2019年11月30日土曜日

N響第1927回 定期公演 Aプログラム

2019-11-30 @NHKホール


鈴木優人:指揮
NHK交響楽団

ニコラ ・アルトシュテット:チェロ*

メシアン:忘れられたささげもの
ブロッホ:ヘブライ狂詩曲 「ソロモン」*
コレッリ:合奏協奏曲第8番「クリスマス協奏曲」
メンデルスゾーン:交響曲第5番「宗教改革」
----------
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調 BWV1011から「サラバンド」*

鈴木優人の登場。小中篇4本を繋ぐ鍵は「宗教」。
といっても深い意味はない語呂合わせのようなもので、むしろ概念明確にした中篇2本とか大作1本でN響デビューを飾って欲しかった。

個人的に五目飯3杯目まではおいしくなかったが、メンデの「宗教改革」はなかなかの御馳走。

生で聴く機会が極めて少ないが、やはり生でないと面白さがなかなか伝わらない。じっくり聴けば結構面白い作品だ。20歳くらいで作曲したとは思えない。

第3楽章の覚えやすい綺麗な主題に馴染みがあるが思い出せなかったが、帰りの電車で気がついた。ショスタコーヴィチのジャズ組曲ワルツ#2にそっくり。

ショスタコーヴィチは意識的にメンデルスゾーンを引用したのだろうか。偶然似てしまったのか?
魅力的な音楽なので、のちにキューブリックは遺作「アイズ ワイド シャット」で印象深く使っている。

終楽章のコラールは終盤フーガ風に盛り上がってゾクゾクさせるものの、もっと上手に作曲できたのではないか、と聴く度に思う。

2019-190/♪NHKホール-08

2019年11月29日金曜日

クラシック・ヨコハマ 第198回毎日ゾリステン「カルテット・アマービレ」 〜弦楽四重奏の調べ

2019-11-29 @みなとみらいホール


カルテット・アマービレ
篠原悠那:第1バイオリン
北田千尋:第2バイオリン
中恵菜: ビオラ
笹沼樹: チェロ

ベートーベン:弦楽四重奏曲第3番ニ長調 作品18-3
バルトーク:弦楽四重奏曲第4番 作品91
ピアソラ:ブエノスアイレスの四季
 〜夏・秋・冬・春〜
-------------------
ピアソラ:リベルタンゴ

四重奏団としても個々の構成員としても初聴き。多分全員20歳台だと思う。
毎日ゾリステンは日本音楽コンクールを共催する毎日新聞社がその入賞者ら若い才能をフォローする企画らしい。今回198回。過去の出演者の記録を見るとそうそうたる顔ぶれが並んでいる。

アマービレは既にアンサンブルとしても高い評価を得ているようで、なるほど巧い。

バルトークもピアソラの2曲もかなり高度なテクニックを駆使していたやに思う。
特にバルトークはこの曲で海外の著名なコンクールに入選したそうで、気合の入った演奏だった。

僕としてはもっと渋いのを聴きたかったな。

♪2019-189/♪みなとみらいホール-54

2019年11月28日木曜日

みなとみらいクラシック・マチネ~名手と楽しむヨコハマの午後〜 2台ピアノ/2つの個性・感性が織りなす音楽

2019-11-28 @みなとみらいホール


金子三勇士、中野翔太:ピアノ*

【第1部】
ドビュッシー(デュティユー編曲):月の光*
モーツァルト:2台のピアノのためのソナタニ長調 K.448*
リスト:ラ・カンパネラ(金子三勇士ソロ)
ミヨー:スカラムーシュ*

【第2部】
ラヴェル:水の戯れ(中野翔太ソロ)
ドビュッシー:小組曲*
ホルスト:組曲「惑星」より”木星”*
ラヴェル:ラ・ヴァルス(連弾)
-------------------
チャイコフスキー :「くるみ割り人形」から”こんぺいとうの踊り”
*2台のピアノによる演奏

クラシック・マチネーシリーズ。
雨の日のホールは良く鳴る…法則?が当たって、今日のピアノ2台の音の輝きは見事なものだった。
まずは、その響の美しさに大満足。
そしてソロ・デュエット・連弾によるピアニスティックな作品の面白さの再発見の連続は楽しい!

金子のソロ・闘うカンパネラに圧倒され、中野のソロはホンに水の戯れの面白さ。木星も面白かったが、何といってもドビュッシー小組曲とラヴェルのラ・ヴァルスに刮目した。
いずれも管弦楽でよく聴くが、ピアノ・デュオや連弾によってそれらの音楽の本当の姿に初めて触れた感じ。

2人のMCも和気藹々で楽し。

♪2019-188/♪みなとみらいホール-53

2019年11月24日日曜日

モーツァルト・マチネ第38回「最期」〜東京交響楽団〜

2019-11-24 @ミューザ川崎シンフォニーホール


ジョナサン・ノット:指揮
東京交響楽団

荒絵理子:オーボエ*

R. シュトラウス:オーボエ協奏曲 ニ長調 AV. 144
モーツァルト:交響曲 第41番 ハ長調 K. 551 「ジュピター」

R.シュトラウスのオーボエ協奏曲は多分初聴き。
聴き慣れた伊バロックの諸作品とは全然興趣異なるも1945年の作とも思えない古風な作り。

でも、モーツァルト・マチネなのになんで?
ノットは自分が指揮する回は大抵趣旨を曲げても自分の選曲を通そうとするからどうかと思うよ。

独奏の荒嬢の白いドレス、この日のために数十万円かけて新調したのか…、友人の結婚式には着て行けないなあなどと妄想している内に終曲😓。

お楽しみはモーツァルト交響曲第41番。
弦編成は第2バイオリン以下5-4-3-2プルトで第1バイオリンも同数5プルト=10人。対抗配置では時々見る形。

すっきりとした小編成で各部の動きが目にも耳にもくっきりで楽しい。

ノット氏、よく踊っていた。
快調な音楽だったが時々見せる意図的な強弱&テンポ変化。

あ、それやめて〜。全ては楽譜に書いてあるだろ、と心中の声。

♪2019-187/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-25

2019年11月23日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第352回横浜定期演奏会

2019-11-23 @みなとみらいホール


大井剛史:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団

朴葵姫:ギター*

【リムスキー=コルサコフ生誕175年プログラム】
リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 op.34
ロドリーゴ:アランフェス協奏曲*
リムスキー=コルサコフ:交響組曲《シェエラザード》 op.35
-------------
タレルガ:アルハンブラの思い出*
リムスキー=コルサコフ:歌劇「雪娘」から”軽業師の踊り”

リムスキー=コルサコフの2曲、特にシェヘラザードが力演。
弦のアンサンブルはほぼ完璧。
オケってこんなに調子が良い時があるのかと思うほど。
管楽器も明るくて強力で特にバストロンボーンとテューバの響きに痺れた。

日フィルの実力を遺憾なく発揮。大井剛史氏、丁寧な指揮ぶりだが、テンポ遅すぎ?

中に挟まったアランフェスが酷い。演らない方が良かった。

オケは、弦を24人に絞った上にギターはマイク集音SP付き(指揮者用?)だが、電源入れ忘れ?と思う程音量が小さい。
かき鳴らす音は聴こえるが旋律線が弱くて話にならない。
1F中央でも聴き取るのが大変だったが、2、3Fでは聴き取れたろうか。

♪2019-186/♪みなとみらいホール-47

2019年11月22日金曜日

東京フィル第129回東京オペラシティ定期シリーズ

2019-11-22 @東京オペラシティコンサートホール


ケンショウ・ワタナベ:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

舘野泉:ピアノ*

ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲ニ長調*
マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」

ラヴェル左手のためのピアノ協奏曲とマーラー交響曲第1番。

前者は意見はあるが、前にも書いているので今回はノーコメント。いや、音楽は聴き応えがあって面白いが。

後者は一般的に「巨人」と呼ばれているが、そういう表現は間違いだとは柴田南雄説。でも今更外せまい。集客に影響大だ。

その「巨人」にもいろいろ思うことがあるが、とりわけ長尺第4楽章のクソ馬力に屈服させられてしまって何を言っても虚しい気がする。

♪2019-185/♪東京オペラシティコンサートホール-06

新日本フィル:#27ルビー<アフタヌーン コンサート・シリーズ>

2019-11-22 @すみだトリフォニーホール


キンボー・イシイ:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団

山崎伸子:チェロ*

シューベルト:交響曲第1番ニ長調 D82
チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲 op. 33*
ベートーベン:交響曲第5番ハ短調 op. 67「運命」
---------------
カザルス:鳥の歌*

新日フィルの指揮は太田弦から急遽変わってキンボー・イシイ。
シューベルト交響曲第1番、チャイコフスキーのロココ風の主題による変奏曲にベートーベン交響曲第5番。
癒しコンサートだった。

「運命」は全体にUPテンポだったが、処々にルバートを効かせたのが安っぽく感じた。僕の気分ではインテンポで走って欲しい。

今年は「運命」当たり年だった。
飯守+日フィルには刮目した。
小泉+神奈川フィルの全編煽り運転も痺れた。
井上+都響は井上流外連を効かせた。

そんな後のイシイ+新日フィルは平凡に良し。

♪2019-184/♪すみだトリフォニーホール-04

2019年11月20日水曜日

国立文楽劇場開場35周年記念11月文楽公演 第1部「心中天網島」

2019-11-20 @国立文楽劇場


心中天網島(しんじゅうてんのあみじま)
 北新地河庄の段
  織太夫/清介
  呂勢太夫/清治
 天満紙屋内の段
  希太夫/清馗
  呂太夫/團七
 大和屋の段
  咲太夫/燕三
 道行名残の橋づくし
  三輪太夫・睦太夫・靖太夫・小住太夫・
  文字栄太夫/ 
  清友・團吾・友之助・清公・清允

 人形役割
  紀伊国屋小春⇒簑二郎
  粉屋(こや)孫右衛門⇒玉助
  紙屋治兵衛⇒勘十郎
  女房おさん⇒清十郎
         ほか

「心中天網島」は9月に東京で観たばかりだが、せっかく大阪に行くのだからこちらも鑑賞。

演者が少し変わった。
東京では小春を和生が遣ったが大阪では河庄の前後半で簑二郎・簑助が勤めた。
太夫・三味線も変わったが河庄奥の呂勢太夫・清治、天満紙屋奥の呂太夫・団七、大和屋切の咲太夫・燕三といった重要な場面は同じ配役だった。

唯一人の切り場語り咲太夫は何度も聴いているけど、この秋、人間国宝に指定されてからは初めてということになる。ますます、ありがたみが増したような…。

甲斐性なしの紙屋治兵衛28歳。
惚れてしまった遊女小春18歳。
いずれも数えだから現代風ではもうちょっと幼い。
巻き込まれた女房おさんこそ大迷惑。

治兵衛らに同情はできないが、その心中場面。
先に殺めた小春から抜き取った真っ赤な帯揚げ?で首を括る治兵衛。
この絵の美しさが哀れを引き立たせる。

咲太夫
♪2019-183/♪国立文楽劇場-4

2019年11月19日火曜日

国立文楽劇場開場35周年記念11月文楽公演 通し狂言「仮名手本忠臣蔵」第Ⅲ部

2019-11-19 @国立文楽劇場


通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
八段目から十一段目まで 4時間30分(正味3時間50分)

 八段目 道行旅路の嫁入
  津駒太夫・織太夫・南都太夫・亘太夫・碩太夫/
  宗助・清志郎・寛太郎・錦吾・燕二郎
 九段目 雪転しの段-山科閑居の段
  芳穂太夫/勝平
  前 千歳太夫/富助
  後 藤太夫/藤蔵     
 十段目 天河屋の段
  口 小住太夫/寛太郎
  奥 靖太夫/錦糸
   十一段目 花水橋引揚より光明寺焼香の段
  睦太夫・津國太夫・咲寿太夫・碩太夫/清𠀋

人形役割
  妻戸無瀬⇒和生
  娘小浪⇒一輔
  大星由良助⇒玉男
  妻お石⇒勘彌
  大星力弥⇒玉佳
  加古川本蔵⇒勘十郎
  天川屋義平⇒玉也
  原郷右衛門⇒分司
  矢間十太郎⇒勘一
  寺岡平右衛門⇒簑太郎
  桃井若狭之助⇒玉志
         ほか

3年前に国立劇場開場50周年記念の「仮名手本忠臣蔵」…2部構成の11段通しを観たのが、恥ずかしながらナマ文楽の最初で、これで嵌ってしまった。
その後は東京の公演は1回も欠かさず。今年は大阪遠征も3回・4公演を楽しんだ。

今年の3部構成の忠臣蔵も今回で全段終幕。

本場大阪では、国立文楽劇場開場35周年行事として時間をたっぷりかけたので、東京では演らなかった2段目冒頭、力弥使者の段と11段目の最後の最後、光明寺焼香の段も観られて良かった。
やはり焼香の段は泣かせる場面だ。花水川引き揚げで終わるよりカタルシスが得られて満足感が高い。

この本格的全段通し、次回はいつか。
もう一度くらい観たいね。
3回皆勤賞で手拭GET。

♪2019-182/♪国立文楽劇場-3

2019年11月17日日曜日

東京交響楽団 川崎定期演奏会 第72回

2019-11-17 @ミューザ川崎シンフォニーホール


ジョナサン・ノット:指揮
東京交響楽団

ベルク:管弦楽のための3つの小品 作品6
マーラー:交響曲第7番 ホ短調「夜の歌

ベルクなんて嫌い。
ここで居眠りしてマーラー交響曲第7番に備える積もりが、煩くて寝られない。

その7番。
定期ではマーラー中で一番演奏機会が少なく、あえて聴きにゆくこともないので今回3回目。
しかし過去2回はいずれも(読響・N響)熱演で、長尺の割に楽しんだ記憶があったが。

今回は東響の面々の剛腕ともいえる力演にもかかわらず、ベルクで気分を害していたのでそれが尾を引いたり、昨日のブラームス(N響)の余韻が尚も残っていたからか、素直に入り込めなかった。

嫌な部分ばかり気になった。

俗臭芬々。

柴田南雄「マーラー」を読んでみたらやはり7番は褒めるに窮している。

♪2019-181/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-24

2019年11月16日土曜日

N響第1925回 定期公演 Aプログラム

2019-11-16 @NHKホール


ヘルベルト・ブロムシュテット:指揮
NHK交響楽団

マルティン・ステュルフェルト:ピアノ*

ステンハンマル:ピアノ協奏曲第2番ニ短調 作品23*
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 作品90
----------
ステンハンマル:3つの幻想曲 作品11-第3曲*

ブロム翁の指揮、ステンハンマルのピアノ協奏曲をステュルフェルトの独奏で聴く。3人ともスウェーデン人。ま、土地の香りなど分からなかったが、20世紀初めの作品にしてはロマン派を思わせる聴きやすい音楽だった。

メインはブラームス交響曲第3番。
サガンを読み、映画「さよならをもう一度」は何度も観た。

この映画で最初に登場するのはその第3楽章。ブラームスの全作品中で最も甘美な旋律ではないか。
演奏会の場面では同じくブラームスの交響曲第1番の第4楽章。
主人公2人がコンサートの休憩後の再開に遅れて入ったらここでも第3番の第3楽章が始まっていて中に入れない。

この映画を観た人は大抵「ブラームスはお好き」になる。
僕もこれを聴く度にバーグマンとパーキンスがホールの階段で立ち聴きするシーンを思い出す。


ブロム翁が指揮をするN響は普段以上にキリッとしているように思うのは気のせいか。何と言っても団員の、そして観客総員の敬愛が翁に注がれていて、みんながこの瞬間を尊いものとして全身で受け止めようとしているのではないか。そういう音楽へ共感が嬉しい。

何回かのカーテンコールの後に登場した際は歩きながら指を3本立てて楽団員に示した。ということは、最初から決めていたのではなかったか。フツー定期演奏会でアンコールはやらないものだ。
が、各員に指示が行き渡ったところで指揮台に乗り腕を振り降ろして始まったのはいうまでもなく第3楽章。もう、涙が出るほど(出ないけど!)嬉しかった。なんて、美しい音楽だ。

2019-180/♪NHKホール-07

神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会みなとみらいシリーズ第353回

2019-11-16 @みなとみらいホール


カーチュン・ウォン:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

﨑谷直人:バイオリン*
門脇大樹:チェロ*

ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲
ブラームス:バイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調Op.102*
エルガー:変奏曲「エニグマ(謎)」Op.36
---------
J.S.バッハ:インヴェンション第1番ハ長調 BWV772(Vn+Vc版)*

2年半前に初めてカーチュン・ウォンの指揮で聴いたのも神奈川フィル。その時にとても良い印象を受けた。久しぶりに見るウォン氏は少し太って貫禄が出てきた。見た目も大切だ。オケとの交流も進んだようで、隅から隅まで彼がコントロールしているように聴こえる。

聴きなれた「タンホイザー」序曲も管弦楽曲としてなかなか面白いなあと再発見。
ブラームスのダブル・コンチェルト。出だしの迫力が欠けたが、その後は安心して楽しめた。独奏2人がオケの常任だから、みんなが応援して良い音楽にしようとしているのが伝わってきた。

珍しくホールの響きが固かったのはどうして?
いつももっと良い響きだけど?

♪2019-179/♪みなとみらいホール-51

2019年11月15日金曜日

令和元年度(第74回)文化庁芸術祭協賛 11月中席 落語芸術協会真打昇進披露公演

2019-11-15@国立演芸場


落語  柳亭明楽⇒粗忽の釘
落語  桂伸三⇒時そば
歌謡漫談   東京ボーイズ
落語  桂小文治⇒代わり目
落語  桂米助⇒野球寝床
 ―仲入り―
真打昇進披露口上
落語  桂文治⇒鈴ヶ森
落語  柳亭楽輔⇒
ものまね   江戸家まねき猫
落語  柳亭小痴楽⇒岸柳島

流石に人気者・小痴楽の真打昇進披露公演だ。多分、満員だったろう。大きな団体が入っていたようだ。
今月は上席も真打昇進披露だったが、そのせいか、出演者も当の本人だけでなく結構熱が入って面白いものが多かった。
マンネリの東京ボーイズもようやく新ネタに切り替えた。

柳亭明楽、桂伸三、桂小文治、桂文治はいずれも合格点。
しかしベテランの桂米助はいつもながらに面白くない。ほとんど野球の話で落語になっていない。
小痴楽の師匠・楽輔も楽屋話に終始して演題も付けられない有様。

さて、小痴楽のナマは初聴き。滑舌良く巧い。
が、色気不足は今後に期待しよう。

♪2019-178/♪国立演芸場-16

2019年11月13日水曜日

河村尚子「ベートーベン ピアノ・ソナタ・プロジェクト」第4回(全4回)

2019-11-13 @紀尾井ホール


河村尚子:ピアノ

<オール・ベートーベン・プログラム>
ピアノ・ソナタ第30番ホ長調 Op. 109
ピアノ・ソナタ第31番変イ長調 Op. 110
ピアノ・ソナタ第32番ハ短調 Op. 111

2年越しのベートーベン・ピアノ・ソナタ14曲演奏・全4回の完結篇で今日は30〜32番。好きな作品だが、流石にこの3曲は弾くのも大変だろうけど、聴く方も相当疲れる。
専門的なことは分からないが、ベートーベンは28番以降相当自由に作曲しているように思う。
32番の冒頭などホンに意表を突く。

これらの作品は、正直なところ自分の感性がそれまでのソナタのようにはシンクロできない。何十回も或いは何百回も聴いているから、聴きながら次の旋律・リズムは出てくるのだけど、自分の感覚にはなっていない。まあ、そこが面白いとも言える。あるとき、突然、ぴたっと重なる時が来るかもしれない。

♪2019-177/♪紀尾井ホール-2

新国立劇場オペラ「ドン・パスクワーレ」

2019-11-13 @新国立劇場


ドニゼッティ:歌劇「ドン・パスクワーレ」
全3幕〈イタリア語上演/字幕付〉

予定上演時間:約2時間25分
第Ⅰ幕〜第Ⅱ幕 80分
 --休憩25分--
第Ⅲ幕 40分

指揮:コッラード・ロヴァーリス
演出:ステファノ・ヴィツィオーリ
美術:スザンナ・ロッシ・ヨスト
衣裳:ロベルタ・グイディ・ディ・バーニョ
照明:フランコ・マッリ
演出助手:ロレンツォ・ネンチーニ

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団

ドン・パスクワーレ⇒ロベルト・スカンディウッツィ
マラテスタ⇒ビアジオ・ピッツーティ
エルネスト⇒マキシム・ミロノフ
ノリーナ⇒ハスミック・トロシャン ほか

「ドン・パスクワーレ」は、物欲・色欲の爺さんが若者にいっぱい食わされる喜劇として受け取られている向きがある。
そのようなつもりで観ていたか、僕の周りには前半呑気な笑いが広がっていたが、フン、最後まで笑ってられるかなと冷たい目で見ていたところ、終盤は、やはりみんな笑えない。

そうだ。本当は、これは気の良い老人を思いやりのない若者が虐待する話なのだから。

瑕疵のある物語が無理矢理の大団円でねじ伏せられるオペラは少なくない。これもその一つ。愈々ドン・パスクワーレを同じくらいの年齢として見ると切なくなってくる。

ま、歌劇鑑賞としてはそこんところは置いておいて。
急遽配役変更になったノリーナ役ハスミック・トロシャンがうまい。声量もありよく通る声だ。美形で豊胸と眼福モノ。
ドンのロベルト・スカンディウッツィもマラテスタ役ビアジオ・ピッツーテイも巧くて早口2重唱は聴きものだった。
エルネスト役マキシム・ミロノフの声が細くて惜しかったね。

新国立劇場としては新制作だが、海外での演出・装置・衣装をそのまま持ち込んだようだ。
その為か、天井の高い舞台を生かしきっていない感じもしたが、台所のシーンなど装置にも驚かされるし、アクロバチックなサビースもあって、全体として良くできているなと感心した。

♪2019-176/♪新国立劇場-11

2019年11月11日月曜日

東京都交響楽団 第890回 定期演奏会Aシリーズ

2019-11-11 @東京文化会館


エリアフ・インバル:指揮
東京都交響楽団

チャイコフスキー:幻想曲《フランチェスカ・ダ・リミニ》op.32
ショスタコーヴィチ:交響曲第11番ト短調 作品103「1905年」

メインは昨日東響で聴いたショスタコーヴィチ交響曲第11番。
比較すれば東響に軍配。演奏の違いというより、やはり、ホールの音響の差が大きい。

文化会館のデッドな乾いた響きも好きだけど、客席を包み込むような響きにはならない。

でも、出だしの緊張感、重量感のある弦のアンサンブルは都響が優っていたかも。

とはいえ、管も打楽器群も健闘した割には腹に響いてこない。

終盤に向かって、東響に感じた怖いような迫力が不足した。
演奏が悪いとか指揮がどうとかいう問題ではなく、文化会館ではこういう響きなんだろう。

昨日ミューザで聴いていなかったら、今日の都響は凄かったと思うのだろうな。パーカッションの鐘も貧弱だった。

♪2019-175/♪東京文化会館-09

11月歌舞伎公演「孤高勇士嬢景清(ここうのゆうしむすめかげきよ)―日向嶋―」

2019-11-11 @国立劇場


西沢一風・田中千柳=作『大仏殿万代石楚』
若竹笛躬・黒蔵主・中邑阿契=作『嬢景清八嶋日記』から
国立劇場文芸研究会=補綴
通し狂言 孤高勇士嬢景清(ここうのゆうしむすめかげきよ) 四幕五場
   ― 日向嶋 (ひゅうがじま) ―
            国立劇場美術係=美術

序   幕 鎌倉大倉御所の場
二幕目 南都東大寺大仏供養の場
三幕目 手越宿花菱屋の場
四幕目 日向嶋浜辺の場
             日向灘海上の場

悪七兵衛景清⇒中村吉右衛門
源頼朝/花菱屋長⇒中村歌六
肝煎左治太夫⇒中村又五郎
仁田四郎忠常⇒中村松江
三保谷四郎国時⇒中村歌昇
里人実ハ天野四郎⇒中村種之助
玉衣姫⇒中村米吉
里人実ハ土屋郡内⇒中村鷹之資
和田左衛門義盛⇒中村吉之丞
俊乗坊重源/花菱屋遣手おたつ⇒嵐橘三郎
梶原平三景時⇒大谷桂三
秩父庄司重忠⇒中村錦之助
景清娘糸滝⇒中村雀右衛門
花菱屋女房おくま⇒中村東蔵
           ほか

9月の文楽「嬢景清八島日記」に前段2幕を加えた歌舞伎版通し。
時代物に世話物がサンドイッチになった構造。
特に終幕・日向嶋は能の様式も取り入れて多彩な見もの。
吉右衛門、歌六、又五郎、雀右衛門、東蔵とうれしい芸達者が揃った。
最近歌昇がいい。

♪2019-174/♪国立劇場-14

2019年11月10日日曜日

名曲全集第151回 オランダの彗星、ユッセン兄弟

2019-11-10 @ミューザ川崎シンフォニーホール


沼尻竜典:指揮
東京交響楽団

ユッセン兄弟(アルトゥール&ルーカス・ユッセン):ピアノ*

モーツァルト:3台のピアノのための協奏曲へ長調 K.242「ロドロン」(ピアノ2台バージョン)*
ショスタコーヴィチ:交響曲第11番ト短調 作品103「1905年」
-------------
イゴ・ローマ:シンフォニア40*

前半のユッセン兄弟のモーツァルトの3台のピアノのための協奏曲を2台で演奏(モーツァルト自身の編曲)は初聴き。
音楽は軽快で面白いが、兄弟だから機械のように揃うかと思ったが、やはり人間ぽい演奏だった。アンコールのイゴ・ローマのシンフォニア40が傑作。モーツァルトの交響曲第40番を素材にジャズっぽく編曲されていた。

メインはショスタコーヴィチ交響曲第11番。
10月に井上道義+N響ですごいのを聴いたばかり。それがこの曲の初聴きだったのに、今日聴いて明日も都響で聴く。どうなっているのだろう?

で、今日の演奏。
第1楽章の拙さ。管はミス。弦はキンシャリ。アンサンブルは空中分解しそうで危ないこと。こんな調子で最後までなら苦痛でしかないなと思っていたら、打楽器中心に強勢に入ってようやく盛り返した。それまでに30分近く経過していたと思う。
だいたい全4楽章に切れ目がないのだから、どこで楽章が変わったかも分からないのだけど。

その後は、ひたすら大音響で激しいリズムが原始脳を揺さぶり、類人猿に戻ったような気分。

舞台後方にアクリルで囲まれた中のチューブラベルとプレートブロッケンが鳴り響いてその余韻が消えるまで音楽が続いた。

アクリルは鉄板が客席に飛んでゆかぬように防護したのかと思ったが、響き抑制の為に囲ったそうだ。たしかに良く響いていたが何の「警鐘」だったのだろう。明日の都響の趣向如何。

♪2019-173/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-23

2019年11月9日土曜日

NISSAY OPERA 2019 『トスカ』

2019-11-09 @日生劇場


園田隆一郎:指揮
粟國淳:演出
読売日本交響楽団

トスカ⇒砂川涼子
カヴァラドッシ⇒工藤和真
スカルピア⇒黒田博
アンジェロッティ⇒デニス・ビシュニャ
堂守⇒晴雅彦
スポレッタ⇒工藤翔陽
シャッローネ⇒金子慧一
看守⇒氷見健一郎

G.プッチーニ作曲 オペラ『トスカ』 全3幕
(原語[イタリア語]上演・日本語字幕) 

台本:ルイージ・イッリカ&ジュゼッペ・ジャコーザ
作曲:ジャコモ・プッチーニ

砂川涼子のトスカ。楽しみに待っていたが期待を上回る上出来。
若手の工藤和真・カラヴァドッシもベテラン黒田博・スカルピアも素晴らしい。園田指揮読響も彼らの演奏だけでも幸せな位大船に乗ったような演奏だった。
劇場自体とても音響が良くピット臭がしない。

昨年の新国立の「トスカ」がこれまで観た中で群を抜いていたのであれを超えるトスカはしばらく出会えそうにないな、と思いつつ、我が、マドンナ砂川涼子様に大いなる期待を託していたところ、これが全く裏切られるどころか。前回の新国立「ランスへの旅」で彼女の実力を再発見したが、今回も刮目拝聴。

今回もあの小柄な体躯にフルートからトランペットまで隠しているように柔らかな弱音(よく通る)から心揺さぶり脳天を抜けてゆく強力な高音までに酔った。
とりわけ2幕のドラマの緊迫感はただならぬ迫力。名曲「歌に生き〜」と共に震えたよ。

演出面での疑問はリアルな映像投影。これは興を削いだ。

♪2019-172/♪日生劇場-02

2019年11月8日金曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート2019後期 〜名曲の花束&弦楽セレナード

2019-11-08@みなとみらいホール


プラメン・デュロフ:指揮
ソフィア・ゾリステン

リヤ・ペトロヴァ:バイオリン*

J.S.バッハ:G線上のアリア
ドボルザーク:ユーモレスク
チャイコフスキー:弦楽セレナード op.48
エルガー:愛のあいさつ*
サラサーテ:カルメン幻想曲*
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークから第1楽章
ハイドン:セレナード
J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ
J.S.バッハ:幻想曲 BWV542
パガニーニ:ラ・カンパネラ*
シューベルト:アヴェ・マリア*
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン*
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*はペトロヴァがゾリステンとともに独奏者として参加した曲

ちょうど3年前に同日・同所で聴いている。
13人の弦楽合奏に3年前と同じVn独奏リヤ・ペトロヴァが曲によって加わった。
演奏曲はホンに「名曲の花束」だ。
腕の確かな職人集団の仕事ぶりで、綺麗なアンサンブルに、独奏Vnも美しく安定した弾きっぷり。

別に指揮者がいたが、その必要もないのではないか。
また、曲目も3年前とほとんど同じ(12曲中9曲)なのはちょいと芸がない。

綺麗な音楽を上手に聴かせてくれて、なんだか、癒された感じもするが、物足りなくもある。もう、この手の名曲コンサートはパスしたいが「みなとみらいアフタヌーンコンサート」というセット券
で買っているので仕方がない。

♪2019-171/♪みなとみらいホール-50