2022年11月30日水曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート2022後期 《EMOTION》 堤剛 & 萩原麻未

2022-11-30 @みなとみらいホール



堤剛:チェロ
萩原麻未:ピアノ

ベートーベン:チェロ・ソナタ第4番ハ長調 op.102-1
シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D.821
ドビュッシー:チェロ・ソナタ ニ短調
R.シュトラウス:チェロ・ソナタ ヘ長調 op.6
---------アンコール----------
ラヴェル:ハバネラ


80歳の堤剛に期待はできないが萩原ちゃんのファンなので楽しみだった。
彼女を初めて聴いた時のアンコールが史上最速の子犬のワルツで強烈な印象を残した。アンコールだからお遊びもあったのだろうけど。以来好印象は裏切られない。

今日は、なんとチェロ・ソナタばかり4曲というプログラム!
1曲位ピアノ・ソナタを入れてくれたらいいのに。若手に機会を与え才能を伸ばすのも年寄りの仕事だろうが…と思っていたが、聴き始めるとRシュトラウスは馴染みが少ないが他は好物ばかりで面白い。年齢から4曲は無理じゃないかと危惧していたがこれも全く杞憂だった。

堤剛を最後に聴いたのが、やはりみなとみらいホールで13年半も昔の事。その時、良い印象を持たなかったので、その後は格別聴こうともせず、オケ定期に彼は出てこないから結果的に随分久しぶりとなった。

昔に比べると全体的に音が柔らかく、荻原ちゃんのffに埋もれるような場面もあったが、枯れた良い味だ。


帰宅後、このコンビの録画を思い出して回してみた。2017年のデュオ・リサイタル@ハクジュで、この時もR.シュトラウスのソナタを弾いている。やはり5年前は演奏にも元気がある。ついつい、聴き終えてしまった。

ついでに思い出したのが、ロストロポーヴィチ75歳の時の「最後のドン・キホーテ」。録画を観始めたら面白くて、ついに長い夜になった。



♪2022-181/♪みなとみらいホール-04

2022年11月27日日曜日

東京交響楽団川崎定期演奏会 第89回

2022-11-27 @ミューザ川崎シンフォニーホール



ジョナサン・ノット:指揮
東京交響楽団
アンティエ・ヴァイトハース:バイオリン*

シューマン:「マンフレッド」序曲 作品115
シューマン:バイオリン協奏曲 二短調 WoO23*
ベートーべン:交響曲第2番ニ長調 Op.36
--------------------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン組曲第2番から「サラバンド」*



1曲目目開始直前の客席トラブル(何かを床に落としたらしい音あり。指揮台のノットは一度客席を振り返った。)で指揮者とオケが共有していた気脈が一旦断たれたように思った。そうでなくとも休符から始まる「マンフレッド序曲」の音の流れが受け止めづらく、過去に東響を含めいろんなオケで聴いているが、今回も入口で躓いた感。

バイオリンのA.ヴァイトハースは初聴き。
使用楽器が2001年製の某というので興味深く聴いたが、なかなか明瞭な音で、高域は鋭く中低域は豊かに鳴る感じ。アンコールの無伴奏で特に楽器としての真価を発揮したように思う。

シューマンの協奏曲は大変な難曲らしく、過去に生で聴いたのは1回(郷古廉)のみ。

まあ、素人にはメンデルスゾーンであれチャイコフスキーであれ、同じように難しそうに聴こえるから、このシューマンの遺作が1980年代までシューマンが書いたオリジナルどおりには演奏されなかったと読んで驚いた。


メインがベートーベン交響曲第2番。
これが実に良かった。
この頃、ミューザも少し響が硬い。冬の音だろう。
それがこの音楽にはお似合いだった。

ノットのナヨナヨした指揮ぶりに似合わず、音楽の方は、シューマンの難解なオーケストレーションの霧を晴らしてシャキシャキとして、気持ちが良い。そして、やはりベートーべンの音楽の力強さに改めて思い至った。

終演後、コンマスのG.ニキティンの表情に(2/24以後消えてしまった)笑みが少し戻ったのはまさしくベートーべンの音楽の力だろう。

♪2022-180/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-43

2022年11月26日土曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第382回横浜定期演奏会

2022-11-26 @みなとみらいホール



角田鋼亮:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
児童合唱:シンフォニーヒルズ少年少女合唱団




チャイコフスキー:バレエ音楽《くるみ割り人形》

序曲 
●第1幕
第1曲 情景【クリスマスツリー】
第2曲 行進曲
第3曲 子供たちの小ギャロップと両親の登場
第4曲 踊りの情景【ドロッセルマイヤーの贈り物】
第5曲 情景と祖父の踊り
第6曲 情景【招待客の帰宅、そして夜】
第7曲 情景【くるみ割り人形とねずみの王様の戦い】
第8曲 情景【松林の踊り】
第9曲 雪片のワルツ
●第2幕
第10曲 情景 【お菓子の国の魔法の城】
第11曲 情景 【クララと王子の登場】
第12曲 ディヴェルティスマン[登場人物たちの踊り]
 チョコレート【スペインの踊り】
 コーヒー 【アラビアの踊り】
 お茶 【中国の踊り】
 トレパック 【ロシアの踊り】
 葦笛 【フランスの踊り】
 ジゴーニュ小母さんと道化たち
第13曲 花のワルツ
第14曲 パ・ド・ドゥ【金平糖の精と王子のパ・ド・ドゥ】
 アダージョ
 ヴァリアシオンⅠ[タランテラ]
 ヴァリアシオンⅡ金平糖の精の踊り
 コーダ 
第15曲 終幕のワルツとアポテオーズ 


今日から、日フィルもみなとみらいホールに戻ってきて嬉や。
ラザレフは今回も欠席で悲しや(ピンチヒッターは角田鋼亮)。

バレエ音楽「くるみ割り人形」全曲。 

全曲版も過去何度も聴いているけど、圧倒的に組曲版が多い。
因みに、チャイコの3大バレエ中、本人編の組曲は「くるみ割り人形」だけだそうだ。

この組曲は全曲完成後に編まれたものではなく、先に組曲が完成し発表されたという。なのにどうして第2幕の音楽が偏重されているのだろう?
お陰で全曲版を聴くときに、序曲のほか第1幕で馴染みがあるのは行進曲・雪片のワルツくらいだ。

とはいえ、1幕最後を締める雪片のワルツは児童合唱(23人)のボカリーズが美しい!全員マスクをしていたが、母音唱法なので音楽の面では気にはならなかった(見かけは悪いし意味がないマスクをさせられて気の毒だよ。)。

演奏は、1幕に関しては、みなとみらいホールに戻ったのに、イマイチの感じだったが、それは怒涛の名曲揃いの2幕への腕鳴らしだったか!

2幕に入ると、次々と繰り出される耳タコの心地よい音楽を堪能した。音楽に酔いながら、せめて、パ・ド・ドゥではダンサーを登場させられなかった、と切に思ったが、まあ、狭いよなあ。県民ホールならできたと思うけど。

ま、今年も新国立劇場の「くるみ割り人形」は既に良席GET済みだ。いよいよ楽しみ。

♪2022-179/♪みなとみらいホール-07

2022年11月25日金曜日

新国立劇場バレエ団 春の祭典

2022-11-25 @新国立劇場



『春の祭典』
米沢唯、福岡雄大
ピアノ演奏:後藤泉、松木詩奈

『半獣神の午後』
奥村康祐、中島瑞生、福田圭吾、宇賀大将、小野寺 雄、福田紘也
石山蓮、太田寛仁、小川尚宏、上中佑樹、菊岡優舞、樋口響、
山田悠貴、渡邊拓朗、渡部義紀


『半獣神の午後』(新国立劇場バレエ団委嘱・初演)
【演出・振付】平山素子
【音楽】クロード・ドビュッシー、笠松泰洋
【照明デザイン】森規幸

『春の祭典』
【演出・振付・美術原案】平山素子
【共同振付】柳本雅寛
【音楽】イーゴリ・ストラヴィンスキー
【照明デザイン】小笠原純
【美術作品協力】渡辺晃一(作品《On An Earth》より)

約1時間20分
第1部『半獣神の午後』20分
 休憩20分
第2部『春の祭典』  40分


新国立劇場《バレエ》団による《ダンス》公演。
ではバレエとダンスは何が違うのか?
劇場のスタッフ数人に尋ねてみたが誰も明快な回答ができなかった。どうやら灯台下暗しの難問らしい。バレエ公演とダンス公演と区別して開催している以上、違いがあるはずだけど。

中劇場だったが、ピットが覆われて舞台に。
1階最前列の床と舞台に段差がなく、すぐ客席から舞台が広がっている。中劇場といえど非常に奥行きのある広い舞台だ。

前から3列目だったので、オペラパレスでは見えないダンサーの筋肉の付き具合まで見えて、生々しい迫力だ。

前半はドビュッシーの牧神の午後への前奏曲+パンの笛+オリジナル音楽を肉体で表現する男性15人によるダンス。

初日だったせいか、アンサンブルの悪いところがあった。
それにこの音楽で男性のみとはしっくりこない。
本公演が初演だったそうだが、再演の価値があるかな。

後半は「春の祭典」。こちらは、男女1組なので2人の呼吸が問題なのだろうが、素人目には安定感があった。
ただ、広い舞台に踊手2人では、ダンス自体の変化に乏しく、これで40分間はダンサーにもキツイし観客にもキツイなあ、というのが正直な感想。
生ピアノ2台の音楽はとても良かったけど。

♪2022-178/♪新国立劇場-13

2022年11月24日木曜日

ランチタイムコンサート〜音楽史の旅④

2022-11-24 @かなっくホール


倉田莉奈:ピアノ
司会・解説:飯田有抄(音楽ファシリテーター)

シューベルト:楽興の時 D.780から第3番へ短調
シューベルト:4つの即興曲集 D.899から第3番変ト長調
シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調 D.960


2か月に1回の音楽史の旅も今月から後半に入り、全3回の共通テーマはシューベルト。今日はピアノ曲。
という訳で有名な曲ばかり演奏された。と言っても第なん番とか言われても思い出せないのだけど、演奏が始まると「あ、これか」という次第。

メインのピアノ・ソナタ第21番はさすがに聴く前から「あ、あの旋律だ」と覚えていた。
多分、全21曲中1番聴く機会が多い様な気がする。

シューベルトは1794年11月19日に31歳で亡くなった。
奇しくも今日は命日の5日後だ。
この最後のソナタは同年9月の作だそうで、全作品中もほぼ最後に近い。

ピアニストはホール/レジデンスアーティストの倉田莉奈。

この曲は、次はどう変化する…など先を考えずに流れに身を委ねて聴いて、シューベルトの心象風景を共にしてほしいと言われて、うむ、そうしてみようと思ったけど、やっぱり聴きながら、次はどう変化するぞ、と考えてしまった。

♪2022-177/♪かなっくホール-12

2022年11月23日水曜日

第1970回 NHK交響楽団 定期公演 B-1

2022-11-23 @サントリーホール


レナード・スラットキン:指揮
NHK交響楽団
レイ・チェン:バイオリン*

<ヴォーン・ウィリアムズ生誕150年>
ヴォーン・ウィリアムズ:「富める人とラザロ」の5つのヴァリアント
メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲ホ短調 作品64*
ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第5番ニ長調
------------------------
パガニーニ:24の奇想曲 作品1-第21曲イ長調*


スラットキンは公演中止の年もあってか6年ぶりだ。
ヴォーン・ウィリアムズ生誕150年と謳った割には中途半端な構成だが、個人的には良かった。

1曲目は弦楽合奏にハープ2台による英国民謡の主題と変奏らしい。彼の地の音楽らしい旋律が聴こえてくるが、弦16型は大き過ぎてハープとのバランスが悪るかった。

2曲目がなぜかメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲(メンコン)。バイオリンはレイ・チェン。
彼の演奏は、2018年に都響でブラームスのバイオリン協奏曲を聴いたが、16型(が大好きな)の都響にも埋没しない強力な演奏だった。

今日のN響はなんと10型で臨んだ。

これはとてもいい。ブラームスの協奏曲と比較はできないにせよ、やはりバイオリン協奏曲のオケは小振りに限る。

それに剛腕?レイ・チェンのバイオリンの明瞭なこと。
楽器も4年前とは異なり、今は有名な「ドルフィン」が貸与されているという。そのせいもあるのだろう、実に音圧が高く、滑舌が良く、明瞭だ。

9月に周防亮介でチャイコンを聴いた際に、PAを使っているのではないかと思う程明瞭だったが、今回も生楽器の音とは思えないほどの鮮やかさにびっくりした。

やや、独自な節回しも感じたが、何よりご本人が実に楽しそうに弾いているのがいい。音楽がそこにあるという感じだ。
メンコンでは今も辻彩奈@都響が忘れられないが、レイ・チェンの演奏も暫くは記憶に残るだろう。
Encのパガニーニも神技級!

メインのヴォーン・ウィリアムズの交響曲第5番は初聴きだったが、彼の作品は初めてであれ、処々に英国民謡風な旋律が織り込まれ、どこか懐かしさを含んでいて心地よい。
時にハッとするような美しい光景に出会うような音楽であった。

♪2022-176/♪サントリーホール-20

新国立劇場 開場25周年記念公演 モデスト・ムソルグスキー「ボリス・ゴドノフ」<新制作>

2022-11-23 @新国立劇場



大野和士:指揮
【演出】マリウシュ・トレリンスキ
【美術】ボリス・クドルチカ
【衣裳】ヴォイチェフ・ジエジッツ
【照明】マルク・ハインツ
【映 像】バルテック・マシス
【ドラマトゥルク】マルチン・チェコ
【振付】マチコ・プルサク

【合唱指揮】冨平恭平
【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京都交響楽団

【ボリス・ゴドゥノフ】ギド・イェンティンス
【フョードルの声】小泉詠子
【クセニア】九嶋香奈枝
【乳母】金子美香
【ヴァシリー・シュイスキー公】アーノルド・ベズイエン
【アンドレイ・シチェルカーロフ】秋谷直之
【ピーメン】ゴデルジ・ジャネリーゼ
【グリゴリー・オトレピエフ(偽ドミトリー)】工藤和真
【ヴァルラーム】河野鉄平
【ミサイール】青地英幸
【女主人】清水華澄
【聖愚者の声】清水徹太郎*
【ニキーティチ/役人】駒田敏章
【ミチューハ】大塚博章
【侍従】濱松孝行
*本プロダクションでは、聖愚者は歌唱のみの出演。


モデスト・ムソルグスキー
ボリス・ゴドノフ<新制作>

プロローグ付き全4幕
〈ロシア語上演/日本語及び英語字幕付〉

予定上演時間:約3時間25分
 プロローグ・第Ⅰ幕  70分
  休憩   25分
 第Ⅱ・Ⅲ幕        40分
  休憩   25分
   第Ⅳ幕            45分



少なくとも3つの版があり、それを上演に当たっては演出家が弄くり回すので、何が本来のボリスの姿なのかよく分からない。
版の違いを含め筋書きは理解しているつもりだったが、知っているとむしろ混乱する。さりとて知らなきゃさっぱり分からない。

今回は許容限度を超えた奇妙奇天烈な演出だった。
序幕で既にボリスが登場し、その息子フョードルは重度の障がい者だ。彼と乳母はボリスの娘クセニアの友人という設定!え?姉弟ではないのか?

フョードルは黙役で歌はMsが歌う。
と同時に彼は聖愚者でもあり、その歌はTnが歌う。

全く、何をどう補えば合理的に受け止められるのだろう。

つまり、筋書きは荒唐無稽なので、なまじ知識が邪魔して少しも頭に入らない。

ボリスは僭称王に追い詰められ息子を殺す!これも原作を大きく逸脱した演出で吃驚。

僭称王は、逆さ釣りのボリスの心臓にナイフを入れ、滴る血をグラスで飲む。なんてこった!猟奇ドラマか!

ま、オペラ観賞史上最悪の作品だった。胸糞悪し!

♪2022-175/♪新国立劇場-12

2022年11月20日日曜日

新日本フィル:沖澤のどかのブラームス

2022-11-20 @みなとみらいホール



沖澤のどか:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
大西宇宙:バリトン*

モーツァルト:フリーメイソンのための葬送音楽 K. 477
マーラー:亡き子をしのぶ歌*
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 op. 98


一昨日のすみだトリフォニーでの定期とそっくり同じプログラムをみなとみらいホールで聴く。

すみだトリフォニーも響の良いホールだが、暗色中心のデザインが、音を曖昧にするのだろうか?


みみHの明るさと比較するとホールの明るさも聴き心地に影響するなと思ったよ。

すみだトリフォニーは、1階の傾斜が小さいので前の席が邪魔して舞台の見通しが悪い。そんな事情も響に影響しているような気もする。

これらは気分の問題だが、もっと確実な違いがあるのだろう。
設計や材料など、何が音の違いに表れているのか分からないが、確実に違う。

その違いを映像で言えば、画素数の違いかな。
2Kと4Kの画像のように遠くで見ればほぼ区別はつかなくとも近くで見れば鮮明さがはっきりする。

音も同様で、遠くで聴けばホールの違いによる響の違いをあまり感ずることはないと思うが、ある程度音源に近づくと違いが明らかになる。近づき過ぎても分からないだろう。

この違いが分かるエリアこそ「いつも聴きたい最良席」だ。

すみだトリフォニーでも素晴らしかった弦の響は、今日はもっと繊細で明瞭だった。
大西宇宙の歌唱も生々しく、言葉の末尾の息も聴き取れた。

アンサンブルも3日目で益々磨きがかかっていたと思う。

それにしても沖澤のどか。要注目!

♪2022-174/♪みなとみらいホール-06

2022年11月19日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第381回定期演奏会

2022-11-19 @みなとみらいホール


小泉和裕:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

オネゲル:交響曲第3番「典礼風」
ベートーべン:交響曲第3番変ホ長調Op.55「英雄」


記念演奏会を別にすれば、ホールリニューアル後最初の神奈川フィル定期だ。
それでオネゲル交響曲第3番「典礼風」を持ってきたのか。

小泉師はお好きらしく昨年都響でも取り上げた。
その時も今回も楽しめなかったがオケは善戦。

メインは「3番」繋がりかベートーベン交響曲第3番。これはとても良かった。

冒頭和音強打2発の後の低弦が美しい。
ホールリニューアル後のオケ(神フ-N響-神フ)演奏を聴くのは今日で3回目だが、いずれも一番肝心な弦の美しい響がリニューアルで全く損なわれていないばかりか、むしろ、弦の繊細さが明瞭になった気もするが、たまたまそんな気がしたのかも。ホール内が明るくなったのも影響しているかもしれない。

「3」尽くし(第3番-♭♭♭-3楽章-ホルン3重奏)の出来はとても良い!とは言わないけど、いつもケレンのない正統的で安心できる小泉師のタクトに石田組長以下素直に乗って初定期を上出来に飾った。
これからもこのホールで3オケ(神奈川フィル/日フィル/読響)の定期が聴けるのはホンに嬉しい。


😡ところで、上層階のプロレスリングみたいなワイヤが残念。
僕は1階席だが、2階や3階が好みという人もいるのだ。
オケが輪切りにされては音楽に集中できないだろう。

因みに今日のP席は最前列のみならず2列めも含め、お客は1人だった。希望者の席替えの結果だろう。

#横浜市文化振興課!善処せよ!

♪2022-173/♪みなとみらいホール-05

2022年11月18日金曜日

新日本フィル:すみだクラシックへの扉#11

2022-11-18 @すみだトリフォニーホール



沖澤のどか:指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
大西宇宙:バリトン*

モーツァルト:フリーメイソンのための葬送音楽 K. 477
マーラー:亡き子をしのぶ歌*
ブラームス:交響曲第4番ホ短調 op. 98



「フリーメイソンのための葬送音楽」は初聴き。
「亡き子をしのぶ歌」は6年ぶり…って初めてのようなもの。いずれも追悼曲らしい穏やかな音楽だった。

この前半で、今日の新日フィルがただならぬ音を出していたのでブラームス交響曲第4番に期待が高まったが、冒頭の旋律で、即、沖澤のどかの懐中に嬉しくも引き込まれた。

いや、これは彼女の采配も良かったのだろうけど、オケが本来の実力を遺憾なく発揮したということだろう。

ブラームスの交響曲には、旋律を幾つかのパートで繋いでゆくものが多い…ような気がするが、少なくとも4番の出だしは3パートでやり取りする。

ここで各パートがぴたりと息が合っていないと、音楽がバラバラになり気持ちが乗れないのだが、今日の沖澤のどか+新日フィルは見事な導入だった。

第4楽章の管楽器によるシャコンヌ主題も胸のすく響だ。

とにかく、今日は木管+金管の交わりが美しい。
管と弦の交わりが美しい。
特に後者はどのオケでも滅多に味わえないが、今日は管弦が溶け合って甘い響が。

最近、僕の中ではヒットを連打している感じの新日フィルだが、今日は格別だった。
しかし、不思議に包まれている。
どうしてこんなに美しいアンサンブルができるのか?
N響よりも美しく聴こえるのはどうしてか?

実は同じプログラムを20日にみなとみらいホールでも聴く。
どんな響を聴かせてくれるかとても楽しみだ。

♪2022-172/♪すみだトリフォニーホール-08

2022年11月13日日曜日

NISSAY OPERA2022 オペラ『ランメルモールのルチア』

2022-11-13 @日生劇場



指揮:柴田真郁
演出:田尾下哲
読売日本交響楽団
グラスハーモニカ(アルモニカ):サシャ・レッケルト

ルチア⇒森谷真理
エドガルド⇒宮里直樹
エンリーコ⇒大沼徹
ライモンド⇒妻屋秀和
アルトゥーロ⇒伊藤達人
アリーサ⇒藤井麻美
ノルマンノ⇒布施雅也
泉の亡霊(助演)⇒田代真奈美


オペラ『ランメルモールのルチア』
全2部3幕(原語[イタリア語]上演・日本語字幕付)
作曲:ガエターノ・ドニゼッティ
台本:サルヴァトーレ・カンマラーノ

予定上演時間:3時間
第一部
第Ⅰ幕 40分
 休憩 20分
第二部
第Ⅰ幕 40分
 休憩 20分
第Ⅱ幕 60分


2年前の11/14にコロナ対策版「ルチア」をほぼ同キャストで観たがこれが最悪。
180分を90分に、3幕を1幕に縮め、舞台に登場するのはルチアと亡霊だけ。他の歌手は舞台袖に。
観ているのも惨めな気分になったが、スタッフも捲土重来を期して今回は「完全版」。

とはいえ、相変わらず合唱団は歌う時はマスク。マスクしたまま乾杯ってなんだよ。マスクするより検査しろ!
…という残念な問題は引き摺ったままだったが、舞台装置は「本格的」になって、狂乱の場には何故か、是非とも欲しい(そういう演出が多いから…)「階段」も用意された。

演出的にはライモンド(妻屋)をどう描くかで、筋書きが明確になると思うが、これが成功している例を知らない。今回も日和見ですっきりしなかったのと、亡霊の出番が多すぎて物語の全体像が希薄に。

その他は、狭い舞台を有効活用して日生版らしい「ルチア」として上々の出来だったと思う。

期待するのは歌唱。それも当然、ルチアの「狂乱の場」。

アリアだけでも13分位か。
続く重唱を含む一連の「シーン」まで含んで約20分。
超絶技巧含みほぼ歌い詰め。
森谷真理は破綻なく歌い切った。
胸掻き毟られるような感情の昂りは催さなかったが、ま、歌い切るだけでも凄い事だよ。

♪2022-171/♪日生劇場-01

2022年11月12日土曜日

NHK交響楽団1968回A定期 11月公演

2022-11-12 @NHKホール


井上道義:指揮
NHK交響楽団

伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調 作品93



伊福部「シンフォニア・タプカーラ」は4年ぶりだった。その時が初聴きだったが、非常に面白い楽しい音楽だ。
今回は、N響の一層精緻な、かつ、ダイナミックなアンサンブルで、この傑作を聴くことができてとても良かった。
アイヌの祭りを描いているようだが、和風の旋法も混じっているような気もする。
この元気一杯の音楽を聴いていると、心身ともに健康が回復するような気さえしてくる。

メインがショスタコヴィッチ交響曲第10番。
井上道義、得意中の得意とか。

ショスタコの交響曲でよく聴くのは5番が抜きん出て多いが、記録を見たら、10番が2位に付けている。そういえば、今年も2回目だ。
そのくせ、さっぱり覚えていないというか、なんにも思い出すところがないな、と思いながら聴いていた。でも、其処此処にショスタコ印がばら撒かれているのは良く分かる。

今日のNHKホールも、ミューザほどではないにしても響が重かったが、それがむしろ、アンサンブルに重厚感を与えて、この音楽にふさわしかったのではないかと思った。

良い出来栄えに、ショスタコには正装に着替えて臨んだ井上センセも大満足の体。もちろん客席も。

いつもながらサービス精神に溢れたパフォーマンスで客席も大いに沸く。幸せな気分で帰途につく。


♪2022-170/♪NHKホール-03

名曲全集第181回 次世代を担う2人がベルリオーズ&ラヴェルの傑作を披露

2022-11-12 @ミューザ川崎シンフォニーホール



川瀬賢太郎:指揮
東京交響楽団
三浦謙司:ピアノ*

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」op. 9
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調*
ベルリオーズ:幻想交響曲 op. 14
------------------------------
ドビュッシー:月の光*


ほぼ1年前にカーチュン・ウォン指揮神奈川フィルとブラームスのピアノ協奏曲を聴いたのが三浦謙司の初聴き。
その時は三者の心地よい緊張感が好印象だった。
その日のピアノの音について、特に美しかった事を感想に記録している。「この音色があって初めてPf協は面目躍如だ。」と。

三浦についてはよく知らなかったけど、最近、クラシック倶楽部が取り上げた際に彼の異色の経歴を知って驚き、今日を楽しみにしていた。

演奏はカチッとして、オケともスリリングなやり取りをしていたと思うが、残念なことに、今日のミューザのピアノの音の重い事には驚いた。

前回、三浦謙司を聴いた時のピアノの印象。
「低域はジーンと響き、中域はカーンと抜け、高域はコロコロと輝かしい。」と書いている。
今日は信じられない事に「ドンドン、コンコン、トントン」だった。

ま、サントリーのピアノ程酷くはないけど。

オケも全体に重い響だったけど、こちらは、メリハリ利かせた演奏で上等。

幻想交響曲でハープ2台を舞台前方に対峙させたのは楽しくなかった。
第2楽章しか出番がないから、出番が終わったら、楽器を舞台に残して(まあ、やむを得ないけど。)2人共退出してしまった。その楽器が視界を遮り邪魔なこと!

みなとみらいホールのバルコニーは舞台上の奏者を輪切りにするが、今日のハープ2台はその奥の奏者を短冊切りにした。

それにせっかくスター扱いなのにマスクするかね…!













♪2022-169/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-39

2022年11月8日火曜日

みなとみらいアフタヌーンコンサート2022後期 ドス デル フィドル 石田泰尚 & 﨑谷直人

2022-11-08 @みなとみらいホール


ドス デル フィドル
 石田泰尚:バイオリン
 﨑谷直人:バイオリン
伊藤ハルトシ:チェロ、ギター
園田涼:ピアノ
小山尚希:ベース

フォスター:金髪のジェニー
〜ピアノ interlude
クライスラー:テンポ・ディ・メヌエット
クライスラー:美しきロスマリン
〜ピアノ interlude
ピアソラ(篠田大介編):鮫
ピアソラ(篠田大介編):オプブリビオン
ピアソラ(篠田大介編):ブエノスアイレスの四季から冬
ピアソラ(林そよか):リベルタンゴ
〜ピアノ interlude
ビバルディ(大橋晃一編):四季メドレー夏・秋・冬・春
PENICILIN(大橋晃一編):ロマンス
LUNA SEA(大橋晃一編):END OF SORROW
XJAPAN(篠田大介):ENDLESS RAIN
X JAPAN(大橋晃一編):紅
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TM.Revolution:THUNDERBIRD
仁義なき戦い〜テーマ


バイオリン・デュオに数曲ゲストが入るのかと思っていたが、最初の不似合いな可愛らしい小品以外は5人組だった。

エレキギターにエレキベースが加わるので、バイオリンとピアノもマイクで収音し大きなスピーカーから拡声した。

実は、全編睡魔との戦いだったが、睡魔が負けてくれたのはその拡声に覚醒せざるを得なかったから。

ピアソラの数曲とビバルディの四季を除けば全く知らない曲ばかり。
四季にしても4曲からさわりを集めて極端にコンパクトに編曲してあり、これは何?

この編成、ロックバンドという程でもなく、ジャズでもなく、これをみなとみらいホールで聴くかなあ、と疑問だった。

石田氏もあまりあれこれ広げない方がいいのでは?

♪2022-168/♪みなとみらいホール-04