2018年9月6日木曜日

東京都交響楽団 第860回 定期演奏会Bシリーズ

2018-09-06 @サントリーホール


アントニ・ヴィト:指揮
東京都交響楽団

シャルル・リシャール=アムラン:ピアノ*

ワーグナー:序曲《ポローニア》
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 op.21*
ルトスワフスキ:交響曲第3番(1983)
------------------
アンコール
ショパン:夜想曲第20番嬰ハ短調 遺作*

指揮者のヴィトの出身に因んでか、ワーグナーの序曲「ポローニア」(初聴)、ショパンのピアノ協奏曲第2番、ルトスワフスキの交響曲3番(初聴)というポーランド尽しだった。

まずは、ヴィトという指揮者が初聴きだった。祖国ポーランドでは相当有名な人らしい。当然、得意としているであろうショパンは僕も馴染んだ作品だけど、特に指揮ぶりで気になったところもないし、抵抗なく進んでいった。
アムランの演奏も、やや、我が道を行く、感じだったが、許容範囲。演奏が終わって、何度かカーテンコールに応えたが、ふと、思いついたようにピアノに向かったが、ヴィトの方は打ち合わせがなかったようで、オケを全員起立させようとしていたところにいきなりアンコール曲が始まったので、バツが悪そうに袖に引っ込んだが、静かに退くのかと思ったが、結構靴音を立てていた。

前後の2曲はいずれも初聴きで、どこにヴィトの芸が現れているのかは分かりようもない。

ワーグナーが「ポローニア」(ラテン系言語でポーランドの意)なる序曲を作曲していたとは知らなかった。「序曲」といっても「歌劇」に付すものではなく単独の作品らしい。ワーグナー19歳から23歳にかけて作曲したもののようだ。どうりで若作りの印象は否めない。

この「ポローニャ」とピアノ協奏曲は、いずれもアンサンブルの響が悪くてあまり集中できなかった。

管楽器は鋭く刺さってくるが、弦にまろやかさ、豊かさがない。本来、弦楽器は複数がステージに並ぶことで、互いに共鳴しあって、弦楽合奏ならではの柔らかい響となるはずだが、どういう訳か音は乾いてカサカサだ。
これまでも、サントリーホールではこういう事をしばしば経験している。都響の弦楽グループが下手な訳ではない。
サントリーホールは、世間では響の良いホールとされているようだが、そうでもないのではという疑問が予てからあったが、今日の都響の演奏で、確信になった。
残響はしっかり付いているが、共鳴の豊かさに欠ける。どうしてか、それは分からない。

が、最終曲のルトスワフスキ(この名前すら初耳だ。)の作品は、1983年の作で、いうまでもなく現代作品であり、調性は否定され(一部に感ずるところはあったが)、リズムも複雑で、不協和な雑音の洪水。勝手に自己満足してな!といったタイプの音楽だ。
はっきり言って大嫌い。意表を突くことのみに腐心している他の多くの現代作曲家と同じだ。

ところが、慣れてくると、一定の法則めいたものを感ずるので多少共感できるようになったことと、弦の豊かな響なんてもともと期待していない刺激的な、全員打楽器化したリズム中心の音楽なので、カサカサの潤いのないアンサンブルが、むしろこの音楽には似合っていて面白くなってきた。

♪2018-106/♪サントリーホール-08