2019年8月31日土曜日

ARCUS-アルクス-第10回演奏会「金持ちと貧乏」

2019-08-31 @フィリアホール


ARCUS(指揮者なしの室内オーケストラ:メンバーは添付写真

メンデルスゾーン:交響曲第1番ハ短調 作品11
モーツァルト:弦楽五重奏曲第2番ハ短調 K406
モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調 K543

「金持ちと貧乏」という演奏会タイトルは、懐事情に格差があった夭逝の天才メンデルスゾーンとモーツァルトを並べたものだが、音楽で語るにはちょっと無理な気がする。

弦が20人という室内管弦楽でメンデルスゾーン交響曲1番、モーツァルト同39番。モーツァルト弦楽5重奏2番は原編成で。

メンデルスゾーンはモーツァルトに比べて約半世紀遅く生まれたので、いくら彼が15歳で作曲したとはいえ交響曲第1番はやはりロマン派の音楽だ。今回の編成はこの曲の演奏には弦が不足で、管楽器が目立ちすぎる吹奏楽団風でざわついた。

モーツァルトの弦楽5重奏曲は、生活費捻出のために既成の管楽5重奏を弦に置き換えたやっつけ仕事で、ファゴット2本をチェロ1本で賄っているそうだ。道理で本来のチェロの仕事ぶりではない。知らずにCDを聴いている分には抵抗なかったのだけど。知った上でナマを聴くとチェロパートに不足を感じてしまう。

最後のモーツァルト交響曲第39番が素晴らしかった。弦の編成はメンデルスゾーンの時と同編成だが、こちらは音楽にピタリと嵌って小気味良い。
弦の響きも良く、各パートの動き・絡みが、手に取るように分かる。音楽の構造も伝わってきて、実に良く設計された作品だと分かる。オーケストレーションもとてもバランスが取れていると分かる。

これまで、40番、41番の陰に隠れて…(僕の理解不足で隠していたのかも)その素晴らしさをよく味わっていなかったことを思い知った。やはり天才の仕事だ。

♪2019-126/♪フィリアホール-02

2019年8月29日木曜日

千住真理子&横山幸雄 デュオ・リサイタル

2019-08-29 @みなとみらいホール


千住真理子:バイオリン*
横山幸雄:ピアノ**

J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ
J.S. バッハ:無伴奏バイオリンのための組曲第2番から「第1曲 アルマンド」、「第5曲 シャコンヌ」*
J.S. バッハ=ブゾーニ編:シャコンヌ**
ショパン:バラード第1番ト短調 作品23**
J.S.バッハ:アリオーソ
アルビノーニ(ジャゾット):アダージョ
ベートーベン:バイオリン・ソナタ第9番イ長調 作品47「クロイツェル」
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J.S.バッハ:G線上のアリア

バイオリンとピアノのデュオを聴くには絶好の席だった。
バイオリンの最弱音からピアノの強打音まで<とりあえず>実に明瞭。

2人ともJ.S.バッハの無伴奏バイオリンのための組曲から一番有名な大曲「シャコンヌ」を独奏した。
千住真理子のオリジナル版は、まあ、良かったかな。尤も、この曲は誰の演奏を聴いてもがあって楽しめる。バイオリン一挺で極めて複雑な32変奏を弾きこなすのは並の技量、精神力ではあるまい。

横山幸雄が弾いたのはブゾーニが編曲したピアノ版「シャコンヌ」だ。
録画で聴いたことはあるが、ナマは初聴きだった。
ピアノならではのダイナミズムが十分に生かされて、バロックというよりロマン派の音楽のようにも聴こえる。無伴奏バイオリンの調べの中にかくも強力なパッションが織り込まれているのだ、ということをピアノの調べから教えられる。

後半のメインはベートーベンのバイオリンソナタ第9番「クロイツェル」。
聴く度に、若い頃読んだトルストイの「クロイツェル・ソナタ」〜細かく覚えてる訳ではないが、この曲が妻殺しの動機になったこと〜を思い出して、果たしてベートーベンはこの音楽に性と愛の葛藤を詰め込んだのだろうか、と中途半端に記憶が蘇るのは傍迷惑な話だ。

音・響きは<とりあえず>良かったが、今日のホールの響きは平凡だった。決して悪くはないけど、本来の実力を発揮できなかった。

知る限り、みなとみらいホールは日本一音響の良いホールだと思っているが、いつも満点とは限らない。
僕の体調を含めいろんな要素がすべてプラスで積み上がった時だけ、勿体無いような響きが出来上がる。これは運としか言えない。

♪2019-128/♪みなとみらいホール-35

2019年8月27日火曜日

NISSAY OPERA 2019 『トスカ』関連企画 オペラ・オードブル・コンサート vol.9

2019-08-27 @日生劇場


ソプラノ:砂川涼子
テノール:工藤和真
ピアノ:矢崎貴子
解説:粟國淳

オール・プッチーニ・プログラム
オペラ「トゥーランドット」第1幕から
・お聞きください、ご主人様!(リュー)
・泣くな、リュー!(カラフ)
オペラ「ラ・ボエーム」第1幕から
・なんと冷たい小さな手(ロドルフォ)
・私はミミと呼ばれています(ミミ)
オペラ「トスカ」第3幕から
・君ゆえにだけ、死ぬのがつらかった(カラヴァドッシ)
・あなたの命を救うことができた愛は(トスカ)

11月日生劇場の「トスカ」公演関連講座の一つで、砂川涼子、工藤和真と演出家粟國氏による解説とプッチーニ:愛のアリアの夕べ。
1階ピロティで、100人強の参加。

工藤君は、昨日東京音楽コンクールで2位無しの1位だったそうだ。今後が楽しみの29歳。「トスカ」本番ではカヴァラドッシという大役を演ずる。
砂川涼子さんはこれまでの活躍から、若く見えるが彼よりは「やや歳上」だろうな。٩( ᐛ )و
前から〜今も〜これからも〜ずっと楽しみ!
「トスカ」だけではなくプッチーニ・オペラの恋人同士の愛の二重唱の特集で、女性大好き・プッチーニがいろんなオペラ作品でどう女性を描いたか、その愛のいろんな形を歌を通して味わうという趣向だった。
とても楽しくすごせた。
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ところで、開演前に僕の後ろの方の席で赤ちゃんの話し声(厳密にいうと何を言っているのか分からないけど)。
サロンコンサートだし、大泣きでなければ許容してもいいのではないか。主催者はどう判断するだろう?と思っていたが、始まると暫く赤ちゃんのことは忘れていた。
全く声が聞こえなくなったからだ。
ふとロビーのガラス張りの外を見たら、若いお母さんが赤ちゃんを抱っこしてエレベータの前で遊ばせている。さっきの赤ちゃんらしい。とてもご機嫌な様子。
ああ、ガラスの向こうまで歌が聴こえるといいのに、と強く願いながら為す術なく過ごしたが、全く声も立てずに外に退避したのだから、主催者側の申し入れではなく彼女の判断だったようだ。
赤ちゃんを連れてでも聴きに来たかった人に、ほんに聴かせてあげたかったね。

♪2019-127/♪日生劇場-01

2019年8月26日月曜日

ウィークデーコンサートシリーズ2019 第59回トリオ・アコード ピアノ三重奏

2019-08-26 @フィリアホール


トリオ・アコード Trio Accord
白井圭:バイオリン
門脇大樹:チェロ
津田裕也:ピアノ

モーツァルト:ピアノ三重奏曲第5番ハ長調 K.548
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番ニ短調 op.49
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メンデルスゾーン:歌の翼に

津田:ピアノ、門脇:チェロ、白井:バイオリンによるピアノ・トリオは、前回ブラームスのピアノトリオ全3曲をみなとみらいホールで聴いて、これが素晴らしかったが、今回はチケット購入に出遅れて、舞台上手バルコニーしか空いていなかったが、それで諦めるのも惜しいと思って買ったが、やはりこういう席は良くない。
音は、すぐ下を見下ろせば3人いるのだから近くていいのだけど音のバランスが悪い。右耳しか音が入ってこないような感じだ。

本当は、あちこち反射した音が両方の耳に入ってくるのだけど、原音は右側に集中して聴こえる。
身体を45度くらい右向きに捻って聴けば少しマシだけど、それでは腰が痛くなる。
結局、音楽に集中できない。

息の合った、今が旬といえる実力派中堅のトリオ。
入魂できれば、新しい発見ができたような気がするが、残念なことだった。

僕は、聴くホール・席にこだわり過ぎかとも思うけど、やっぱり、場所によっては、音は聴いているはずなのに音楽体験できない場合がある。

正面席であっても、音源から遠くても近過ぎてもダメ。程よい距離でもあって中心軸から外れ過ぎているのもダメ。
音楽は眼で聴くものだが、身体を捻って見るものでもない。

そんなことで、席には大いにこだわっている。高価か安価かという問題ではない(現実は良い席ほど高い!)。良い響きが得られるかどうかが大切。それと音の好みというのもある。
やむなく、そのこだわりを通せず好みに合わぬ席で聴くと、音楽鑑賞は寧ろストレスだ。

♪2019-126/♪フィリアホール-01

2019年8月25日日曜日

ミューザ川崎市民交響楽祭2019

2019-08-25 @ミューザ川崎シンフォニーホール


小森康弘:指揮
かわさき市民オーケストラ2019
川崎優季:ナレーション*

グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミュラ」序曲
チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」作品20から(語りつき)*
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 作品64
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チャイコフスキー:組曲第4番「モーツァルティアーナ」から第3曲「祈り」
エルガー:「威風堂々」第1番

川崎市内の4アマオケの合同演奏会。前からやってることは知っていたけど、聴くのは初めて。
合同だから超特大の編成かと思いきや中規模編成で、弦は14型を基礎としているようでもあるが、普通は偶数で構成される各パートがビオラ以下はすべて奇数だし、第1バイオリンと第2バイオリンの構成も分からなかったので、本来15型(第1バイオリン15人)という編成はないと思うが、強いて言えばそんな程度の規模だ。寄り合い所帯だから綺麗に偶数では揃わなかったのだろう。

本篇の3曲はいずれも手強そうな作品なのに、アマチュアでよく挑んだね。
出来は、まずまずまあまあ。
本来とても長いのを全10曲に納めた「白鳥の湖」が説明付きで分かり易く楽しめた。

それにしても休憩含め170分近い長丁場はお疲れさま。
聴く方も疲れたよ。
本篇だけで重量級だったからアンコールなんて、誰も望んでいなかったと思うけど、聴衆の気持ちを無視して!2曲もやってくれたよ。

♪2019-125/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-18

2019年8月24日土曜日

モーツァルト・マチネ第37回「晩年」〜東京交響楽団〜

2019-08-24 @ミューザ川崎シンフォニーホール


沼尻竜典:指揮
東京交響楽団

森麻季:ソプラノ

<オール・モーツァルト・プログラム>
オペラ『ドン・ジョヴァンニ』 K. 527
 序曲、アリア「むごい女ですって」
オペラ『コジ・ファン・トゥッテ』 K. 588
 序曲、アリア「恋人よ、許してください」
交響曲 第40番 ト短調 K. 550

ミューザ川崎シンフォニーホールの「モーツァルト・マチネ」。
今季はモーツァルトの生涯を4期に分けてそれぞれの時代の名作を聴かせるという企画だ。
第1回の今日は「晩期」の傑作。

オペラ2作の序曲と夫々からアリアを1曲ずつ森麻季が歌った。

しかし、2曲ではいかにも寂しい。序曲に代えて4曲位聴きたかったな。
仏人形のような歌姫は眼にも肥やし。

メインは交響曲第40番ト短調(因みに全部で41作の交響曲を作曲しているが、うち、短調のものは他に25番ト短調があるのみ。)。
弦の編成は変則で第1バイオリンから10-10-8-6-4。

小規模ならではの響でスッキリいい感じだが、この際、いっそ10型で聴いてみたかった。モーツァルトの短調交響曲ではティンパニーもトランペットも入らないのだから。

好みを言えば、テンポがどの楽章もやや遅めだった。
モーツァルトの短調曲には<疾走する悲しさ>とやらを感じたい。

帰宅後、小林秀雄「モオツァルト」を読み返してしまった。

♪2019-124/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-17

2019年8月23日金曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第351回

2019-08-23 @みなとみらいホール


小泉和裕(特別客演指揮者):指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ベートーベン:交響曲第6番ヘ長調Op.68「田園」
ベートーベン:交響曲第5番ハ短調Op.67「運命」

ベートーベン・イヤーでもなく(来年が生誕250年)、定期演奏会で「田園」と「運命」なんて名曲コンサートみたいなプログラムってどうして?と思っていたが、「運命」を聴いて、小泉師、新たに期するところあっての選曲だったのではないか、と自分なりに腑に落ちた。

「田園」は特に新奇なものを感じなかったが、「運命」はとても刺激的だった。久しぶりに「疾走するベートーベン」、いや、「闘争するベートーベン」と呼ぶのがふさわしいかも。

第1楽章の運命の動機からして雄弁。つまり、言いたいことがある!という告知のようだ。
「ダ・ダ・ダ・ダーン」が2回続くが2回目の方が「ダーン」が長いが、指揮者によっては、2回目も1回目と同じような長さにしたり、長さは同じでもディミヌエンドを利かす結果音の長さが楽譜より短く感ずる演奏が少なくない。

今日の演奏は、そこを楽譜どおり弦をきっちりと減衰させずに緩みなく引っ張る。弓道で、弓を思い切り引いて力を溜め、矢を飛ばすような感じだ。
ここに、小泉師が勉強の成果を発揮するんだ、という強い意志を感じた。まことにテンションが高い。

第2楽章はチェロとビオラによるテーマが美しく決まった。中低域の弦のアンサブルは大体綺麗に響くものだけど、それにしても良い響だった。

第3楽章のチェロから始まる小フーガが超速で脂が飛び散る勢い。小気味良し。

4楽章に入っても小泉師の煽り運転が続き、スリリングな緊張感を緩めることなくそのままクライマックスの高みに駆け上った。

滅多にないことだけど、今日は、音楽が「生きている」という思いを強くした。

♪2019-123/♪みなとみらいホール-34

2019年8月20日火曜日

ランチタイムコンサート〜東京交響楽団 金管五重奏〜

2019-08-20 @ミューザ川崎シンフォニーホール


トランペット:佐藤友紀、松山萌
ホルン:上間善之
トロンボーン:鳥塚心輔
テューバ:渡辺功

スーザ:ワシントン・ポスト
久石譲:映画「天空の城ラピュタ」から「ハトと少年」
久石譲:映画「となりのトトロ」から「となりのトトロ〜さんぽ」
アメイジング・グレイス
ブラスで乾杯!
アメリカ民謡:リパブリック賛歌
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ファッツ・ウォーラー:浮気はやめた
エルトン・ジョン:「ライオン・キング」から「愛を感じて」

今日のランチタイムコンサートは東京交響楽団の金管部門首席級5人で軽めの品揃え。
自由席だから1階最前列と思ったところ、そう思う人が早くから来ていて、全部埋まっていたが、3列目のセンターに空席を見つけて座った。もちろんここでも迫力満点。

自由席なのに、わざわざ4階で聴いている人もいたなあ。何もあんな遠いところから見下ろさなくとも2階、3階に席は余っていたのに。
でも、自由席だからこそ、たまには4階で聴いてみたいという気もする。

さて、金管アンサンブルというと、旋律楽器であるトランペットが中心になりがちだが、ホルン、トロンボーンからチューバまでそれぞれに聴かせどころを作った編曲で楽めた。
なんとこれで500円也!僕は年間セット券を購入しているが、当日ふらっと来ても十分席はあるし、Suicaでも購入できるそうだ。
次回は9月10日12時10分から藤木大地のカウンターテナーだ。

♪2019-122/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-16

2019年8月18日日曜日

国立演芸場開場四十周年記念 8月中席

2019-08-18@国立演芸場


落語   桂竹千代⇒真田小僧
落語   三遊亭萬橘⇒熊の皮
落語   桂文治⇒お血脈
ものまね     江戸家まねき猫
落語   立川談幸⇒火焔太鼓
 -仲入り-
落語   三遊亭笑遊⇒無精床
曲芸   ボンボンブラザース
落語   三遊亭圓楽⇒死神

昨年までの8月中席は歌丸がトリを務めていたが、師匠亡き後は圓楽に回ってきたそうだ。その圓楽も肺がんの後は脳腫瘍で療養中。病院からの一時外出の形で高座に復帰したのだそうな。
口跡に不安があるようで、通常の高座用のマイクの他に、襟元にピンマイクも付けて口演したが、よく通る声で、病人とは思えない。

落語の演目は事前には決まっておらず、その日の様子を見て噺を決めるのが普通だが、今回は、歌丸もそうであったように、事前に5つの古典大作を予告して、その中から日替わりで演じているらしい。それで今日は、皮肉にも「死神」を演じた。

意欲は立派だが、出来はまずまず。

ほかに、三遊亭笑遊は高座に上がっただけでもうおかしい。天性の落語家だ。
曲芸のボンボンブラザーズは毎度毎度やることは同じ。大して難度は高くないと思うが、それでもおかしくて楽しませる。


♪2019-121/♪国立演芸場-11

2019年8月12日月曜日

フェスタサマーミューザ2019 東京交響楽団フィナーレコンサート ≪若き才能と名称が心に迫るフィナーレを≫

2019-08-12 @ミューザ川崎シンフォニーホール


尾高忠明:指揮
東京交響楽団

ジャン・チャクムル:ピアノ(第10回浜松国際ピアノコンクール優勝者)*

シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 作品54
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調 作品47「革命」
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ファジル・サイ:ブラック・アース

ジャン・チャクムルというカマキリの様に脚が長く痩身のトルコの青年がシューマンのピアノ協奏曲を弾いた。
ところどころに独自のコブシを利かせたが、指揮の尾高氏の掌中にスリリングに収まって面白かった。

アンコールがファジル・サイ(超速「トルコ行進曲」の編曲などで有名。彼もトルコのピアニスト・作曲家)の小品で、指でピアノ線を抑えたり、叩いたりのモダンな奏法でこれも楽しかった。

メインはショスタコーヴィチの5番。
夏のお祭りの閉幕を飾るにはもってこいの作品だ。
大いに楽しみにしていた。

が、どういう訳か第3楽章から気分が悪くなり、最後まで音楽に気持ちが同期できずに終わってしまったのが実に残念。

第3楽章のテンポのゆったりとしたウネリも今日の体調には堪えたな。
明日から、5連休。お盆休みで、流石にどこのオケも演奏会はお休みだ。せいぜい体調回復に努めよう。

♪2019-120/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-15

2019年8月11日日曜日

フェスタサマーミューザ2019 東京フィルハーモニー交響楽団 ≪感動を呼ぶマエストロと劇的な「悲愴」を≫

2019-08-11 @ミューザ川崎シンフォニーホール


ダン・エッティンガー:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

高木綾子:フルート*

ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」から 第1幕 前奏曲
モーツァルト:フルート協奏曲第1番ト長調 K313*
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 作品74「悲愴」
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ドビュッシー:シランクス*

最初のワーグナーの冒頭の金管が見事でいっぺんに惹きつけられたが中盤以降に少しざわつきを感じた。

2曲めは弦の編成を10型に迄縮小したモーツァルトのフルート協奏曲が爽快。フルート独奏によるアンコールはドビュッシーの「シランクス」。昔は「パンの笛」と覚えたのだけど。

休憩を挟んで後半チャイコフスキーの「悲愴」は16型に復帰。
第1バイオリンと第2バイオリンを対向配置したがこれが効果的で、大所帯にも関わらず各パートが明瞭に響いた。

エッティンガーの微妙に揺れるテンポも嫌味なく、アンサンブルは厚いが、かなりの透明感を維持。

惜しむらくは終楽章。
情感に任せたエッティンガーの棒に対し、弦パートのためらいを感じた。揃わせるより勢いを大事にして欲しかった処が数カ所感じた。

とはいえ、流石の東フィルが遺憾なく実力を発揮。
近年稀な心に染みる「悲愴」になったと思う。

今季フェスタサマーミューザは残り1回だが、読響のブルックナー8番、仙台フィルのチャイコフスキー4番と並ぶ3大名演に認定!

♪2019-119/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-14

2019年8月7日水曜日

フェスタサマーミューザ2019 日本フィルハーモニー交響楽団 ≪炎のマエストロ+若手ピアニストの熱演≫

2019-08-07 @ミューザ川崎シンフォニーホール


小林研一郎:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
藤田真央:ピアノ*

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ長調 作品23*
ベートーベン:交響曲第7番イ長調 作品92
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リスト:愛の夢第3番*
ダニーボーイ

睡眠不足なのに無理に起きて出かけたらなんと開演時刻を間違えていて、1時間早く到着してしまった。ああ、もう1時間寝られたのに。喫茶店、本屋や家電店に立ち寄って時間潰したが、それでけっこう疲労してしまった。

そんな訳で、せっかくの、今をときめく超人気若手ピアニスト、藤田真央をボーっと聴いてしまった。
そのせいでもないと思うが、特に変わったところもない正統派チャイコフスキーの演奏だったと思うが…?

アンコールで弾いたリストの「愛の夢」がえらくさっぱりした弾き方で大人っぽいのにはちょっとびっくり。

オーケストラの方は、後半、弦16型(弦だけで60人)に増やしたベートーベンの7番はなかなかの迫力。
特に2楽章の弦のアンサンブルが厚い。
これはアンコールのコバケンお得意の「ダニーボーイ」(弦楽合奏)でも遺憾無く発揮された。その代わり、透明感は不足気味。

今日のホールの響きはまずまずで、ピアノも明るく響いたが、やはり28日の小川典子が演奏した際の響には至らず。まことに微妙なものだ。

藤田真央人気か超満員完売で当日券もなし。

♪2019-118/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-13

2019年8月6日火曜日

フェスタサマーミューザ2019 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 ≪人気作曲家の意欲作を今ふたたび!≫

2019-08-06 @ミューザ川崎シンフォニーホール


藤岡幸夫:指揮
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ジョヴァンニ・ソッリマ:チェロ*

シベリウス:「レンミンカイネン組曲」作品22から第4曲『レンミンカイネンの帰郷』
ドボルザーク:チェロ協奏曲ロ短調 作品104*
芥川也寸志:交響曲第1番
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ソッリマ:ナチュラル・ソング・ブック第4、6番*
エルガー:夕べの歌

好漢・藤岡幸夫の采配が楽しみだったが…。
チェロ独奏のソッリマのドボルザークの協奏曲はスリリングで良かったが、むしろアンコールに弾いた自作の無窮動風超絶技巧曲が床を足でふみ鳴らし、お客に手拍子を求めて大いに盛り上がった。

芥川也寸志の交響曲第1番は初聴きだったが、懐古和風の興趣があって面白かった。
客席には芥川夫人もおられた。

藤岡氏は今年4月に首席客演に就いたそうだ。
今後、情熱的な演奏を聴かせてくれる事を期待するよ。

今日に限っては、オケのは元気はあったが、仕上がりが荒っぽい印象を受けた。
また、今日のミューザは珍しくお客の入りが悪くキャパシティの半数に少し届かなかったようだ。気の毒な気がしたよ。


♪2019-117/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-12

2019年8月4日日曜日

フェスタサマーミューザ2019 仙台フィルハーモニー管弦楽団 ≪東北の雄が川崎にやってくる!≫

2019-08-04 @ミューザ川崎シンフォニーホール


高関健:指揮
仙台フィルハーモニー管弦楽団
郷古廉:バイオリン*

ストラヴィンスキー:サーカス・ポルカ
チャイコフスキー:バイオリン協奏曲ニ長調 作品35*
チャイコフスキー:交響曲第4番へ短調 作品36
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イザイ:無伴奏バイオリン・ソナタ第5番から第1楽章*
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」第3楽章から

ホール内に入った途端、空気が澄んでいる気がした。
ホールの響きが良いという予感。
演奏が始まると案の定、音がクリアに響く。
第1曲めは賑やかで短い曲だったからしかとは分からなかったが、2曲めのチャイコフスキー:バイオリン協奏曲では、まず郷古廉のバイオリンが明瞭で綺麗だ。ここまでクリアだと遠くの席にも十分届いたろう。

楽器配置が独特だった。
バイオリンの対向配置(第一バイオリンと第二バイオリンが指揮者を挟んで向かい合う)は珍しくはないが、コントラバスは舞台最後列に横一列で並んだ。これが演奏効果を発揮したか否かは分からないが見た目には妙に落ち着く。

弦楽器の編成は変則12型(12-10-8-8-6)。気持ち低域増強で、これで3曲とも通したが、これこそ効果的だった。
不思議な程、音楽の輪郭がハッキリ聴こえる。

オケも高関師の丹精が行き届いたか纏まりがいい。
メインのチャイコフスキー交響曲第4番ではホルンが特筆の仕事ぶり。

ホールの響きの良さもあるがこんなクッキリ・スッキリの演奏は珍しい。

初めて聴いた仙台フィルだが、予想外の巧さにちょっとびっくり。勿論完璧ではないけど。でも聴衆への訴求力は昨日のN響よりずっと上だった。

終演後は遠来のオケに館内大喝采。

ところで仙台フィルの成功を受けて来年からは関西の雄も九州の雄も招いて欲しい。それでこそミューザ音楽夏祭りだ。


♪2019-116/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-11

2019年8月3日土曜日

フェスタサマーミューザ2019 NHK交響楽団 ≪注目のマエストロと楽しむ名曲ツアー≫

2019-08-03 @ミューザ川崎シンフォニーホール


原田慶太楼:指揮
NHK交響楽団

反田恭平:ピアノ*

ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー*
ボロディン:歌劇「イーゴリ公」から だったん人の踊り
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
ブラームス:ハンガリー舞曲第1番、第5番、第6番
エルガー:行進曲「威風堂々」第1番
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ショパン:子犬のワルツ*
ヒナステラ:バレエ組曲「エスタンシア」から「マランボ」

7月28日の新日フィル+小川典子の際はホールの響きが良く、特にピアノの音に端的に表れていたが、今日もオーケストラとピアノの組み合わせがあったので、どんなものか、楽しみにしていたが、ホールもピアノも格別悪くはないけど、格別良くもないフツーの響きで残念だった。
演奏者の問題ではなくホールの問題だ。
満席に近い客席が音を吸収してしまったのだろうか。

カーンと抜ける明るいピアノの響きはなかなか味わえないものだ。

今日のN響のプログラムは、明日のNHKホールの公演と相当重複していて、ミューザでの演奏はさながらに明日のためのゲネプロみたいな印象で、アンコール曲まで明日演奏する曲だった。

演奏の出来もN響にしては悪い。
ラプソディ・イン・ブルー冒頭のクラリネット独奏はどうしたものか、迷走した。こんな妙ちくりんな出だしは初めて聴く。
ハンガリー舞曲第1番も最近何度も聴いたのだが、先月の東響、東フィルに比べて雑な仕上がり。胸かきむしるような哀愁とは無縁だった。明日はホームのNHKホールで力を発揮するのだろう。

アンコールの初聴きマランボが一番面白かった。

♪2019-115/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-10

2019年8月2日金曜日

南座新開場記念 八月南座超歌舞伎

2019-08-02 @南座


1 超歌舞伎のみかた

2 お国山三 當世流歌舞伎踊(いまようかぶきおどり)
 出雲のお国⇒初音ミク
 名古屋山三⇒中村獅童

3 今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)
 中村獅童宙乗り相勤め申し候
 佐藤四郎兵衛忠信⇒中村獅童
 初音美來/美玖姫⇒初音ミク
 初音の前⇒中村蝶紫
 青龍の精⇒澤村國矢

歌舞伎は好きだが古典がよろしい。新作はあまり観ないし、観ても面白かった試しはない。ゆえに「超歌舞伎」なんて、妙な興行をわざわざ観に行った訳ではなく、大阪の文楽鑑賞の序でに改修後の南座に興味があって出かけた。
が、南座は、見た目にはほとんど変わっていない。備品・調度が新しくなったほかに見た目に大きな変化はない、というか気がつかなかった。エレベーターが付いた(これまでなかったんだよ!)とか、照明設備の拡充、耐震設備などらしいが、これらは客席からはよく分からない。

で、問題の「超歌舞伎」。映像人間?初音ミクとやらと中村獅童が共演する、というのが売りの技術や芸はまだまだ完成途上。

何しろ初音嬢がせめて水煙の中で3Dで登場するのかと思ったら、平面映像のみだ。所詮スクリーン投影の画像と共演?するだけで驚くようなことではない。

驚くのは爆音とレーザー光線含む多種大量の照明、未曾有の大量花吹雪。客席はペンライト、立ち上がっての歓声。

一種のライブショーと考えたら、これも<あり>だろう。若い人が歌舞伎に関心を持つ契機になるだろうし。
また、中村獅童はその名のとおりに獅子奮迅の大活躍で観客サービスに努めていた。初音嬢(の映像)と一緒の宙乗りもあって、飽きさせないものではあった。


ただ、演出の一環としてペンライトをお客に持たせるなら無料で貸与するなど考えないと、ほかに使い途もないライトをチケット代の他に3500円も負担させるのは無理だ。松竹は何を考えている?

♪2019-114/♪南座-01