2015年6月13日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第310回 フランス音楽の陰と陽-ラヴェル、サン=サーンス

2015-06-13 @みなとみらいホール



パスカル・ヴェロ:指揮
小菅優:ピアノ
石丸由佳:オルガン
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ラヴェル:「マ・メール・ロワ」組曲
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調 作品83
サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調 作品78 「オルガン付き」
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アンコール(ピアノソロ)
ショパン:練習曲Op25-1「エオリアン・ハープ」
サン=サーンス:交響曲第3番第2楽章後半(管弦楽)


神奈川フィルの定期は4月がシーズンの切り替えだった。
その初っ端のレスピーギ特集はとても楽しみにしていたが、急な用事で聴きに行けなかった。さらに5月定期も万やむを得ない事情があり行けなかった。

そんな次第で今シーズン初めての神奈川フィル定期となった6月はフランス音楽特集だった。
N響も6月はフランス音楽特集だったから、やたらラヴェルが続くことになった。

指揮のパスカル・ヴェロは初めて聴く人だが、やはりフランス人だ。


ラヴェルのピアノ協奏曲は家でもたまには聴く作品だ。
3楽章構成だが、それぞれが別人が作ったかのような曲想の違いがある。

第1楽章はスパニッシュな味わいも織り交ぜながらジャズっぽい。ふと、ガーシュウィンの曲ではないかと錯覚しそうになる。
第2楽章は3拍子のアダージョで全体がのっぺりして起伏に乏しくだらだらと音楽が続くけど、同じフランスの作曲家サティやフォーレを感じさせる叙情性がたっぷりだ。
第3楽章はストラヴィンスキー風でもあるけど、何より特徴的なのは「ゴジラ」(伊福部昭)のテーマがふんだんに盛り込まれていることだ。いや、事実は逆で伊福部はラヴェルの大のファンだったそうだから、ラヴェルのピアノ協奏曲から曲想を得たのだろう。

小菅優は聴く度に貫禄が出てきた。

本日のメインイベントはサン=サーンスの交響曲第3番だ。
2楽章構成だけど、各楽章が2つのパートにわかれているので、まあ、普通の4楽章形式とも言える。

第1楽章は短い序奏の後、刺激的で緊張感を強いるリズミカルな旋律に思わず引き込まれる。
後半に入ってオルガンが登場するがここでは静かな通奏低音のような響で弦楽器の歌うようなアダージオだ。
第2楽章の前半は普通の4楽章構成でいえば6/8のスケルツォだろうな。結構激しい。
なんといっても後半のオルガンが大音量をもってオーケストラとわたりあうところからが白眉だろうな。

みなとみらいホールのパイプオルガンは「ルーシー」という愛称が付けられているが、可愛らしい名前とは対照的にこの1台で80人超の大規模オーケストラをも圧する大音量を出す。
度々、オルガンだけのリサイタルを聴いているけど、この日は席がオルガンに近いせいもあったのだろうけど、単独で聴くときよりお腹に響く重低音が怖いくらいの迫力だった。

ところで、ラヴェルはフォーレ(30歳上)から学び、フォーレはサン=サーンス(10歳上)から学んでいるそうだ。
そういう意味では、小菅優のアンコールピースはショパンではなくてフォーレの夜想曲でも弾いて欲しかったなあ。

♪2015-56/♪みなとみらいホール-17