通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)五段目から七段目まで
4時間18分(正味3時間33分)
五段目 山崎街道出合いの段
小住大夫・勝平
二つ玉の段
靖太夫・錦糸・燕二郎
六段目 身売りの段
咲太夫・燕三
早野勘平腹切の段
呂勢太夫・清治
七段目 祇園一力茶屋の段
由良助⇒呂太夫
力弥⇒咲寿太夫
十太郎⇒津国太夫
喜多八⇒文字栄大夫
弥五郎⇒芳穂太夫
仲居⇒亘太夫
おかる⇒津駒太夫
仲居⇒碩太夫
一力亭主⇒南都太夫
伴内⇒希太夫
九太夫⇒三輪太夫
平右衛門⇒藤太夫
前 宗助
後 清友
人形役割
早野勘平⇒和生
千崎弥五郎⇒玉勢
百姓与市兵衛⇒亀次
斧定九郎⇒玉輝
女房おかる⇒一輔
与市兵衛女房⇒簑二郎
一文字屋才兵衛⇒簑太郎
原郷右衛門⇒玉也
斧九大夫⇒勘壽
鷺坂伴内⇒文司
矢間十太郎⇒紋吉
大星由良之助⇒勘十郎
寺岡平右衛門⇒玉助
大星力弥⇒玉翔
遊女おかる⇒簑助
4月公演に続いて第2弾。今回は、五段目から七段目まで。
大序(一段目)から四段目までは、侍たちの四角四面の意地の張り合いのような物語だが、五段目〜六段目は、農家や商家の人々の人情話で、これがなかなか面白い。
五、六段目の主役は早野勘平(萱野三平重実がモデルと言われている。)だ。
彼氏、善良で忠義の男なのだが、ちょいとうっかりミスが多い。ほんのささいな失敗から不運が不運を呼んで、岳父を亡くし、恋女房は遊女に身売りし、挙句、自分は早まって腹を切ることになる。
ここは人間国宝に内定している咲太夫の名調子だったが、なんだか、一段とありがたく聴こえた。
おかるがその身を売られた後に、勘平が切腹をしたので、おかるはその事情を知らずに遊女として祇園「一力」で働いている。
七段目は、全段の中で、一番面白いかもしれない。
「一力」で放蕩を尽くす由良助の元に敵も味方も彼の本心を探りにくる。容易なことで内心を明かさない駆け引きがまずは面白い。
判官(内匠頭)の妻・顔世御前から由良助宛の密書を、ひょんなことからおかるは盗み見してしまう。それを知った由良助はおかるを身請けしてやるという。喜ぶおかるだが、おかるの兄・足軽の平右衛門は、それを聞いて由良助の仇討ちの決意を読み取り、おかるは密書を見た為に殺されるのだと説く。
驚くおかるに、亭主の勘平は切腹し、父親は殺されたことを伝え、「その命、兄にくれ!その命と引き換えに仇討ちの仲間に入れてもらえるよう嘆願する」と切りかかる。もはや、生きる希望を失ったおかるは兄の望みが叶うならと命を差し出すその刹那、陰で聞いていた由良助が平右衛門の覚悟のほどを知り、刀を納めさせ、平右衛門の仇討ち参加を許す。
と、ざっと書いたが、実際はこの段だけで1時間半もある。
いろんなエピソードがあって見どころ、聴きどころ満載。よくぞ、こんな面白い話を作ったものだと思う。
次回公演は11月だ。これで全段完了。また、行かねばなるまい。