2024-03-15 @すみだトリフォニーホール
上岡敏之:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
アンヌ・ケフェレック:ピアノ*
ベートーべン:ピアノ協奏曲第1番ハ長調 作品15*
シューベルト:交響曲第8番ハ長調 D944「グレート」
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ヘンデル(ケンプ編):組曲第1番 HWV434から第4曲「メヌエット」
上岡ちゃんはクセがある。ハマれば面白い。が、今日のような曲ではそういうケレンは感じられなかった。
その代わり、古巣からえらく美しいアンサンブルを引き出した。
いつも、聴きたい!と思っている弦の透明感があって力強い響。管弦の交わりも絶妙だ。大将が振るとこういう音を出すのか!と軽い驚き。
「グレート」の「天国的な長さ」。
今日は指定どおりの繰返し(第2楽章以外)を全部やったかどうか分からないけど(55分という演奏時間は微妙)、手持ちのCDは多くが完全版と言っても60分前後で、作曲当時はともかく、その後無駄に長い作品がたくさん作られたから、それらと比べると「グレート」は健康的な美旋律の釣瓶打ちなので、まさに<天国的>だ。
これを演奏時間の長さゆえに批判する人は、もちろん、マーラーやブルックナーも嫌悪しているのだろうな。それなら一貫している。賛成はできないけど。
良い演奏だった。
しかし、今日のすみトリの響は燻んでいたよ。
オケもピアノも綺麗な音を出すのに、なぜかどこかでフィルターがかかったようにそのままが客席に届かなくて隔靴掻痒の思い。
いつもの席なのに。
いつもは大抵満足できるのに。
これまで、ホールの響として不満を感じたことがなかったのに。
そこが、これまで味わったことのない不安だった。自分の健康問題かもしれないけど。