2021-09-05@国立劇場
●卅三間堂棟由来 (さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)
平太郎住家より木遣音頭の段
中 睦太夫/清志郎
切 咲太夫/燕三
奥 呂勢太夫/清治
人形 吉田和生・桐竹紋臣・吉田簑一郎・
吉田簑二郎・吉田玉助・桐竹勘次郎
渡し場の段
三輪太夫・咲寿太夫/
碩太夫・聖太夫・團七・清𠀋・錦吾_清允・青方
人形 吉田清五郎・吉田勘市
客席に座った時に、その場限りにせよ、日常が戻ったなあと嬉しくなった。
「卅三間堂棟由来」は文楽では始めての観賞だが、歌舞伎では数回観ている。
異類婚姻譚の一種。
柳の精・お柳は、平太郎と縁あって結ばれ、子(緑丸)を成す。
平和な暮らしも長くは続かず、ある日、白河法皇の病気平癒のため建てる三十三間堂の棟木に使う柳の大木が切り倒されることに。
その柳の木こそお柳その者なのだ。
切り倒されて都に運ばれる柳の大木は夫と緑丸が見送る場面で動かなくなる。
夫が歌う木遣音頭に合わせて緑丸が綱を曳くと、びくとも動かなかった柳が動き出す。
夫婦・母子の無念の別れが涙を誘う。
豊竹咲太夫・鶴澤清治・吉田和生の人間国宝トリオが結集して、何やらありがたい舞台ではあった。