2014年7月6日日曜日

東京交響楽団 川崎定期演奏会 第46回

2014-07-06  @ミューザ川崎シンフォニーホール

小菅優:ピアノ
マーク・ウィグルスワース指揮
東京交響楽団

リスト:ピアノ協奏曲 第2番 イ長調 S.125
ワーグナー/フリーヘル編:
 楽劇「ニーベルングの指環」 
 〜オーケストラル・アドベンチャー〜
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アンコール
リスト:コンソレーション(慰め)より第3曲(ピアノソロ)


今日は、僕にとっては生で聴くのは初めての珍しい作品の組み合わせだった。

リストのピアノ協奏曲は、第1番が第2番との比較において極端に有名で、こちらはよく聴く機会があるが、第2番は存在は知っているし、CDも何かとの抱合せで持っていたが、ほとんど聴く機会もなく、今回の演奏会の耳ならしで初めて針を降ろしたようなものだった。

CDでは6トラックに分かれているので全6楽章のように見える(楽譜上も6つの部分に区分されているようだ。)けど、実際は全て続けて演奏される。

冒頭木管が、うっすらと空が明らんで来るようにボワ~と始まり、クラリネットが主要なテーマを奏で(これがその後もチェロの独奏に変化する)、ピアノがゆったりとアルペジオで入ってくる。

この第1部分だけがアダージョであるほか、第3部分がおっとりとしたチェロの独奏(主要テーマの再現)とピアノの対話を中心としてやはりテンポは緩やかだが、他の部分はずいぶん忙しい。全体は緩・急・緩・急・急・超特急という構成になっている。

その中で、ピアノだけが超絶技巧を見せるというのではなく、管弦楽の各パートもピアノの伴奏というより、対等な関係で全体の音楽を作っているようだ。

ソリストの小菅優はまだ若いのにだんだん貫禄が出てきた。出なくとも良い部分にも出ているが。


                                                         <小菅優>

その彼女の熱演も霞んでしまったのが、今日のメインプログラムだ。
ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」は4日間に分けて上演され、計15時間を要するという作品だが、その中から主要な14場面を抜きだし、組曲形式に仕立て直したものだ。
編曲者ヘンク・デ・フリーヘルのことは知らなかったが、現代の打楽器奏者であり、編・作曲家だそうな。

ワーグナーのオーケストレーションを可能な限りそのまま活かし、次の曲への移行部分を自らの作曲で繋いでいる。

楽劇「ニーベルングの指環」のコンパクト版という意味では、CDでカラヤンの指揮した楽劇「ニーベルングの指環」のハイライト版というのを持っており、時々睡眠音楽として聴くけどこちらは当然声楽も入っており、全部で19曲で構成されて80分を要するのでたいてい「神々の黄昏」に行き着く前に寝てしまっている。

今日のフリーヘル版には声楽は入らない。純粋に管弦楽のみで楽劇「ニーベルングの指環」の名場面を再現してくれるのだ。
全14曲の演奏時間は約70分だ。

これが、いわば至福の時であった。

「~指環」はDVD、BD、D-VHSでサヴァリッシュ、レヴァイン、ブーレーズ、ルイージと4組も持っていて少なくとも録画する度に一度は聴いているので、あらゆる歌劇・楽劇の中で一番視聴する機会の多い作品で、音楽を聴けば大体のシーンが思い出せる。

一度、ナマの舞台を4日間通して聴いてみたいと思っているが、そんな機会はきっと来ないだろう。

しかし、今日の「~指環」はそんな夢を少しは叶えてくれた。
これまでも、「ワルキューレの騎行」などは単独で聴く機会があったが、14曲「~指環」尽くしだ。

元々「~指環」には声楽ヌキの管弦楽曲として聴くにもふさわしいものがいっぱいあるので、少しの違和感も不足感も感ずること無く、延々続く70分の「~指環」の世界を堪能できた。


                                            <マーク・ウィグルスワース>

この演奏をするオーケストラの編成がすごい。
写真に撮ればそのまま楽器大図鑑になるような実に多彩な楽器のオンパレードだ。
トランペット、トロンボーンが各4本という数は驚くほどではないけど、その中に、バス・トランペット、コントラバス・トロンボーンなどという聞きなれない、見慣れないのが含まれている。
ホルンは9本でうち4本はワーグナー・チューバとの持替え。
ティンパニー2組、グロッケンシュピール、アンヴィル(金床)、ドラ等打楽器も多種多様。ハープは4台。木管も数が多くその中にバスクラリネットが混じっていた。

これだけの管・打楽器などに対抗して、弦パートも大所帯で、第1バイオリンが16人、チェロが10人、コンバスが8人、第2バイオリンとビオラは数が分からなかったが十数人ずついたはずだ。

この大編成オーケストラを、ちょっと身を乗り出せばハープに手が届きそうな(届くはずはないのだけど)近距離で聴いたので、迫力は満点。

以前にも東響の木管はうまいなあと感じたことがあったが、今日は金管も素晴らしかった。特にホルンは名手が揃っていたなあ。

前回のサントリーホールに続いて昨日も日フィルが残念感を残した(偶々のことで日フィルに問題がある訳じゃない。)が、今日はオーケストラの醍醐味を大いに味わいその不足を補って余りあるコンサートであった。

♪2014-68/♪ @ミューザ川崎シンフォニーホール-05