜか、これまで縁がなかった。

グリーグでは、第1曲めのオケの編成に比べて6~7割に縮小されたのが意外だった。まあ、チャイコの「ロメジュリ」の規模が大きすぎるということもあるけど、弦楽5部に関してはなにも縮小することもないと思った。
第1バイオリン8人、チェロは5人、コンバスは4人など。
えらくコンパクトだ。

しかし、演奏を聴いてみると、むしろ、弦の各パートがくっきりして良かったように思った。ピアノも大管弦楽に埋もれること無く、明瞭な発音が聴こえたし、初演当時のオケの規模はこんなものだったのだろう。

                  <西本智実>

さて、今日のメインイベントは、プロコフィエフのバレエ音楽「ロメオとジュリエット」全52曲から13曲を西本智実が選んだもの。

プロコフィエフは管弦楽版「ロメオとジュリエット」組曲を第1番から第3番まで作り、さらにピアノ用の「『ロメオとジュリエット』から10の小品」も作曲(編曲というべきか)している。

また、今日のアンコールで演奏されたのは、本番では何故か省略された「ロメジュリ」の第18曲だが、これは逆に交響曲第1番第3楽章からの転用だ。

プロコフィエフって、よほど「ロメジュリ」(のメロディ)を気に入ったのか、省エネ志向なのか、使い回しが多い人だ。

ところが、13曲とはいえ演奏時間46分が予定されている長大な作品だ(尤も全曲だと2時間半)。
そもそも、馴染みがない曲ばかりな上に、1曲平均4分弱の作品が一呼吸置きながら延々と続く感じで、これでは、音楽的な構成感は全くつかめない。
バレエが演じられておれば、物語性が理解できるだろうけど、「劇伴」の「劇なし版」だから、こういう演奏形式って何か、無理があるような気がしたなあ。

そう思うのは、そもそも馴染めていないからというのが最大の原因ではあるのだけど。

バレエ音楽にはこのテのものが多い。
でも、プロコフィエフ自身も別途作曲(編曲)しているように「組曲」として緩急取り混ぜた6、7曲で構成してあれば、落ち着いて味わうこともできると思うが、13曲は多すぎた。
なぜ、組曲版を使わなかったのだろう?

という疑問が、途中から湧いてきて、なかなか楽しむというところには至らなかった。

全曲が終曲しても、観客はそこで「終わり」だと誰も自信が持てないから、拍手して良いものやら悪いものやら。
ようやく指揮者が客席に顔を向けたので、やっぱり終わったらしい、ということで、拍手が広がったが、ラストはカタルシスが得られるように明確なジェスチャーが欲しかったな。

いや、演奏は良かったのだ。日フィルはうまいなあとずっと感じながら聴いていたよ。それだけに残念感あり。

♪2014-67/♪ @みなとみらいホール-28