2018年10月1日月曜日

NHK音楽祭2018:NHK交響楽団演奏会

2018-10-01 @NHKホール


パーヴォ・ヤルヴィ:指揮
NHK交響楽団
新国立劇場合唱団*
NHK東京児童合唱団*

オルガ・ペレチャッコ・マリオッティ:ソプラノ*
マックス・エマヌエル・ツェンチッチ:カウンターテナー*
ベンジャミン・アップル:バリトン*

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
オルフ:踊る牧神[日本初演]
オルフ:カルミナ・ブラーナ*

ドビュッシー(1862〜1918)の「牧神の午後への前奏曲」で始まり、オルフ(1895〜1982)の「踊る牧神」に引き継がれた。

第1曲と第2曲は「牧神」繋がりだ。オルフの「牧神」はなんと日本初演だった。フランスの近代作品とドイツの現代作品という文化の違いがあるけど、後者は前者の色彩を色濃く受け継いでいる感じだった。フルートの活躍、2台のピアノ、チェレスタなど、楽器編成もフランスぽい。

いよいよメインが、「オルフ」繋がりで、オルフの代表作にして大作「カルミナ・ブラーナ」(1936年完成)だ。

慎重に、そして気合を入れた前2段の準備の後に、この日のメインと言うより、個人的には今年、最も楽しみにしていた作品が厳かに?登場する。

バイエルンの修道院に残されていた中世の詩集から選択・編集したテキストを基に世俗カンタータの形で作曲された。

冒頭に配された「運命の女神フォルトゥナ」が中心的な主題になっているようだ。大合唱、小合唱、児童合唱、独唱などがいろいろ組み合わされて全部で25曲。最後は再び「運命の女神フォルトゥナ」が登場して壮大この上なく盛り上がって終曲する。

長大な中間の22曲は3部に分かれ、
第1部は「はじめての春」春の訪れの喜びだけではなく、男女の<春>も喜びも描かれる。
第2部は「酒場にて」。男と酒の世界だ。
第3部は「愛の宮廷」。かなり際どい男女の世界が歌われ、
それらがすべて冒頭の「運命の女神フォルトゥナ」に収斂してゆく。

聖の世界から生の世界、そして性の世界と、正に聖俗の混交だ。
宝箱のようなおもちゃ箱をひっくり返したように次から次と刺激的で官能的で、土俗的で、時に天上の音楽が繰り出され、聴いている側も息をつく間もないめくるめく感興に振り回される。


圧倒、圧巻、感動、最高〜なんて賛辞を軽々に使いたくないが、今日のこの演奏に使わずしてどこで使う?
パーヴォ・ヤルヴィの緩急自在な棒にオケも合唱もピタリと合わせて見事。聴きながら幸福に浸りオルフがこの作品を残してくれた事に感謝せずにおれなかった。

余談だが、ソプラノのオルガ・ペレチャッコは、昨年3月に新国立劇場で「ルチア」のタイトルロールを歌ったのを観に行った。今回は狂乱のルチアとは様変わりの役柄だったが、悩ましく蠱惑的な喉を聴かせてくれた。

♪2018-122/♪NHKホール-09