2023年1月31日火曜日

新国立劇場オペラ「タンホイザー」

2023-01-31 @新国立劇場



【指揮】アレホ・ペレス
【演出】ハンス=ペーター・レーマン
【美術・衣裳】オラフ・ツォンベック
【照明】立田雄士
【振付】メメット・バルカン
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】髙橋尚史

【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団
【バレエ】東京シティ・バレエ団
【管弦楽】東京交響楽団


【領主ヘルマン】妻屋秀和
【タンホイザー】ステファン・グールド
【ヴォルフラム】デイヴィッド・スタウト(ダニエル・オクリッチの降板による代役)
【ヴァルター】鈴木准
【ビーテロルフ】青山貴
【ハインリヒ】今尾滋
【ラインマル】後藤春馬
【エリーザベト】サビーナ・ツヴィラク
【ヴェーヌス】エグレ・シドラウスカイテ
【牧童】前川依子
【4人の小姓】和田しほり/込山由貴子/花房英里子/長澤美希

R.ワーグナー「タンホイザー」
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約4時間05分
第1幕   75分
 休憩  25分
第2幕   65分 
 休憩  25分
第3幕   55分







作品のテーマは劇中の歌合戦の課題と同じ「愛の本質とは」。
具体的には性愛と純愛の対立…と単純化して良いものかどうかは自信がない。
純愛を象徴するエリーザベトでさえ性愛の疼きと葛藤し、聖人君子然のヴォルフラムでさえ、彼のアリア「夕星(ゆうずつ)の歌」が夕星=金星=ヴェーヌスを意味するとあっては、やはり性愛を超越しているとは思えない。
そもそも超越しなければならないものでもなかろう。

性愛と純愛の対立図式はあまりに皮層的。
さりとて、ワーグナーに「愛の本質」について深い考えがあったとも思えない。かなり無理無理の筋運びだ。

で、いつもこのオペラは共感を拒む。

しかし、それはそれとして思考停止すれば、これはとても楽しめるオペラだ。
何と言っても大合唱(最大70人位?全員No Mask!)を中心にした音楽はとても馴染んでいるし、夕星の歌など、ワーグナーにしては(合唱曲を除き)珍しく口ずさむことができる。

今回の舞台(演出/美術/照明)については、なかなか豪華なセットで、その見せ方もうまい。

実は、前回19年に観たものと全く同様なのだけど、4年前の僕の記憶が怪しくなっていたお陰で?とても新鮮に好感した。
序曲と共にアクリル?で作った何本もの太い柱が深い奈落から徐々に競り上がってくる。

これでもう、ワクワクしてくるのだ。
バレエも登場し長い序曲を退屈させない。
その後も柱は自在に動き回る。
照明とプロジェクター投影で、官能(性愛)の世界にまずは誘う。
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ステファン・グールドがまた太った。
声はよく通るし声量も大きいが、膝を突いたり、横になった姿勢から立ち上がる姿が危なっかしい。

ヴォルフラム役のデイヴィッド・スタウトは初聴き。
当初配役されていた歌手(ダニエル・オクリッチ)の「芸術上の理由」による降板の代演だが好演。演出をめぐる対立か?ここまで降板理由を明らかにするのは珍しい。

ヴェーヌス役エグレ・シドラウスカイテもエリーザベト役サビーナ・ツヴィラクも初聴き。いずれも声が通って大舞台で存在感を放った。

牧童の前川依子は何度も新国で聴いているが、デカい歌手に囲まれて、え!子供が出ているのか、と思ったが、可愛らしい。声もよく通っていた。

♪2023-019/♪新国立劇場-02