2017-11-25 @県立音楽堂
鈴木優人:指揮
バッハ・コレギウム・ジャパン
森麻季⇒ポッペア
レイチェル・ニコルズ⇒ネローネ
クリント・ファン・デア・リンデ⇒オットーネ
波多野睦美⇒オッターヴィア
森谷真理⇒フォルトゥナ/ドゥルジッラ
澤江衣里⇒ヴィルトゥ
小林沙羅⇒アモーレ
藤木大地⇒アルナルタ/乳母
櫻田亮⇒ルカーノ
ディングル・ヤンデル⇒セネカ
加耒徹⇒メルクーリオ
松井亜希⇒ダミジェッラ
清水梢⇒パッラーデ
谷口洋介⇒兵士Ⅱ
モンテヴェルディ:歌劇「ポッペアの戴冠」全3幕
(演奏会形式・日本語字幕付)
モンテヴェルディ開眼は40年以上昔だ。FMの音楽番組で聴いた「聖母マリアの夕べの祈り」にいささか衝撃を受けてさっそくLPを買って繰り返し聴いた。当初はラテン語のテキストも読みながら聴いていたので、まあ、大筋は覚えていたけど、今ではCDケースに収まった小さな解説を読む気にもなれないからそんな熱心な聴き方はせず、もっぱらBGMのようにして聴いているが、これがなんとも幸せな感じになるのだから嬉しい。
他の作品のCD(マドリガーレ集など)も僅かに持っていてこれも時々ヒーリング音楽として聴く。聖から俗まで守備範囲の広い作曲だとは知っていたが、どうしても「聖母マリアの夕べの祈り」のイメージが強くて、敬虔な信仰者との印象が出来上がっている。
ところが、今年はモンテヴェルディ生誕450年ということで、同じ音楽堂で、6月にコンチェルト・イタリアーノによる「聖母マリアの夕べの祈り」があり、同じ企画の一環で、歌劇「ポッペアの戴冠」も演奏されることになった。これは観ない訳にはゆかぬ。
さて、一体どんな物語なのか。
NET情報では17世に半ばに初演されたオペラとは思えない相当大胆な筋書きのようである。
そこで、ノルウェー国立歌劇場によるBDを見つけて購入し、観たが、これは大いにびっくりだ。放尿、性交、殺人、命じられた自殺、不倫など、もうハチャメチャな内容だ。舞台で一体何人が死んでいったろう?
音楽堂での演奏では、演奏会形式とはいえこれを一体どう演ずるのか、と心配になったものだ。
しかし、物語の筋書きは変わらないとは言え、演出が異なるとこうも別世界の物語になるのか、と驚くほど下品さ、醜悪さは取り除かれて、許容範囲の物語になっていたが、一方で毒を抜いた事による刺激不足の感は否めない。元々ノルウェー国立歌劇場版は世界のオペラ界で良いものと評価されているのだろうか?これは特殊な異端演出なのか、それとも原作に忠実なのだろうか?それが分からないので、比較において今回の舞台の良し悪しはなんとも言えない。
音楽は、聴き慣れたマドリガーレの世界だ。
しばし、ピリオド楽器によるルネサンス〜バロック初期の調べを楽しんだ。
♪2017-188/♪神奈川県立音楽堂-06