2021年11月27日土曜日

仲道郁代「シューマン 300日の物語」第4回(最終回) 天の香薬の物語~心のかけらが見出すもの

2021-11-27 @フィリアホール



仲道郁代:ピアノ

シューマン:幻想小曲集 Op12 (約27分)
1タベに
2飛翔
3なぜ
4気まぐれ
5夜に
6寓話
7夢のもつれ
8歌の終わり

Intermissiont

シューマン:クライスレリアーナ Op16 (約32分)
1激しく動いて
2心をこめて、速すぎずに
3激しく駆り立てられて
4きわめて遅く
5非常に生き生きと
6きわめて遅く
7きわめて速く
8速く、諸離(かいぎゃく)をもって

Intermission

シューマン:幻想曲ハ長調 Op17 (的30分)
第1楽章…全く幻想的に、情熱的に弾くこと
第2楽章…中庸に。全く精力的に。
第3楽章…ゆっくり弾くこと。常に静けさをもって。

----Enc-------------

シューマン:子供の情景 Op15 第7曲「トロイメライ」

使用ピアノ YAMAHA CFX


「シューマン300日〜」シリーズは知っていたが、全4回は参加できないのでせめても最終回に出かけた。


作品番号12-16-17という20歳代の終わり、妨害に遭いながらもクララへの熱い思いが結実した音楽ばかり。


そういう文脈で聴けば、すべての作品が愛おしい。


彼女のか細い身体、か細い指でガラス細工を扱うようなタッチが奏でる調べがいつになく穏やかでしみじみと迫る。

もちろん、これでもか、というところもあるけど。


「クライスレリアーナ」全曲は、今月初め、音楽堂でチャクムルの演奏を聴いた。

いずれもかぶりつきで、ピアノも同じCFXという似た条件だったが、紡がれた音楽はだいぶ異なった。もちろん、「みんなちがって、みんないい」のだけど。


「幻想」を冠する2曲にも惹き込まれた。


全体が、仲道マジックにかかっているような不思議な充足感に満ちた世界だった。


もう、Encはいらないと思ったが、彼女はPfに向かった。

弾く前から分かっていた。

弾くなら、もう「トロイメライ」しかないぞ!と。


そのとおりで、彼女の指先からは金粉が降り注ぎ、僕は震えた。


♪2021-142/♪フィリアホール-07