2018年9月9日日曜日

人形浄瑠璃文楽平成30年9月公演 第2部「夏祭浪花鑑」

2018-09-10 @国立劇場


●夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)
 住吉鳥居前(すみよしとりいまえ)の段
  咲太夫・睦太夫/鶴澤友之助・野澤勝平
 内本町道具屋(うちほんまちどうぐや)の段
  亘太夫・三輪太夫/鶴澤清公・竹澤宗介 
 道行妹背の走書(みちゆきいもせのはしりがき)
  織太夫・芳穂太夫・文字栄太夫・南都太夫/
  竹澤團吾・鶴澤清丈・野澤錦吾・鶴澤燕二郎
 釣船三婦内(つりぶねさぶうち)の段
  小住太夫・呂勢太夫/鶴澤寛太郎・鶴澤清治
 長町裏(ながまちうら)の段
  織太夫・三輪太夫/清志郎
 田島町団七内(たじまちょうだんしちうち)の段
  文字久太夫・希太夫/清介・清丈

◎人形⇒桐竹勘十郎・吉田玉男・吉田文昇・吉田玉也・豊松清十郎・吉田勘彌・吉田文司・吉田清五郎・桐竹勘壽・吉田玉也・吉田簑助

昨夏、大坂の国立文楽劇場で観たのでおよそのところは頭に入っているつもりだったけど、今回は本格的な全6段*構成だから、大阪で観たものよりずっと長い。
大坂では「︎住吉鳥居前の段」、「釣船三婦内の段」、「長町裏の段」で構成されていたから今回のほぼ半分だ。どおりで、頭に入っているつもりというのが実は怪しいのも筋書きが端折られていたから…というのは言い訳で、今回、全6段を通して観ても、やはりややこしくて細かい点ではその場での理解は困難だった。

登場人物が多く筋も複雑だ。
誰が主人公か。
やくざ者の団七九郎兵衛を中心に据えていると思うが、彼の義兄弟の一寸徳兵衛、彼らを助ける老侠客の釣船三婦も重要な役回り。さらにそれぞれの女房たちもただの飾り物ではない。
この一団をきりきり舞いにさせるのが厄介な若殿様に彼を取り巻く女たち。
彼らの外縁には悪党どもが取り巻いている。

今回、鑑賞後に、解説本などを読み直してようやく全体像がつかめたが、やはり、では、どこが観どころか、と考えるに、ぼんやりしてしまう。

昨夏は「長町裏の段」で終わっていた。
語りも三味線も沈黙しただんまりの世界で、団七がやむを得ず舅を殺す。褌一丁になり井戸の水を汲んで全身の倶利伽羅紋紋に浴びた返り血を流し、着物を羽織って、夏祭りの喧騒の中に消えてゆく。
なるほど、こういう終わり方も粋だなあとそれなりの得心をしたが、今回は「田島町団七内の段」が続くので、少し話の性格が方向を変えたように思う。

まだまだ、理解不足だ。筋を追っているようでは鑑賞とは言えない。今後の楽しみとしよう。

*原作は全9段だそうだ。
今回の6段構成でも公演時間は4時間34分(計50分の休憩含む)だから、全9段では6時間位かかるのかもしれない。もっともそういう形での上演がありうるのかどうか知らないが。

♪2018-110/♪国立劇場-13