2022-11-02 @みなとみらいホール
バイオリン:和波孝禧*
バイオリン:川畠成道**
バイオリン:成田達輝**
バイオリン:渡辺玲子
特別編成合奏団
コンサートマスター:三浦章宏
バイオリン:荒木唯子、礒絵里子、臼井麻実、宇根京子、小寺麻由、高井敏弘、徳永希和子、松尾牧子、横島礼理
ビオラ:須田祥子、田辺藤祐、三浦克之
チェロ:新井幸子、高橋純子、山内俊輔
コントラバス:高橋洋太
チェンバロ:小森谷裕子
J.S.バッハ : 無伴奏バイオリン組曲第2番ニ短調 BWV1004から第5曲「シャコンヌ」*
J.S.バッハ:2つのバイオリンのための協奏曲
ニ短調 BWV1043**
ビバルディ:バイオリン協奏曲集《和声と創意の試み》Op.8「四季」***
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J.S.バッハ:G線上のアリア
今年で7回目だそうだ。バリアフリー化も標榜したリニューアルの面目躍如で視覚障害者との共生を意識した演奏会だ。いつになく、白状や盲導犬を連れたお客も多かったし、演奏者(ソロもオケ)にも視覚障害者が少なからず。
音楽は漆黒の闇の中で。
鷗子館長のMCで、見える人にも見えない人にも向けた演奏会の意図や心構えなどから始まり、まず以って「闇」を経験した。
それは善光寺の胎内巡りと同じで、もう、全く何にも見えないのだ。
それは一種恐怖でもあるが、毎日をその世界で暮らしている人達と同じ空間にいるのだと思うと複雑だ。
音楽は、最初は照明の下で始まるが、やがて漆黒に。
ここで感覚の切替が難しい。
音だけという意味ではCDを聴くのも同様だが、生の音楽を音だけで受け止めることの難しさ。
途中、和波氏が鷗子さんとの短い対談の中で、こちらの気持ちを察したかのようにモヤモヤ感について語ってくれたことがむしろ一条の光になった…という倒錯感も。
いや、全てがスッキリした訳ではないが、音の芸術が光を必要とするのか、考える契機となったことは確かだ。
小林美樹が参加できなかったのが残念だが、渡辺玲子に代わったのはとても良かった。鉄壁の技巧を久しく聴いていなかったから。
ソリスト達も豪華だが、特別編成オケ18人も豪華で何気なくコンマスをやっているのは三浦章宏、その対面は同じ東フィルの須田祥子。他にもN響数名、読響、都響で顔馴染みチラホラ。
みんな、当然、何気なく演奏している。
しかし実に楽しそうで、「見える」と「見えない」の心のバリアフリー状態がおそらく、客席にも伝染し、とても心温まる演奏会となった。
♪2022-163/♪みなとみらいホール-02