2015年6月17日水曜日

横浜交響楽団第663回定期演奏会

2015-06-17 @県立音楽堂



飛永悠佑輝:指揮
有賀叶:バイオリン
横浜交響楽団

シベリウス:交響詩「トゥオネラの白鳥」
シベリウス:バイオリン協奏曲ニ短調
ボロディン:交響曲第2番ロ短調


シベリウスは今年(12月8日)生誕150年を迎えるので、昨年から、コンサートでも取り上げられる機会が多い。

横響はアマチュアだが、年間8回もの定期演奏会をこなす本格的なオーケストラだ。
かなり高水準の腕前だと思うが、ハラハラすることも少なからず。

交響詩「トゥオネラの白鳥」は、1曲めの腕慣らしにしては良いスタートだった。

2曲めの協奏曲のソロゲストは有賀叶クン。
どこかで聴いたような気もするのだけど、初めてなのかもしれない。まだ、高校1年生だ。
既にいくつかのコンクールで1位ほか上位入賞をしている。

とはいえ、多分、オーケストラと千人以上のお客の前で演奏するのは初めてだろう。舞台上の素振りはどこかぎこちなさを感ずるが、そのくらいでなくちゃ可愛げがないからこれはこれでいい。

演奏は速いパッセージなどはノーミスでクリアしていたが、何ヶ所か音程が甘くなる瞬間もあった。でも、こういう人はみるみる上達してゆくのだろう。

オーケストラの方もところどころ音が外れたり、ハーモニーが濁ったりしするのは今回が初めてではないし、まあ、アマチュアだものこんなものだろう。

ただ、両者が凡ミスせず、無事に弾き終えてほしいという気持ちで聴いていたので、音楽に入り込むことは難しかった。
でも、聴いているだけだけど、若い才能の涵養に自分も一役買っていると思えばこれはこれで楽しい。


ボロディンといえば、交響詩「中央アジアの高原にて」、弦楽四重奏曲第2番「ノクターン付き」、オペラ「イーゴリ公」から「韃靼人の踊り」くらいしか聴くことがない。
交響曲まで作っていたとは知らなかった。
3曲あって、うち第3番は未完成だったがグラズノフの補筆で完成したそうだ。

今日の演奏は第2番。

第1楽章のテーマが、かつて聴いたことがない泥臭さ(母なるロシアの大地、という言い方もできるだろうけど。)。
このメロディに比べるとマーラーもブルックナーも上品に思えてくる。しかもこの楽章の最後がやはりこの主題を思い切り強奏で、思い切りテンポをリタルダンドして、ケレン味いっぱいに終わるのに少々驚かされた。この感覚は粋じゃないと思った。
弦楽四重奏の「ノクターン」を書いた人とは思えない。

第2楽章以降は第1楽章ほどのドラマ性はなく、驚くようなものではなかった(というか第1楽章で相当驚いたので)。

オケも慣れていないようで、第2、第4楽章のシンコペーションがオケ全体としてぴたっと合わずにつんのめるような感じもあった。
これは結構難しいのかもしれない。
全体として、まだ自分のモノにはなっていないという感じだった。

とはいえ、横響がこういうレアな分野にも積極果敢に取り組んで聴かせてくれるのはありがたい。

♪2015-59/♪県立音楽堂-05