2014年5月31日土曜日

読売日本交響楽団第72回みなとみらいホリデー名曲シリーズ

2014-05-31 @みなとみらいホール


カトリン・ショルツ:バイオリン
ミヒャエル・ザンデルリンク:指揮
読売日本交響楽団

バルトーク:トランシルヴァニア舞曲 
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調作品26 
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調作品73


ミヒャエル・ザンデルリンクという指揮者については何にも知らなかったが、クルト・ザンデルリンクという名前は知っている。オールドファンには馴染みの指揮者だ。
その息子だそうな。
最初はチェリストとして同じく有名な指揮者クルト・マズアに見出されてその後2005年から指揮者に転向したと(プログラムに書いて)ある。

ベルリン生まれ(バイオリンソリスト、カトリン・ショルツも。)というから、今日のプログラムなど、DNAに染み込んでいるのだろうな。
珍しく指揮棒を持った指揮者だった。



バルトークから始まったが、この曲は初耳!
そもそもバルトークって有名な割に作品は知らない。

トランシルヴァニア舞曲は、バルトークが自分の生地トランシルバニア(当時ハンガリー領、現在はルーマニア領)で採譜した民謡に基づくピアノのためのソナチネを弦楽合奏に編曲したもの。
ところが、今日演奏されたのは、同じハンガリー人のガボール・ダルヴァシュの編曲版だった。どちらも知らなかったので比べようもない。

弦楽合奏だ。
管・打楽器が入らない弦楽5部。

なんという安定感。美しい弦の音色。
ある意味、理想的な編成とも言える。
混ざりもののない同種類の楽器の組み合わせだもの、とても親和性は良い。

1931年の作だが、現代音楽という感じはなく、トランシルヴァニアは知らないけど、たしかに、東欧の土着の匂いはする。

次のブルッフのバイオリン協奏曲が、これまた良かった。
カトリン・ショルツという30歳代前半だろうか?美形の女性だった。
ツンとしたところがなく、とても愛想がよくて感心した。
その音楽性とか言われるとよく分からないのだけど、こういうステージに立つような人は、みんな相当のキャリアを積んだ人たちなので、目立った失敗をしない限りみんな上手で大満足。


ブルッフの協奏曲第1番は、メンデルスゾーン、チャイコフスキー、ベートーベンなどに比べると露出度は低いけど、知る人ぞ知るというタイプの音楽で、隠れファンは多い。
知らない、という人でも、第3楽章を聴けば心当たりがあるのではないか。リズミカルで、民謡風のダイナミックな楽章が爽快なカタルシスを与えてくれる。


で、いよいよブラームスの2番。
4つの交響曲の中では、2番は一番入れ込みの低い作品だった。なぜかなあ、と不思議に思いながらも、いざ聴くとなると、2番はなかなか選ばないものだ。
一つはかなり長大(手持ちCDでは47分)だが、第1楽章だけで20分強。第2楽章が11分強、と頭でっかちだし、曲調がなんとも暗い。主調は長調だけど、暗い。牧歌風だけど暗い。


しかし、今日こそはっきり分かった。
プログラムの解説にかなり丁寧に楽曲解説があって、この音楽はD-C#-Dという音型が全編を支配しているという記述にハタと膝を叩いた。
そのことを念頭に置いて聴くと、なるほど、全体構造が掴めたような気がしたよ。
スコアを持っているので、一度、じっくりスコアと照らし合わせながら吟味してみようと思う。

とにかく、これまでは2番というと第3、第4楽章は素晴らしいけど、前半がなあ~という感じがしていたが、しっかり聴けば、よく考えて作られているのだ。
今日の演奏は、僕の2番観を変えてくれた。
やっぱり、ブラームスは妙味がある。


♪2014-58/♪みなとみらいホール-24

2014年5月24日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団音楽堂シリーズ第1回定期演奏会

2014-05-24  @県立音楽堂



鈴木一成(Fg)【首席奏者】
宮本文昭指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ハイドン:交響曲第1番ニ長調Hob.1:2
モーツァルト:ファゴット協奏曲変ロ長調K.191
ビゼー:小組曲「子どもの遊び」より “行進曲” “二重奏” “ギャロップ”
ビゼー:交響曲ハ長調
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アンコール(Fg)
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番から「クーラント」



県立音楽堂ではしばしば神奈川フィルの演奏会が行われ、聴いてきたが、今日から、「定期」演奏会という形で再出発?した。
その第1回めに参加できたのはまあ、ちょっと記念すべきかな。

指揮は、かの有名な元オーボエ奏者の宮本文昭。
奏者としては2007年に引退し、その後指揮者として活躍しているが、奏者現役時代の言動のせいでネガティヴな印象もあったが、ご本人はなんとも陽気な人柄と見た。指揮ぶりを楽しんでいる様子で何より。
特に、スター気取りせずオーケストラを立てているのは好感。

音楽性については分からないけど、これ見よがしのテンポやダイナミズムもなく、ごく健全な音楽に聴こえて、やはり、一芸に秀ずる者は多芸に通ずるではないか、と思ったが。

前半は、ハイドンとモーツァルト。いずれも生で聴くのは初めて。

後半がビゼー。小組曲「子どもの遊び」はそもそも存在すら知らなかったが、交響曲第1番(といっても2番以降は存在しない。)はとても好きな曲だ。

こうして、独墺の古典とフランスのロマン派を立て続けに聴き比べるとずいぶん音楽の違いが分かる。多分、ロマン派の方が聴きやすい。しかし、個人的には齢を重ねてきてようやくハイドンの簡明さに音楽の純粋性を感じたりするようになってきている。

ビゼーの小組曲「子どもの遊び」は晩年の作だと知った(晩年と言っても36年の生涯なのだけど。)。
今日演奏されたこの曲以外の3曲に共通するものは、いずれも10代に作曲されたということだ。
ちょうど2週間前に聴いたモーツァルトの「孤児院ミサ曲」は彼が10歳の時の作品だというから、今日のファゴット協奏曲も10代と知っても驚くに能わず。ハイドンにも驚かない。

しかし、長らく親しんできたビゼーの交響曲が17歳の時の作品だとは初めて知って、驚いた。


天才たちのなんと早熟なことか。
作曲は技術でもあるけど、感性も必要。特にロマン派の音楽は言ってみれば感性先行音楽だと思うが、ビゼーが17歳の若さでこの境地に達したかと思うとそれはある意味不幸なことかもしれない。

全体に分かりやすい旋律に満ちているが、とりわけ第2楽章にオーボエの甘美な旋律がある。
僕はここにやられた。直撃されたのはそれこそ17歳位の頃だったかもしれない。
それ以来、ビゼーの交響曲1番はしばしば聴いている。
このオーボエを無性に聴きたくなる時がある。

とても哀調なのだけど、ズズッと落ち込まないのがいい。
シューマンやブラームスだと暗っ!という感じ(もちろん、そこが大好き!)があるが、ビゼーはすぐ復調して明るくなる。
この曲全体通じて言えるが、太陽が燦々と降り注ぐような曲調だ。
その中に、タメにタメてから登場する蜂の一刺しのような哀調がよろしい。
これが17歳の仕事だろうか!


宮本はオーボエ出身であるだけに、終演後は女性のオーボエ奏者に観客のオーベイションを求めたが、もちろんブラボーと万雷の拍手で館内は大いに湧いた。

♪2014-57/♪県立音楽堂-09

2014年5月18日日曜日

ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団名曲全集 第97回

2014-05-18 @ミューザ川崎シンフォニーホール


山根一仁(Vn)
川瀬賢太郎指揮
東京交響楽団

ニールセン:狂詩曲風序曲「フェロー諸島への幻想の旅」
ブルッフ:スコットランド幻想曲 作品46
メンデルスゾーン:交響曲 第3番 イ短調「スコットランド」 作品56
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アンコール(Vn独奏)
ハインリヒ・ヴィルヘルム・エルンスト:シューベルトの『魔王』による大奇想曲」作品26

                          <ホールに入る長い階段。 これが好き!>

今日の演奏会のテーマは「スコットランド」だった(え!いつもテーマなんかあったの?)。
そこで、ニールセンの狂詩曲風序曲「フェロー諸島への幻想の旅」。フェロー諸島というのはスコットランドの北方に位置するデンマークの自治領だそうな(俄仕込み)。
ニールセンの名前は知っていたがその音楽は全く不知。
この音楽は、20世紀の音楽だけど特に変わったものでもなく初めて聴いたけど普通に楽しめた。
最後にクラリネットの最弱音が残り消え入るのだけど、うまかったなあ。リード楽器で弱音をきれいに無音状態まで維持して消えてゆくのは難しいと思う。それがとても印象的だった。

ブルッフはかろうじてバイオリン協奏曲やチェロと管弦楽のための「コル・ニドライ」で好感は持っていたが、今日の「スコットランド幻想曲」は初めてだった。
「幻想曲」というが、独奏バイオリン及び独奏ハープと管弦楽との協奏曲で、全5楽章の大部な作品だ(正式には「スコットランド民謡の旋律を自由に用いた、管弦楽とハープを伴ったヴァイオリンのための幻想曲」)。

この曲も、先日聴いた團伊玖磨の交響組曲「アラビア紀行」と同じく、各楽章が交響曲とは異なる自由な個性を持って面白い。

                                <山根一仁>

独奏バイオリンは山根一仁。
95年生まれというからせいぜい19歳か。中学時代に全国音楽コンクールで1位のほか、輝かしいキャリアを重ねている。

アンコールに独奏で弾いた「シューベルトの『魔王』による大奇想曲」が見るからに超絶技巧で、その腕前を発揮した。

                      <登り切って見下ろした風景。 これが好き!>

最後は、メンデルスゾーンの交響曲 第3番 「スコットランド」。
5曲ある交響曲のうち、最後に完成されたが、第4番、5番は彼の死後出版されたので3番に落ち着いているらしい。
4番の「イタリア」があまりにも有名すぎてそれ以外は陰に隠れているが、隠れた中ではよく聴く機会がある。
「イタリア」同様、スコットランド旅行の際に最初の16小節を思いついたというエピソードから「スコットランド」と本人が名付けたのか、後年そう呼ばれるようになったのか不知。

10年以上かけて完成されたが、最初に思いついたという楽想はいかにもメンデルスゾーンらしい哀調(ピアノ三重奏曲第1番の冒頭を思い出す。)だ。これが他楽章でも再現され、形を変えて登場する。そんなせいで全体にしめやかだが、最後は同名調のイ長調で畳み掛けるように終わって、カタルシス!

CDで聴いていると各楽章がトラックを別にして録音されているが、演奏は全楽章を一気に切れ目なく演奏される。シューマンの4番もそうだが、シューマンは1歳年上のメンデルスゾーンのアイデアを借用したのかもしれないなあ。

<ミューザとは関係ないけど、川崎駅南口の地下街川崎アゼリアと駅を繋ぐ大階段。 これが好き!>

♪2014-56/♪ミューザ川崎シンフォニーホール03

2014年5月16日金曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団第299回定期演奏会

2014-05-16 @みなとみらいホール



﨑谷直人(Vn/第1コンサートマスター)
現田茂夫(名誉指揮者)

團 伊玖磨:交響組曲「アラビア紀行」
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番 ニ長調 K.218
ドボルザーク:交響曲第7番 ニ短調 Op.70
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アンコール
ハイドン弦楽四重奏曲第1番「狩」から第3楽章
(﨑谷直人+弦楽3部の首席)

現田茂夫(名誉指揮者)

團 伊玖磨:交響組曲「アラビア紀行」は、その存在さえ知らなかったくらいで、当然聴いたのは初めて。これまでに、あるいは、電波に乗ったことがあるのかもしれないけど、Youtubeにも見当たらず。

さて、その名も「アラビア」を冠するだけに異国情緒たっぷりだ。
断言はできないけど、いわゆるジプシー音階(C-D-Eb-F#-G-Ab-B-C)か、彼の地のその類の旋法によっているのだろう。
この例ではEb-F#、Ab-Bにできる増2度が、西洋音楽に馴染んだ耳にはとても刺激的なのだ。
エキゾチックを感ずる所以でもあるけど、全6楽章、約40分の大曲で、睡眠不足の身にはかなり堪えたなあ。

最後のドヴォルザークも、後期ロマン派である以上にチェコの国民楽派で、スラブ舞曲に代表されるような哀愁を帯びた土着的・民族的なメロディーやリズムが特徴的だ。ブラームスの指導を得てからは、かなり、独墺的な抑制と構築性を獲得したようだが、やはり、(好みだけど)民族色が強く残っている。もっとも、だからこそ、広く好まれるのだろうけど。


このコテコテの情緒性に挟まって、モーツァルトのバイオリン協奏曲第4番は、なんと軽やかで透明感があって、可愛らしいことか。

このソロを弾いたのが、この4月から若干26歳(27歳?)で神奈川フィルの第一コンサートマスターに就任した﨑谷(さきや)直人で、当然、腕前に不安はないが、弾き終えてから仲間からの祝福を受けて相当照れていた。

<直江智沙子(第2バイオリン首席)>

何度かのカーテンコールの後に楽譜を持ってアンコールに応えるべく登場した。
曲はソロバイオリニストのアンコールにつきものの無伴奏作品ではなく、オーケストラの仲間から残る第2バイオリン、ビオラ、チェロの各首席奏者が一緒になってハイドンの弦楽四重奏曲の緩徐楽章を弾いた。
これもきれいな曲だ。



神奈川フィルはお客様を大切にしている。終演後は1階ロビーで、全員ではないが、楽団員が楽器を片手に(持たない・持てないパートもあるが)整列して、ありがとうございましたと声をかけてくれる。その砲列の中を歩くのはとても恥ずかしい。

♪2014-55/♪みなとみらいホール-23

2014年5月14日水曜日

つの笛の鬼 〜日高 剛 ホルン一筋〜

2014-05-14 @かなっくホール


日高剛(ホルン)
大野真由子(ピアノ)
お話:平井邦俊(音楽プロデューサー、ホルン奏者)

ブヤノフスキー:スペイン(独奏ホルンのための4つの即興曲「旅の印象より」より)
チャイコフスキー:交響曲 第5番 第2楽章(ホルン独奏/ピアノ版)
クーツィール:ホルンのためのソナチネ 作品59-1
サン=サーンス/演奏会用小品 作品94
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アンコール
中原達彦:ハレルヤ for Horn & Piano



日高さんというのは、元N響の首席代行で、我が国のトップクラスのホルン奏者だそうだ。

舞台に誰もいない状態で会場が暗転し、ハテ?と思っていると、客席後方から素晴らしいホルンの響き!
ワーグナーのバイロイト音楽祭のファンファーレが大音量で鳴り響いた。
まずは、意表をつく演出。

そして明るくなり舞台へ。
まずは、無伴奏でブヤノフスキー作曲「スペイン」。
ブヤノフスキーという人は初めて聴く名前だ。自身ホルンの巨匠だったそうで、相当高度なテクニックを要する難曲と見た。
                                                

2曲めがチャイコフスキーの交響曲第5番から第2楽章をまるママピアノ伴奏で演奏。元々この楽章はホルンが長いソロで大活躍する曲だが、ピアノとホルンだけで、オーケストラの雰囲気を再現してなかなかの聴きものだった。
ピアノパートがこれもとても難しいらしい。そりゃそうだな。ほぼ一人で管弦楽を全部受け持つのだもの。

このピアノのお姉さんがまだ可愛らしいくて、芸大の修士課程を卒業して母校の講師を勤める傍らリサイタルなどのコンサート活動もしているそうだ。大野真由子さん。感じ良かった。

                                                   大野真由子(ピアノ)

今日はクラッシックコンサートには珍しく平井邦俊さんという人が司会を務めたが、この人もホルン奏者ということだが、実に軽妙な司会ぶりで面白かった。

演奏の合間を縫って、ホルンという楽器がどうして生まれたか、どうしてかたつむりみたいにまいているのか、角笛とはどう違うのかなどを説明してくれた。
そしてクライマックスはホルンと同じ長さのゴムホースの端に小さなプラスティック製漏斗を取り付け、直線に伸ばして片方にマウスピースをつけて、ここに彼が息を吹き込むと、もう信じられない。
少し音色は違うけどまさにホルンの音がして、ちゃんと音楽が演奏できるのだ。

その後の演奏も知らない曲ばかりだったが、ホルンも名手にかかるとこんなに美しい音が出るのかと大いに驚いた。
また、N響って、こういうレベルの演奏家を揃えているんだなあ、巧いはずだよ、と思った。

<かなっくホールエントランス。かなっくの「な」にも神奈川区のシンボル浦島太郎の亀がデザインされていたとは、この日まで知らなかったよ。>

さて、こんな楽しいコンサートが、わずか500円!
しかもあるいて7、8分ほどの駅に隣接しているかなっくホールで聴けるとはほんとにラッキー。

♪2014-54/♪かなっくホール-02

みなとみらいクラシック・クルーズ Vol.56 クドウ・シゲノリ・フルート・アンサンブル

2014-05-14 @みなとみらいホール


工藤重典 岩佐和弘 秋山君彦 立花千春 吉田杏奈(以上Fl)
成田有花(Pf)

J.B.ボワモルティエ:5本のフルートのための協奏曲第4番
モーツァルト:自動オルガンのためのアンダンテ K616
L・アンダーソン(町田育弥編曲):ワルティング・キャット
F.J.ゴセック(安田芙充央編曲):タンブーラン・ア・ラ・ポップ
ドップラー:アンダンテとロンド
P・ボノー:ディベルティスマン
S・ジョップリン:メイプル・リーフ・ラグ
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アンコール
H・アーレン:オーバー・ザ・レインボウ
H・マンシーニ:小象の行進


フルートばかりの五重奏団。曲によっては編成が変わり、ピアノ伴奏が入った。

最初の「5本のフルートのための協奏曲第4番」はフルートのみの五重奏で3楽章構成の本格的な協奏曲。
作曲したジョゼフ・ボダン・ド・ボワモルティエという人はロココ時代のフランス人らしいが、まずは優雅な音楽だった。

しかし、なんでフルートだけで五重奏なのか、という疑問は終始離れなかったなあ。ピッコロを入れるとか、ソプラノフルートやバスフルート(見たことないけど)とか入れたら面白いのに。
でも、当時(17世紀末~)のことだから、フルート仲間5人で演奏できる曲を作ってくれという注文があったのだろうな。

このフルート五重奏曲のほかにもピアノを含めた何種類かの編成でいろんな曲が演奏されたが、どの曲がどういう編成だったか、もう思い出せない。

彼(彼女)らのフルートの音色は柔らかく、時にハッとするくらい美しい。名人上手にかかると豊かな低音から突き抜けるような高音までどこをとっても魅力に溢れている。


恥ずかしながら工藤重典(呼び捨て御免)の存在をこれまで知らなかったが、かの有名なランパルの一番弟子であり、サイトウ・キネンの首席でもあり、日本を代表するフルーティストの1人らしい。CDもたくさん出ているのだ。

今日のフルートアンサンブルは工藤とその弟子筋のグループらしいが、めったに聴けないフルートアンサンブルを堪能できた。

欲を言えば、ドップラーのハンガリー田園幻想曲も聴きたかったが。
あまりにもポピュラーすぎて演奏する側にはつまらないのだろうか。

コンサートの後、早速Amazonで工藤のCD(もちろん、ハンガリー田園幻想曲入り)を買った。

♪2014-53/♪みなとみらいホール-22

2014年5月11日日曜日

N響第1781回 定期公演 Aプログラム

2014-05-11 @NHKホール


マティアス・ゲルネ:バリトン
ガエタノ・デスピノーサ指揮
NHK交響楽団


●フランク:交響曲 ニ短調
●ワーグナー:
歌劇「さまよえるオランダ人」から オランダ人のモノローグ「期限は過ぎた」*
楽劇「トリスタンとイゾルデ」から「前奏曲」
楽劇「ワルキューレ」から「ウォータンの別れと魔の炎の音楽」*
楽劇「神々のたそがれ」から「ジークフリートの葬送行進曲」

*マティアス・ゲルネ:バリトン


フランクの作品は今日演奏された「交響曲ニ短調」のほか「バイオリンソナタイ長調」が有名だが、他の作品は一般的にはほとんど知られていないのではないか。かくいう僕もこの2曲しか馴染みはない。

長らく交響曲ニ短調も聴く機会もなかったが、ずいぶん久しぶりに聴いて、やっぱり人気があるのを納得した。

交響曲なのに3楽章しかないという変則構成だけど、第2楽章の中間部がスケルツォなので、古典的な形式に則っているようでもある。

バイオリンソナタの方はいかにもフランス的だけど(ベルギー生まれのフランス育ち)、こちらはドイツ音楽ぽさが濃厚だ。
分かりやすいメロディーが、全楽章にわたって繰り返される構成感の良さも相まって、やっぱり、名曲だと納得する。
昨日のラフマニノフの交響曲2番は冗長の感があったが、フランクは情緒に流されるような部分がなく引き締まって均整のとれたオトナの音楽という感じがする。


休憩を挟んで、ワーグナーの歌劇・楽劇から4曲。
そのうち、2曲がバリトンの歌唱付き。

フランクにワーグナーって妙な取り合わせだし、交響曲が先に演奏されるのも変だなあという気がしていたけど、聴いてみると全然違和感なし。やはり、フランクの交響曲がドイツロマン派っぽいせいかも。

また、交響曲の後にワグナーというのも、楽器編成をみて納得。
フランクもかなり編成は大きかったけどそれを上回る規模だ。
特に最後の「ジークフリートの葬送行進曲」など、ティンパニー2組、ハープ4台、ワーグナーチューバ4台その他いろいろの特大編成で、それだけ、管弦楽の響も厚い。これを先にやってしまってはフランクが気の毒。


うち2曲はマティアス・ゲルネによる歌唱付きで、世界のトップクラスだそうだが、3,600席の大ホールで、伴奏の大オーケストラにも埋もれること無く歌を響かせるとはさすがにプロだ。
重苦しい歌ばかりだったが、ワーグナーの世界を十分感じさせてくれた。

たまたま3日連続して神奈川フィル、日フィル、N響と聴いた。
やはりN響はうまい!と思うのは、そんな気にさせられているだけなのか、やっぱり実力に差があるのか、さてどうなんだろう。
いずれにせよ、オーケストラは楽しい!

♪2014-52/♪NHKホール-02