2019年8月23日金曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第351回

2019-08-23 @みなとみらいホール


小泉和裕(特別客演指揮者):指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ベートーベン:交響曲第6番ヘ長調Op.68「田園」
ベートーベン:交響曲第5番ハ短調Op.67「運命」

ベートーベン・イヤーでもなく(来年が生誕250年)、定期演奏会で「田園」と「運命」なんて名曲コンサートみたいなプログラムってどうして?と思っていたが、「運命」を聴いて、小泉師、新たに期するところあっての選曲だったのではないか、と自分なりに腑に落ちた。

「田園」は特に新奇なものを感じなかったが、「運命」はとても刺激的だった。久しぶりに「疾走するベートーベン」、いや、「闘争するベートーベン」と呼ぶのがふさわしいかも。

第1楽章の運命の動機からして雄弁。つまり、言いたいことがある!という告知のようだ。
「ダ・ダ・ダ・ダーン」が2回続くが2回目の方が「ダーン」が長いが、指揮者によっては、2回目も1回目と同じような長さにしたり、長さは同じでもディミヌエンドを利かす結果音の長さが楽譜より短く感ずる演奏が少なくない。

今日の演奏は、そこを楽譜どおり弦をきっちりと減衰させずに緩みなく引っ張る。弓道で、弓を思い切り引いて力を溜め、矢を飛ばすような感じだ。
ここに、小泉師が勉強の成果を発揮するんだ、という強い意志を感じた。まことにテンションが高い。

第2楽章はチェロとビオラによるテーマが美しく決まった。中低域の弦のアンサブルは大体綺麗に響くものだけど、それにしても良い響だった。

第3楽章のチェロから始まる小フーガが超速で脂が飛び散る勢い。小気味良し。

4楽章に入っても小泉師の煽り運転が続き、スリリングな緊張感を緩めることなくそのままクライマックスの高みに駆け上った。

滅多にないことだけど、今日は、音楽が「生きている」という思いを強くした。

♪2019-123/♪みなとみらいホール-34