井上道義:指揮
東京都交響楽団
ベートーベン:交響曲第6番ヘ長調 op.68《田園》
ベートーベン:交響曲第5番ハ短調 op.67《運命》
見せる・聴かせる・楽しませる圧倒的な名演。
このところずっと都響には隔靴掻痒の思いを抱いていたが、今日、ようやく胸の痞えが降りた。やればできる!
「田園」は弦の編成は8型(全体的には10型だが、第1バイオリンが△2という変形)という極めてコンパクトだがこれがもうシャキシャキとして気持ちが良く、弦が透明感を保ち美しい。席もこだわりの良席だったが、初めて聴いたアプリコホールがまろやかに響いた。良いホールだ。
「運命」は弦14型。第1バイオリンは6人も増員。弦の響はぐんと厚くなった。
「田舎に着いた愉快な気持ち」とは大違いの次元の異なる響きで重く迫った。「苦悩から歓喜へ」は既にここに始まっている。こういう違いを明確に示した。
6番では指揮台もなく指揮棒もない。
5番では編成を拡大して指揮台に乗り指揮棒を持った。
この視覚的にも明らかな対比が井上流の一種のケレンだ。
弦のアンサンブルに注意して聴いたが、AB定期で時々気になる高音域の不快音が今日は全くなかった。無駄に16型にした場合に失敗が多い。
今日の「田園」の弦は計29人。「運命」は50人。
それでも「運命」では響が重くなった。それが狙いだとしても効果は発揮できたろうか?
むしろ「運命」も12型で聴きたかったな。
♪2019-168/♪アプリコホール-01