2018年10月13日土曜日

N響第1894回 定期公演 Aプログラム

2018-10-13 @NHKホール


ヘルベルト・ブロムシュテット:指揮
NHK交響楽団

モーツァルト:交響曲第38番ニ長調 K504「プラハ」
ブルックナー:交響曲第9番ニ短調(コールス校訂版)

モーツァルトの交響曲第38番「プラハ」。存在は有名だけど、ほとんど聴く機会がなくて前回はいつだったろうと記録を手繰れば2年半ほど前にカメラータ・シュルツ・ウィーンで聴いた。それ以来だ。自宅で聴くこともないので、久々の演奏を、へえ、こんな曲だったか、と聴いた次第。

弦だけで24人?総勢35人位の小規模な編成だけに、見通しの良い軽快な音楽だった。

最近は小難しい音楽が多い中で、現代音楽やマーラー、ブルックナーなどのファンに失礼だが、簡潔明瞭な「絶対音楽」を聴く悦びを久しぶりに味わった。

プログラムには演奏時間28分と合ったが、実演はずっと長くて36分くらいあったと思う。そんなにのろいテンポではなかったから、提示部の繰り返しをしたのではないか。


後半はブルックナー第9番!
ブルックナーの中では聴く機会の少なかった作品だけど、どういうことか、今年は9番の当たり年だ。4月に東響で聴いたのが3年ぶりだった。そして、今日はN響で、来月は新日本フィルが控えている。

ところで、今やファンの間では神様扱いのブロムシュテットのブルックナーは如何。
大いに期待をした。
何しろブルックナーの9番でこれまで「良かった!」と思えるものは一度も聴いていないのだから。

しかし、冒頭の管の何やら自信のないような出だしに、不安が走った。僕の聴き違いかもしれない。その後の弦の強奏で盛り上がるところまでくると音楽が順調に流れ出した…ように思った。
その後はひたすら傾聴したつもりだ。

ブロムシュテットはいつものように上体だけで腕をフワフワさせているだけだが、リハーサルが行き届いているのだろう。細部まで(情緒を失わず)かっちり仕上げた感があった。

ややテンポが早めで(プログラムには64分と書いてあるし、手持ちの数種類あるCDはいずれも60分強だが、ブロムシュテットの指揮は)55分程度ではなかったか。
プラハが長かった分、放送時間に合わせて巻きが入った?まさかね。

ただ、終わってみると、やはり満足には程遠かった。
おそらく、これは演奏のせいではない。
ブロムシュテットについてはN響のコンビでも(毎回ではないが)、昨年のゲヴァントハウスの公演でも至福を味わっている。最も期待をかける指揮者で、マエストロと呼ぶにふさわしい。

今回イマイチ楽しめなかったのは僕のブルックナー(の音楽)への入魂率が低いのだ。マーラー同様、心底には不信感を持っているからだと思う。

さりとて、2014年4月のN響+マレク・ヤノフスキーの5番、2016年のサンフランシスコ交響楽団+マイケル・ティルソン・トーマスによる7番などは、細部に至るまで実に心に沁みたのを覚えている。
あのレベルを何度か聴くとブルックナーの聴き方が変わってくるかもなあ。

♪2018-130/♪NHKホール-10