2014年5月18日日曜日

ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団名曲全集 第97回

2014-05-18 @ミューザ川崎シンフォニーホール


山根一仁(Vn)
川瀬賢太郎指揮
東京交響楽団

ニールセン:狂詩曲風序曲「フェロー諸島への幻想の旅」
ブルッフ:スコットランド幻想曲 作品46
メンデルスゾーン:交響曲 第3番 イ短調「スコットランド」 作品56
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アンコール(Vn独奏)
ハインリヒ・ヴィルヘルム・エルンスト:シューベルトの『魔王』による大奇想曲」作品26

                          <ホールに入る長い階段。 これが好き!>

今日の演奏会のテーマは「スコットランド」だった(え!いつもテーマなんかあったの?)。
そこで、ニールセンの狂詩曲風序曲「フェロー諸島への幻想の旅」。フェロー諸島というのはスコットランドの北方に位置するデンマークの自治領だそうな(俄仕込み)。
ニールセンの名前は知っていたがその音楽は全く不知。
この音楽は、20世紀の音楽だけど特に変わったものでもなく初めて聴いたけど普通に楽しめた。
最後にクラリネットの最弱音が残り消え入るのだけど、うまかったなあ。リード楽器で弱音をきれいに無音状態まで維持して消えてゆくのは難しいと思う。それがとても印象的だった。

ブルッフはかろうじてバイオリン協奏曲やチェロと管弦楽のための「コル・ニドライ」で好感は持っていたが、今日の「スコットランド幻想曲」は初めてだった。
「幻想曲」というが、独奏バイオリン及び独奏ハープと管弦楽との協奏曲で、全5楽章の大部な作品だ(正式には「スコットランド民謡の旋律を自由に用いた、管弦楽とハープを伴ったヴァイオリンのための幻想曲」)。

この曲も、先日聴いた團伊玖磨の交響組曲「アラビア紀行」と同じく、各楽章が交響曲とは異なる自由な個性を持って面白い。

                                <山根一仁>

独奏バイオリンは山根一仁。
95年生まれというからせいぜい19歳か。中学時代に全国音楽コンクールで1位のほか、輝かしいキャリアを重ねている。

アンコールに独奏で弾いた「シューベルトの『魔王』による大奇想曲」が見るからに超絶技巧で、その腕前を発揮した。

                      <登り切って見下ろした風景。 これが好き!>

最後は、メンデルスゾーンの交響曲 第3番 「スコットランド」。
5曲ある交響曲のうち、最後に完成されたが、第4番、5番は彼の死後出版されたので3番に落ち着いているらしい。
4番の「イタリア」があまりにも有名すぎてそれ以外は陰に隠れているが、隠れた中ではよく聴く機会がある。
「イタリア」同様、スコットランド旅行の際に最初の16小節を思いついたというエピソードから「スコットランド」と本人が名付けたのか、後年そう呼ばれるようになったのか不知。

10年以上かけて完成されたが、最初に思いついたという楽想はいかにもメンデルスゾーンらしい哀調(ピアノ三重奏曲第1番の冒頭を思い出す。)だ。これが他楽章でも再現され、形を変えて登場する。そんなせいで全体にしめやかだが、最後は同名調のイ長調で畳み掛けるように終わって、カタルシス!

CDで聴いていると各楽章がトラックを別にして録音されているが、演奏は全楽章を一気に切れ目なく演奏される。シューマンの4番もそうだが、シューマンは1歳年上のメンデルスゾーンのアイデアを借用したのかもしれないなあ。

<ミューザとは関係ないけど、川崎駅南口の地下街川崎アゼリアと駅を繋ぐ大階段。 これが好き!>

♪2014-56/♪ミューザ川崎シンフォニーホール03