2019年8月31日土曜日

ARCUS-アルクス-第10回演奏会「金持ちと貧乏」

2019-08-31 @フィリアホール


ARCUS(指揮者なしの室内オーケストラ:メンバーは添付写真

メンデルスゾーン:交響曲第1番ハ短調 作品11
モーツァルト:弦楽五重奏曲第2番ハ短調 K406
モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調 K543

「金持ちと貧乏」という演奏会タイトルは、懐事情に格差があった夭逝の天才メンデルスゾーンとモーツァルトを並べたものだが、音楽で語るにはちょっと無理な気がする。

弦が20人という室内管弦楽でメンデルスゾーン交響曲1番、モーツァルト同39番。モーツァルト弦楽5重奏2番は原編成で。

メンデルスゾーンはモーツァルトに比べて約半世紀遅く生まれたので、いくら彼が15歳で作曲したとはいえ交響曲第1番はやはりロマン派の音楽だ。今回の編成はこの曲の演奏には弦が不足で、管楽器が目立ちすぎる吹奏楽団風でざわついた。

モーツァルトの弦楽5重奏曲は、生活費捻出のために既成の管楽5重奏を弦に置き換えたやっつけ仕事で、ファゴット2本をチェロ1本で賄っているそうだ。道理で本来のチェロの仕事ぶりではない。知らずにCDを聴いている分には抵抗なかったのだけど。知った上でナマを聴くとチェロパートに不足を感じてしまう。

最後のモーツァルト交響曲第39番が素晴らしかった。弦の編成はメンデルスゾーンの時と同編成だが、こちらは音楽にピタリと嵌って小気味良い。
弦の響きも良く、各パートの動き・絡みが、手に取るように分かる。音楽の構造も伝わってきて、実に良く設計された作品だと分かる。オーケストレーションもとてもバランスが取れていると分かる。

これまで、40番、41番の陰に隠れて…(僕の理解不足で隠していたのかも)その素晴らしさをよく味わっていなかったことを思い知った。やはり天才の仕事だ。

♪2019-126/♪フィリアホール-02