パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団
アンナ・ルチア・リヒター:ソプラノ*
ヨハン・シュトラウスII世:
喜歌劇「こうもり」序曲
ワルツ「南国のばら」作品388
ポルカ「クラップフェンの森で」作品336
皇帝円舞曲 作品437
ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「うわごと」作品212
マーラー:交響曲第4番ト長調*
前半はパーヴォ・ヤルヴィの彫琢が隅々に行き届いているのを感じさせる出来栄え。さすがはN響のアンサンブルはきれいだ。
尤も、結局のところどの曲もかっちりした音楽になっていてあまり軽やかではない。ウィーン風ってこんなんじゃないだろ、と腑に落ちぬまま聴いた。
マーラーは、出だし快調だが、第2、第3楽章がモタつく感があった。もともと、ぼんやりした音楽なのでそのように感じたのかもしれない。とにかく、第3楽章が長すぎる。全体で1時間ほどだが第3楽章だけで20分を超える。
第4楽章はソプラノ独唱が登場して、あたかも天上から降りてくるような美声で大いに気分を盛り返した。
さて、終曲後、ヤルヴィは腕を降ろさず固まったように微動だにせず、その時間、30秒どころではなかった。1分位も動かなかったろうか。もちろん、観客もじっと息をこらしているだけ。
あまりに長かったので、ようやく終わったことが観客にも分かった際には、普段のような大喝采は起こらなかった。
今日は、FM放送では中継放送しているはずだから、ディレクターからもっと時間を延ばせとサインが送られたのか…というのは冗談だが、とにかく、異常な長さだった。
ヤルヴィは今の演奏に納得できなかったが、なんとか納得しようと葛藤していたのだろうか。
それとも存外よく出来たので上気してしまい気持ちを鎮めるのに長い時間が必要だったのか。
いずれ、クラシック音楽館で放送されるときにはヤルヴィの表情が分かるはず。それが楽しみだな。