2016年11月3日木曜日

国立劇場開場50周年記念 通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら) 第二部 四幕五場

2016-11-03 @国立劇場


平成28年度(第71回)文化庁芸術祭主催
竹田出雲・三好松洛・並木千柳=作
通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)第二部四幕五場
国立劇場美術係=美術


浄瑠璃道行旅路の花聟   清元連中
五段目   山崎街道鉄砲渡しの場
      同二つ玉の場
六段目   与市兵衛内勘平腹切の場
七段目   祇園一力茶屋の場

(主な配役)
【道行旅路の花聟】
早野勘平⇒中村錦之助
鷺坂伴内坂⇒東亀三郎
腰元おかる⇒尾上菊之助

【五段目】
早野勘平⇒尾上菊五郎
千崎弥五郎⇒河原崎権十郎
斧定九郎⇒尾上松緑

【六段目】
早野勘平⇒尾上菊五郎
原郷右衛門⇒中村歌六
勘平女房おかる⇒尾上菊之助
千崎弥五郎⇒河原崎権十郎
判人源六⇒市川團蔵
与市兵衛女房おかや⇒中村東蔵
一文字屋お才⇒中村魁春

【七段目】
大星由良之助⇒中村吉右衛門
寺岡平右衛門⇒中村又五郎
赤垣源蔵⇒坂東亀三郎
矢間重太郎⇒坂東亀寿
竹森喜多八⇒中村隼人
鷺坂伴内⇒中村吉之丞
斧九太夫⇒嵐橘三郎
大星力弥⇒中村種之助
遊女おかる⇒中村雀右衛門
ほか

3ヶ月とも初日を取りたかったが、11月の第2部は2日目に観劇することになった。

今回はおかる・勘平の道行に始まって7段目の一力茶屋まで。

忠臣蔵を描いた歌舞伎は、これまでに観た記憶・記録にあるものを並べると「主税と右衛門七」、「弥作の鎌腹」、「忠臣蔵形容画合」、「碁盤太平記」、「東海道四谷怪談」などがあるが、このうち「忠臣蔵形容画合」が「仮名手本忠臣蔵」の大序から7段目までを抜粋してまとめたものなので、少なくとも7段目までの筋は覚えていても良さそうなものなのに全然頭に入っていなかった。

今回は、気合を入れて予習・復習しているから話の展開は非常によく分かった。
芝居の前半は早野勘平の悲劇物語。不自然なほどに作り込まれた筋だが見せ場は多い。

落語の「中村仲蔵」は5段目に登場する斧定九郎を演ずる役者の工夫の物語で、実話だそうだ。今回の舞台では松緑が扮するのだけど、中村仲蔵の工夫によって斧定九郎の役が大きくなったので今や松緑クラスにも配役されるのだろうが、それにしても松緑には役不足ではなかったか。

落語では「4段目」というのもあって、今回通し公演を観ているからこそ、この落語のおかしさが良く分かった。

7段目が第2部の芝居の後半といえる。
「忠臣蔵」には欠かせない一番良く知られた話だ。第1部では由良之助(幸四郎)は4段目のみの登場だったが、第2部も最後の段だけ。しかしこの場だけで1時間50分とかなりの長丁場。
お茶屋遊びに呆けている由良之助(吉右衛門)の真意は何処に在りやと敵も味方も疑いが晴れない。
吉右衛門は国立劇場開場の年(昭和41年)に襲名したそうで、今年は吉右衛門にとっても襲名50年という節目の年だ。
芸については感想を言えるほど通じていないけど、やはりこの人が出てくると大きな舞台に中心ができ緊張感が生まれるのはなるほどなあと思う。

複雑な人間関係と絡み合った人情がやがてほぐれて束になり怒涛の第3部に突入する訳だが、今回の第2部も楽日近い日程で再見する予定なので細部までよく頭に入れて第3部に突入したい。

♪2016-149/♪国立劇場-07