2018-07-18 @新国立劇場
ダグラス・ボストック(飯守泰次郎から変更):指揮
藝大フィルハーモニア管弦楽団
[出演]新国立劇場オペラ研修所 第19.20.21期生
[賛助出演]安藤赴美子(S3期)、清水華澄(Ms4期)、城宏憲(T10期)、桝貴志(Br5期)
[海外研修所の研修生]マイケル・モフィディアン(B-Br)、パトリック・テリー(Ct)、サラ・ロッシーニ(S)、アンナ・ドリス・カピテッリ(Ms)、チャン・ロン(T)、セレーネ・ザネッティ(S)
●R.ワーグナー『タンホイザー』より「この聖なる殿堂には」⇒新国立合唱団、二期会合唱団、藤原歌劇団合唱部、新国立劇場オペラ研修所現役研修生
●G.ヴェルディ『シモン・ボッカネグラ』より「このほの暗い夜明けに」⇒サラ・ロッシーニ(ミラノ・スカラ座アカデミー)
●G.ドニゼッティ『ルチア』より「我が祖先の墓よ~やがてこの世に別れを告げよう」⇒城宏憲(第10期修了)
●S.ラフマニノフ 『アレコ』より「みんな寝ている」⇒マイケル・モフィディアン(ロンドン・JPYAP)
●G.プッチーニ『ラ・ボエーム』より「冷たき手を」⇒张龙(チャン・ロン)(ミュンヘン・バイエルン州立歌劇場オペラ研修所)
●G.プッチーニ『ラ・ボエーム』より「私の名はミミ」⇒セレーネ・ザネッティ(ミュンヘン・バイエルン州立歌劇場オペラ研修所)
●F. チレア『アドリアーナ・ルクヴルール』より「苦しみの快楽」⇒清水華澄(第4期修了)
●V.ベッリーニ『ノルマ』より「ご覧ください、ノルマ様」⇒サラ・ロッシーニ、アンナ・ドリス・カピテッリ(ミラノ・スカラ座アカデミー)
●A.ドヴォルザーク『ルサルカ』より「月に寄せる歌」⇒安藤赴美子(第3期修了)
●G.プッチーニ『トスカ』より「テ・デウム」⇒桝貴志(第5期修了)、新国立劇場オペラ研修所研修生、新国立劇場合唱団
●G.ヘンデル『リナルド』より「風よ、竜巻よ」⇒パトリック・テリー(ロンドン・JPYAP)
●G.ビゼー『カルメン』より「一仕事思いついたんだ」⇒清水華澄(第4期修了)、新国立劇場オペラ研修所研修生
●C.F. グノー『ファウスト』より「清らかな住家」⇒张龙(チャン・ロン)(ミュンヘン・バイエルン州立歌劇場オペラ研修所)
●G.ロッシーニ『チェネレントラ』より「悲しみと涙に生まれ育ち」⇒アンナ・ドリス・カピテッリ(ミラノ・スカラ座アカデミー)、新国立劇場オペラ研修所研修生、新国立劇場合唱団
●G.ヴェルディ『ドン・カルロ』より「友情の二重唱」⇒城宏憲(第10期修了)、桝貴志(第5期修了)、新国立劇場オペラ研修所研修生、新国立劇場合唱団
●C.M.v.ウェーバー『魔弾の射手』より「すぐに眠れたものなのに」⇒セレーネ・ザネッティ(ミュンヘン・バイエルン州立歌劇場オペラ研修所)
●W.A.モーツァルト『コジ・ファン・トゥッテ』より「厚かましい娘ね」⇒マイケル・モフィディアン(ロンドン・JPYAP)、安藤赴美子(第3期修了)、新国立劇場オペラ研修所研修生
●G.ヴェルディ『ファルスタッフ』より「世の中すべて冗談だ」⇒出演者全員
新国立劇場オペラ研修所の20周年を記念して開催された。
主体は目下研修中の第19.20.21期の各5名ずつだが、これに賛助出演として(賛助というより、こちらが主体のような感じだったが)3.4.5.10期の修了生。さらに海外はスカラ座アカデミー、バイエルン州立歌劇場オペラ研修所、ジュッテ・パーカー・ヤング・アーティストプログラムから各2名ずつが参加した。
また、彼らをサポートするのが新国立劇場合唱団、二期会合唱団、藤原歌劇合唱部、といわば、日本オペラ界が総力で若手を支援するという大掛かりなプロジェクトだった。
主役は、気鋭の歌手たちのアリア、二重唱〜六重唱に合唱だ。
しかし、冒頭、美しく飾られた舞台にオーケストラが陣取っているので少し驚いた。てっきり、オケはいつものオペラのときのようにピットに入っているものだとばかり思い込んでいたので。
その藝大オケ(藝大にはたくさんのオケがあるようだが、これは学生オケではなく、日本で最初の本格的オケで、構成員は教官・非常勤講師からなるプロオケだそうな。)が、まずはタンホイザーからの1曲を奏し途中から各合唱団と現役研修生による合奏が加わった。
まず、この段階で、大いなる感銘を受けた。
それはオペラパレスの音響の素晴らしさだ。それはいつもオペラで感じてはいた。オーケストラの音響についてはピットから立ち上がり、天井の反射板で跳ね返って放射してくる天上の音も好きだけど、今回はじめてステージ上のオケを聴いて、そこから飛んでくる乾いた艶ぽい弦の何と素晴らしいことか。
できれば、この舞台でベートーベンの「第九」やミサ曲・受難曲、レクイエム、マーラーの合唱付きの交響曲などを聴いてみたいものだ。
まずは、オケの素晴らしい音に心強く惹かれた。
これはもっぱら、新国立劇場の音響の良さであって、藝大のオケも巧いけど、他のプロオケより一頭地抜きん出て巧いというのではないと思う。この響の良さ・アンサンブルの美しさはホールの音響効果に助けられたのではないか。
本題の精鋭の歌手たちの独唱、重唱、合唱もみんな只者ではない。日本の賛助出演の歌手たちは既にタイトルロールか準主役で既にデビューしている人たちだ。海外招聘組もデビューが間もない人たち。
みんな巧い。
好みで言えば、カウンターテナーはそういう声質が嫌いだ。どんなに上手なカウンターテナーでもどこかに無理をしているのが分かる。その分、繊細な表現に欠ける。
なので、カウンターテナーだけは感心できなかった。が、しかし、他の人達のもう既に出来上がった声はいずれも素晴らしい。
特に、バイエルン歌劇場から来た中国人の张龙(チャン・ロン)はよく通るテノールで声量も半端ではない。ソロは2曲歌ったが、中でも有名な「ラ・ボエーム」の「冷たき手を」の素晴らしさが特に印象に残った。観客席からのブラボーもひときわこの人に大きかったように思う。
最後は総勢総出演で「ファルスタッフ」から。これも楽しかった。
♪2018-085/♪新国立劇場-09