2014年5月24日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団音楽堂シリーズ第1回定期演奏会

2014-05-24  @県立音楽堂



鈴木一成(Fg)【首席奏者】
宮本文昭指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ハイドン:交響曲第1番ニ長調Hob.1:2
モーツァルト:ファゴット協奏曲変ロ長調K.191
ビゼー:小組曲「子どもの遊び」より “行進曲” “二重奏” “ギャロップ”
ビゼー:交響曲ハ長調
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アンコール(Fg)
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番から「クーラント」



県立音楽堂ではしばしば神奈川フィルの演奏会が行われ、聴いてきたが、今日から、「定期」演奏会という形で再出発?した。
その第1回めに参加できたのはまあ、ちょっと記念すべきかな。

指揮は、かの有名な元オーボエ奏者の宮本文昭。
奏者としては2007年に引退し、その後指揮者として活躍しているが、奏者現役時代の言動のせいでネガティヴな印象もあったが、ご本人はなんとも陽気な人柄と見た。指揮ぶりを楽しんでいる様子で何より。
特に、スター気取りせずオーケストラを立てているのは好感。

音楽性については分からないけど、これ見よがしのテンポやダイナミズムもなく、ごく健全な音楽に聴こえて、やはり、一芸に秀ずる者は多芸に通ずるではないか、と思ったが。

前半は、ハイドンとモーツァルト。いずれも生で聴くのは初めて。

後半がビゼー。小組曲「子どもの遊び」はそもそも存在すら知らなかったが、交響曲第1番(といっても2番以降は存在しない。)はとても好きな曲だ。

こうして、独墺の古典とフランスのロマン派を立て続けに聴き比べるとずいぶん音楽の違いが分かる。多分、ロマン派の方が聴きやすい。しかし、個人的には齢を重ねてきてようやくハイドンの簡明さに音楽の純粋性を感じたりするようになってきている。

ビゼーの小組曲「子どもの遊び」は晩年の作だと知った(晩年と言っても36年の生涯なのだけど。)。
今日演奏されたこの曲以外の3曲に共通するものは、いずれも10代に作曲されたということだ。
ちょうど2週間前に聴いたモーツァルトの「孤児院ミサ曲」は彼が10歳の時の作品だというから、今日のファゴット協奏曲も10代と知っても驚くに能わず。ハイドンにも驚かない。

しかし、長らく親しんできたビゼーの交響曲が17歳の時の作品だとは初めて知って、驚いた。


天才たちのなんと早熟なことか。
作曲は技術でもあるけど、感性も必要。特にロマン派の音楽は言ってみれば感性先行音楽だと思うが、ビゼーが17歳の若さでこの境地に達したかと思うとそれはある意味不幸なことかもしれない。

全体に分かりやすい旋律に満ちているが、とりわけ第2楽章にオーボエの甘美な旋律がある。
僕はここにやられた。直撃されたのはそれこそ17歳位の頃だったかもしれない。
それ以来、ビゼーの交響曲1番はしばしば聴いている。
このオーボエを無性に聴きたくなる時がある。

とても哀調なのだけど、ズズッと落ち込まないのがいい。
シューマンやブラームスだと暗っ!という感じ(もちろん、そこが大好き!)があるが、ビゼーはすぐ復調して明るくなる。
この曲全体通じて言えるが、太陽が燦々と降り注ぐような曲調だ。
その中に、タメにタメてから登場する蜂の一刺しのような哀調がよろしい。
これが17歳の仕事だろうか!


宮本はオーボエ出身であるだけに、終演後は女性のオーボエ奏者に観客のオーベイションを求めたが、もちろんブラボーと万雷の拍手で館内は大いに湧いた。

♪2014-57/♪県立音楽堂-09