2022年9月30日金曜日

東京都交響楽団 第953回 定期演奏会Aシリーズ 【別宮貞雄生誕100年記念:協奏三景】

2022-09-30 @東京文化会館


下野竜也:指揮
東京都交響楽団

南紫音:バイオリン
ティモシー・リダウト:ビオラ
岡本侑也:チェロ

別宮貞雄:チェロ協奏曲《秋》(1997/2001)
別宮貞雄:ビオラ協奏曲(1971)
別宮貞雄:バイオリン協奏曲(1969)


別宮貞雄の協奏曲ばかり3本立て。
歌曲以外、生では聴いた憶えなし。
映画音楽も手掛けていた筈だと調べたが、ロクでもない映画ばかり。

御本人は無(非)調(性拡大)音楽には批判的だったと読んだが、3曲とも歌えるような旋律は部分的なので吉松センセ程徹底していない。

プログラムはチェロ協奏曲〜ビオラ協奏曲〜バイオリン協奏曲の順で組まれていたが、ちょうど作曲とは逆順だった。その間32年。近年の作程難しいかと思ったが、むしろ逆の印象を受けた。割と素直に聴いたが、正直なところ、独特の形式感には振り回された感あり。

独奏者はいずれも熱演。特に、音楽の面でも一番共感できたビオラ協のティモシー・リダウトは◎。もちろん、岡本侑也・南紫音両君も◯。

終演時のカーテンコールに独奏者3人が呼ばれて舞台に並んだのは良かった。若い才能が輝かしく、客席も良い雰囲気で終演した。

都響は3曲とも弦12型(但し低域重視)と珍しく小振りだった。協奏曲でもこれまでは大抵14型だったと思う。
これが良かったのではないか。どの部門もキリリと締まって良いサポートぶりだった。

♪2022-139/♪東京文化会館-12

2022年9月28日水曜日

読響第6回川崎マチネーシリーズ

2022-09-28 @ミューザ川崎シンフォニーホール


鈴木優人:指揮
読売日本交響楽団
アレクサンドラ・ドヴガン:ピアノ

J.S.バッハ(ウェーベルン編):6声のリチェルカーレ
モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番*
ベートーベン:交響曲第5番「運命」
----------------------
ラフマニノフ:前奏曲 Op.32-12


J.S.バッハの「音楽の捧げもの」と「フーガの技法」を繰り返し聴いていた時期があって、今日は、そのうち前者から「6声のリチェルカーレ」をやるというのが、楽しみと不安のないまぜ。

蓋を開けたら、案の定、主旋律を管楽器でズタズタにしたウェーベルンの編曲はガッカリ。これは自分の楽しみのために編曲したのではないか。
いっそ鈴木優人が編曲して弦楽合奏でやれば良かった。弦は10型。サイズ良しと思うが。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番を初来日のアレクサンドラ・ドウガンが弾いた。えらく若いなと思って後でプログラムを読んだら15歳だという!どうりで”童顔”。
弦10型のまま、というのは潔し。

一昨日のリリスでの阪田くんのピアノと比べるとドウガンが弾くのはまるでフォルテピアノの如し。
ま、それが小編成のオケとは良いバランスで、この時代の音楽はこんな風に聴こえたのかもしれないと思いつつ、穏やかな時間を過ごした。

アンコールのラフマが当然ながら弾き方も含めモダンな音楽になっていて対比ヨシ。

「運命」は弦12型。前回、一昨年11月の鈴木優人+読響は10型だったからこれでも大きくなった。都響なんか16型でやるものなあ。

今日の3曲全体共通して、演奏は、コテコテしないで、あっさり爽快で、この時代の音楽だから当然とはいえ、僕は好みだな。

♪2022-082/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-20

2022年9月26日月曜日

横浜18区コンサート 後期 山根一仁 X 阪田知樹

2022-09-26 @リリスホール



山根一仁:バイオリン*
阪田知樹:ピアノ

ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
フローラン・シュミット:ワルツ・ノクターン第1番op.31-1
稲森安太己:Motus intervallorum(Just Composed 2020 Winter 委嘱作品)*
ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
プロコフィエフ:バイオリン・ソナタ第2番ニ短調 op.94bis*
------アンコール------
プロコフィエフ:3つのオレンジへの恋から「行進曲」*
(無印はPfのみ)



横浜18区コンサート後期。
9月からは前期までの独奏+弦楽五重奏で協奏曲をメインに据えるというスタイルが変わった。今回はバイオリンXピアノという編成だ。

前回の毛利文香X小林海都を体調不良でサボったので、今日は後期の1回目。

本郷台駅そばのリリスホールで聴くのは3回目で、前回が山根くん+新日フィル五重奏。その前も管・弦室内楽だった。

ゆえに、このホールでピアノを聴くのは初めてだった。

ボサボサ髪の阪田くんがのそーっと登場して一礼するや間を置かずラヴェルを弾き始めたが、その音色の明瞭なることにまずは吃驚。

過去2回で響きの良いホールだとは知っていたけど、これ程まで美音なのは珍しい。

ピアノが鳴るというより、ピアノ発音のメカニズム全体が音を発している…って妙な例えだな。体力に自信のない身には怖い位に音が突き刺さってくる。
こうなると、もうその「音」自身が魅力なので何を聴いていてもワクワクしてくる。

18区シリーズには横浜所縁の奏者が多く、今日の2人も生まれは違うが横浜育ちで、中盤からは2人が子供時代の思い出も交えて曲の説明に入り、まずはバイオリンとピアノの為の実験的な作品を演奏した。

山根くん曰く、楽器を壊す以外はなんでもありという、多様な技術を駆使した超難曲だった。

メインのプロコのソナタ2番は生では初聴き?だったが、「実験曲」の後では、抵抗感なく(これも難しそうだが)楽しんだ。

それにしても響きの良いホールだ。同じ横浜市区民文化センターの仲間にはフィリア、かなっく、サルビア、ひまわりの郷、戸塚さくらプラザなど音の良いホールが揃っているが、ひょっとして1等賞かも。

♪2022-137/♪リリスホール-01

2022年9月25日日曜日

名曲全集第179回 原田慶太楼が誘う、吉松隆の世界

2022-09-25 @ミューザ川崎シンフォニーホール



原田慶太楼:指揮
東京交響楽団
宮田大:チェロ*

吉松隆:チカプ op. 14a(管弦楽版)
吉松隆:チェロ協奏曲「ケンタウルス・ユニット」 op. 91*
吉松隆:カムイチカプ交響曲(交響曲第1番)op. 40


全曲吉松隆作品。それもチェロ協奏曲や交響曲といった大作を含んでいる。
この人の作品名には鳥や星を含むものが多いが、今回の”チカプ”もアイヌ語で”鳥”の事らしい。”ケンタウルス”は勿論星座。

全部初聴きだったが、「現代音楽撲滅」を主唱?する人だけあって耳に馴染みやすい。

宮田大が独奏を受け持ったチェロ協奏曲が一番面白かった。
何しろ本気の協奏曲で、演奏時間33分。
ありとあらゆるテクニックを駆使した難曲のようだったが、終楽章は何故か服部隆之「真田丸」を彷彿とさせた。

オケも快調でVc独奏に管弦打各部門の掛け合いを含め、協奏の面白さを味わった。

後半が交響曲第1番。
という訳だが、既に2曲聴いて感じが似ているので、この45分はツラい。途中(3楽章)に少し賑やかな部分はあるが、全体として眠りを誘うような曲調が続いて危なかった!

しかし、ここでも東響の演奏は、全く破綻を感じさせなかった。

さて、原田氏の指揮を聴くのは7回目だが、いまだ王道のドイツ(語圏)音楽を聴かず!

♪2022-136/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-37

2022年9月22日木曜日

日本フィルハーモニー交響楽団 第380回横浜定期演奏会

2022-09-22 @県民ホール


小林研一郎:指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
周防亮介:バイオリン*

チャイコフスキー:バイオリン協奏曲 ニ長調 op.35
チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》ロ短調op.74
--------------------
タレガ:アルハンブラの思い出*
アイルランド民謡:ダニーボーイ(弦楽合奏版)


チャイコ2本立て。
前半は周防(スホウ)亮介でバイオリン協奏曲。
これまで何度か聴いて良い印象は一度も持てなかったのに、今日はどうしたことか、独奏バイオリンの何と明瞭で美しいこと。
昨日のJ.エーネスとN響に聴かせたい。
これぞ協奏曲の面白さ。支える日フィルのうまいこと。

県民ホールのやや硬めの反響が余計に周防のバイオリンを引き立てたかもしれないが、こんなに独奏バイオリンが見事なのはなかなか例がない。

休憩中に日フィル君に、ありゃマイクで集音して拡声しているのではないか!と詰め寄ったら、とんでもニャアですと否定された。ま、そうでしょ。ちょっと言ってみただけ。


後半の「悲愴」も上出来。
コバケンせんせは体調を壊して申し訳なかったと言っていたけど、黙ってりゃ分からないのに。

前半12型から超拡大の16型。
広い舞台の両翼まで弦が並んだ。
弦は多けりゃいいってもんじゃない。むしろ少ない方が安全。
しかし、今夜の日フィルは16型ならではの迫力を聴かせた。ほぼ、終始透明感を保った。

管部門(ホルンの出来はイマイチ)も良かった。特にオケにおける木管の良い働きを再発見した思い。分けてもフルートが柔らかく他の木管や弦との混ざり具合も絶妙な響きだった。そうそう、シンフォニー(交響)ってこうでなくちゃ。

今季からN響と共に終演時カーテンコールの”静止画”撮影OKになったが、お嬢さん方、マスク外してね。

♪2022-135/♪県民ホール-13

2022年9月21日水曜日

第1964回 NHK交響楽団 定期公演 B-1

2022-09-21 @サントリーホール


ファビオ・ルイージ:指揮
NHK交響楽団
ジェームズ・エーネス:バイオリン*

ベートーベン:バイオリン協奏曲ニ長調 作品61
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 作品73
------------------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリン・ソナタ第3番第3楽章 Largo*


前半、ジェームズ・エーネスの独奏でベートーベン:バイオリン協奏曲。弦編成は14型。 

エーネスは放送で何度も聴いているが初生は偉く印象が違った。
もっと派手な演奏をするのかと思っていたけど、工場の3S(整理・整頓・清潔)だ。
アンコールで披露した穏やかなバッハ無伴奏ソナタLargoを聴いて、なるほどと思った。

後半、16型に拡大してブラームス交響曲第2番。
意図したかどうかニ長調繋がりだ。

この曲は、冒頭の低弦〜ホルン〜木管のリレーが難しい。
実際、ここを緊張感を漂わせながら心地よくこの長大曲に引き摺り込んでくれる演奏は少ない。
4曲中、最も出だしの難しい曲だと思う。
ま、今日の僕は、そこで躓いた。

それに今日のサントリーは(も)響きがイマイチ。
管楽器に明瞭さが不足する一方、高域弦は喧しい程キンキン鳴る。

ルイージのブラームスを生で聴くのは初めてで、楽しみにしていたが、最後までシンクロできなかったから今回は勝負なし。

でも、過去に何度も好感している(先日のヴェル・レクも!)ので、これからの名演に期待しよう!

♪2022-134/♪サントリーホール-09

2022年9月18日日曜日

東京交響楽団川崎定期演奏会 第87回

2022-09-18 @ミューザ川崎シンフォニーホール


アジス・ショハキモフ:指揮
東京交響楽団
ティーネ・ティング・ヘルセット:トランペット*

ドビュッシー:「管弦楽のための映像」から“イベリア”
トマジ:トランペット協奏曲*
プロコフィエフ:交響曲第5番変ロ長調 Op.100
-------------------
オーレ・ブル:ラ・メランコリー*


A.ショハキモフという指揮者って知らんなあ、と思っていたら、2015年「熱狂の日」に彼の指揮でデュッセルドルフ響を2日間聴いていた。そのおりも、今日も好感を持った。

トランペット独奏のT.T.ヘルセットは初顔。
冒頭ソロにわずかな瑕疵が。残念。
作曲者のトマがパリ音楽院に楽譜を提出した際に演奏不可と言われた難曲だそうだが、その後は軽々とこなしていたように思う。しか、そもそもがあまり楽しい音楽じゃなかったね。

そのトランペット協奏曲は弦の編成が10型と小編成だったが、前後2曲は16型の大編成。しかし今日の東響はそんな大勢がガリガリやっているとは思わせない程、良く協和していた。ミューザの響の良さも手伝っていると思うけど。

メインのプロコフィエフ交響曲第5番も上出来。
この曲では打楽器も面白い。
終盤を盛り上げる銅鑼(サイズが色々あるが今日使われたもの)は、最大級ではなかっただろうか?

♪2022-133/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-36

2022年9月16日金曜日

東京フィル第974回サントリー定期シリーズ

2022-09-16 @サントリーホール


アンドレア・バッティストーニ:指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

リスト(バッティストーニ編):『巡礼の年』第2年「イタリア」から
 第7曲 ダンテを読んで―ソナタ風幻想曲(管弦楽版)
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調


個人的には10月ぶりのバッティ登場。前回は自作フルート協奏曲/チャイコフスキー交響曲第5番の組合わせ。
今回も似た趣向で、自らの管弦楽編曲でリスト「巡礼の年第2年〜」/マーラー交響曲第5番の組合せ。
前者の原曲は数回聴いているだけで馴染んでいないせいもあって、楽しむに至らず。編曲の巧拙は特に感じず。

マーラー5番は冒頭のトランペット・ソロ〜ホルンの旋律が先ずは聴き処だけど両者とも素晴らしい名演というのはなかなか巡り会えず。今回もトランペットは心配しながら…。ホルンはとても良かった。

さて、全体に《これと言って不満もなかった》が、東フィルの実力を出し切っていないと思ったね。
もっとすごい演奏ができるはずなのに!

いつもマーラーの終曲後はしばし疎外感を味わう。
前にも書いたが、どこのオケでもマーラーを演るといつもカーテンコールで客席は熱狂する。
悪くはないけど、彼の音楽で熱狂するくらいなら、ブラームスやベートーベンならバタバタ卒倒して死人が出てもいいくらいだと…いつも思うので、熱狂の輪に入れない。

♪2022-132/♪サントリーホール-16

2022年9月13日火曜日

ランチタイムコンサート 弦楽五重奏で送る、東響楽員が選ぶ日本の名曲・歌謡曲

2022-09-13 @ミューザ川崎シンフォニーホール



東京交響楽団 弦楽五重奏
 バイオリン:田尻順、清水泰明
 ビオラ:青木篤子
 チェロ:伊藤文嗣
 コントラバス:北村一平

あなたのキスを数えましょう(小柳ゆき)
少年時代(井上陽水)
壊れかけのRADIO(徳永英明)
あずさ2号(狩人)
SAY YES(CHAGE and ASKA)
秋桜(山口百恵)
-------------------
不詳


東響メンバーの五重奏で、日本の名曲・歌謡曲。つまり昭和のヒットソング…
なのだけど、アンコール含めて演奏された7曲中、知っていたのは「少年時代」、「あずさ2号」、「秋桜」のみって!我ながら世間とのずれ方に驚くよ。

MCを聞き間違えたかもしれないが、全曲をメンバーが編曲したらしい?

そのせいか、いずれも編曲の妙を感じなかった。
先日の石田組のアレンジは唸らせたけどなあ。

バッハ調とかモーツァルト風にやってみるとか、ベートーベンの断片が織り込んであるとか、クラシック演奏家が手がけるなら、そういう洒落た遊びが欲しかった。
でなくて、歌謡曲を五重奏で聴いても格別の感興は得られず。

♪2022-131/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-19

2022年9月10日土曜日

NHK交響楽団1962回A定期 09月公演

2022-09-10 @NHKホール



ファビオ・ルイージ:指揮
NHK交響楽団

ソプラノ:ヒブラ・ゲルズマーワ
メゾ・ソプラノ:オレシア・ペトロヴァ
テノール:ルネ・バルベラ
バス:ヨン・グァンチョル
合唱:新国立劇場合唱団

首席指揮者就任記念
ヴェルディ:レクイエム
Ⅰ レクイエムとキリエ
Ⅱ 怒りの日
  1 怒りの日
  2 不思議なラッパの音
  3 書きしるされた書物は
  4 哀れな私
  5 みいつの大王
  6 思い出させたまえ
  7 私は嘆く
  8 判決を受けた、のろわれた者は
  9 涙の日よ
Ⅲ 奉献唱
Ⅳ 聖なるかな
Ⅴ 神の小羊
Ⅵ 永遠の光を
Ⅶ われを許したまえ



コロナ休演もあり、昨年2月以来1年7月ぶりのNHKホール。
見た目には座席と床が綺麗になったくらいだが、一部柱の構造が変わって0.2秒程残響が伸びたそうだ。ま、それも耳じゃ判断できない。
ともかく、僕としてはNHKホールのN響が一番好きだから、再開場は嬉しい。

そして今日は今季初日。Fルイージの首席就任第一夜で、それにふさわしくプログラムもヴェルディ「レクイエム」。
見渡す限り埋め尽くされた客席には開演を待つ間も高揚感が漲っていた。個人的にはなんと3年ぶりのヴェル・レクだ。

冒頭のミュート付きチェロとバイオリンのppから合唱が静かに乗って聴き慣れた旋律が始まると何やら厳かな気分に。
やがて「怒りの日」ではアドレナリン全開だ。

最初から最後迄、引き締まった名演だった。
N響の気合がいつもと全然違う。

新国合唱団は前日の三鳥では40人足らずだったが今日は倍増で大迫力(と言ってもコロナ前は100名以上が普通だったけど。)

独唱陣もメゾソプラノとバスがやりすぎの感があるくらいの迫力。

手抜きなしの本物の音楽を聴いたという満足感。

今季からカーテンコール時の撮影がOKになった。
SNS時代に遅きに失した感があるが良き哉。

マスクを装着した弦奏者は全体の1割程度と少ない。無意味なマスクは外そうよ!警察に追われているのかと思うよ。

♪2022-130/♪NHKホール-01

2022年9月9日金曜日

東京都交響楽団 第956回 定期演奏会Bシリーズ

2022-09-09 @サントリーホール



大野和士:指揮
東京都交響楽団

ソプラノ:小林厚子 
アルト:山下裕賀
テノール:福井敬 
バリトン:妻屋秀和
オルガン:大木麻理 
合唱:新国立劇場合唱団 

ドボルザーク:交響曲第5番 ヘ長調 op.76
ヤナーチェク:グラゴル・ミサ(1927年第1稿)


8日未明のApppleEventで明方まで起床。ここからサイクルが乱れ睡眠不足のまま今朝の都響のチケ取りを済ませたらホッと寝入った。

前半に間に合わず、後半から入ったがグイグイと面白いほど脚を引っ張られて楽章切れ目には不思議と目が覚めたが、結局何も聴いていなかった😴🥱🫠

こういうのを「観賞記録」に載せるのもいかがなものかと思ったけど、まあ、いいか。
ここまでぜんぜん耳に入らなかったのは何十年ぶりのことだもの。

♪2022-129/♪サントリーホール-15

2022年9月6日火曜日

石田泰尚スペシャル 熱狂の夜 第5夜《コンチェルト》グラス&マルサリス

2022-09-06 @ミューザ川崎シンフォニーホール


川瀬賢太郎:指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団

石田泰尚:バイオリン

フィリップ・グラス:バイオリン協奏曲第1番
ウィントン・マルサリス:バイオリン協奏曲
------------------------
ナイジェル・ヘス:「ラベンダーの咲く庭で」から「テーマ」、「幻想曲」
井上陽水:少年時代


5月から始まって今日で最終夜。神奈川フィルと一緒に現代のバイオリン協奏曲2曲。いずれも初聴き。

フィリップ・グラスの作品の方は、いわゆるミニマルで面白くない。生理に訴えるが理性や感性には届かない。
劇伴音楽としては一定の効果があるが、鑑賞用音楽ではなかろう。

マルサリスの長尺協奏曲は、ラテン風、ジャズ風、クラシック風と、玩具箱をひっくり返したような多様性とサービス精神に溢れた大作で、見た目にも面白い。
随分久しぶりにスーザフォンを見た。
独奏VnのカデンツァとDrumsの協演もスリリングだった。
グラス作品よりVnは難曲のようで、聴き応えもあり。

ともかくも、この2作を1人で弾き終えるということは技術もエネルギーも大変なことだったと思う。
神奈川フィルも我らが大将をしっかりサポートして見事だった。

が、アンコールが、これは当然お客へのサービスなのだが、甘い。
グラスとマルサリスの後で「ラベンダーの咲く庭で」なんか、古澤巌に任せておけば良かろう。麦わら帽子を被り、虫取り網や籠を持って登場するかね!

最終日ということもあり、終演後は一部のひねくれ者(It’s me.)を除いて、総立ちでの拍手喝采。

本編は好き嫌いは別として良かったよ。
でも、結局、組長のファンのおばあさん、おばさん、おねえさんと少数男子の為の演奏会だったんだなあと実感して急に疎外感を覚えて冷めた。

♪2022-128/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-34

2022年9月5日月曜日

明電舎Presents N響名曲コンサート2022

2022-09-05 @サントリーホール


沼尻竜典:指揮
NHK交響楽団
金川真弓:バイオリン*

シベリウス:交響詩「フィンランディア」作品26
ブルッフ:スコットランド幻想曲 作品46*
ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 作品98
------------------
J.S.バッハ:無伴奏バイオリンソナタ第3番ハ長調 BWV1005 第3楽章Largo*
ドボルザーク:スラブ舞曲ホ短調 作品72-2


金川眞弓が目的だった。これまでに都響4回、N響1回聴いて、全てに満足。では十分ではなく、何か、幸福感に包まれる思いがしていた。それがなぜか分からない。テクニカルな技量だけなら他にも名手はいくらも居ると思う。こういう理解不能の状況は好ましくない。

いずれ、残念に思う時が来るなら、さっさと来てくれた方が落ち着く。と思って、6連勝を期待しながらもそれはあるまいという妙な心持ちで臨んだ。
しかし、始まってみると弱音でスーッとオケに乗った途端、やられたかも…と思った。やはり、佇まいがいい。弾き方が端正だ。

それはアンコールのバッハの無伴奏〜に端的に表れていた。なんて素直なLargoだ。
これが彼女の持ち味なんだなと、ちょっと肉薄した気になった。

さて、N響だけど、流石にうまいな。
フィンランディアの冒頭、ブラ4の2楽章の頭の金管など痺れるよ。しかし、ブラ4で特に目立った残念が、やはり高域弦のキンシャリだ。

でも、これはN響のせいばかりではない。
僕が、金川眞弓にかぶりつこうと、かつて経験したことがないサントリーの1桁列で聴いたから。
2桁以降で聴けばもう少しまろやかになったはずだ。
もう懲りたから今後こんなに前方では聴かない。

沼さんの指揮ぶりは好感度大。フィンランディアのテンポ!潔い速さだった。

しかし、オケアンコールのスラブ舞曲は止めといた方が良かった。ざわざわして透明感なく、全く美しくない。ブラームスの4番をやった後でもう、みんなも疲れていたのではないか。スコ幻を弾き終えた後では団員の表情に表れていた満足感がもうすっかりなくなっていたよ。

♪2022-127/♪サントリーホール-14

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 第二部「寿柱立万歳」、「碁太平記白石噺」浅草雷門の段/新吉原揚屋の段

2022-09-05@国立劇場


第二部
●寿柱立万歳
 
太夫⇒竹本三輪太夫
 才三⇒豊竹希太夫
 ツ ⇒豊竹薫太夫
  レ⇒竹本文字栄太夫
    竹澤團七
    鶴澤寛太郎
    鶴澤燕二郎
    鶴澤清方
************************

人形役割
太夫⇒     吉田玉也
才三⇒       吉田蓑一郎

●碁太平記白石噺 (ごたいへいきしらいしばなし)
浅草雷門の段
口 豊竹亘太夫/竹沢團吾
奥 豊竹咲太夫/鶴澤燕三

新吉原揚屋の段
切 豊竹呂太夫/鶴澤清介

************************

人形役割
豆蔵どじょう⇒ 吉田勘一
大黒屋惣六⇒      桐竹勘壽
悪者観九郎⇒  桐竹紋秀
妹おのぶ⇒   吉田一輔
傾城宮城野⇒  吉田和生


Ⅰ部公演では原作の4、5段が、Ⅱ部では6、7段目が上演された。5段目などは51年ぶりの上演だそうで、道理で初めてのはずだ。

ただ、Ⅰ部は、真面目て働き者の農民に降りかかるこの上もない悲劇の連続が、後半の敵討ちの期待を盛り上げて面白いのだけど、Ⅱ部では、Ⅰ部の登場人物が1人しか登場せず、話が繋がっていることは分かっていても、感情移入ができない。

いよいよ敵討ちに出立する段になっても、時機を待てと止められては観客も納得できん。

こんなことなら、第Ⅲ部も通して決着の付く話に仕立てるべきではなかったか。

♪2022-125/♪国立劇場-08

未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立劇場さよなら公演 第一部「碁太平記白石噺」田植の段/逆井村の段

2022-09-05@国立劇場


第一部
●碁太平記白石噺 (ごたいへいきしらいしばなし)
 
田植の段
口 豊竹咲寿太夫/鶴澤友之助
奥 豊竹藤太夫/鶴澤清友

逆井村の段
中 豊竹靖太夫/野澤勝平
切 竹本千歳太夫/豊澤富助

************************
人形役割
庄屋七郎兵衛⇒ 吉田玉也
志賀台七⇒       吉田玉勢
百姓与茂作⇒  吉田玉輝
娘おのぶ⇒   吉田一輔
宇治兵部助⇒  吉田玉志
女房おさよ⇒  吉田簑二郎
金江谷五郎⇒  豊松清十郎


前から告知されていたことだけど、いよいよ9月公演から「初代国立劇場さよなら公演」という冠が付いた。と言っても今月で終わるのではなく来年10月末まで「さよなら公演」が続く。その後建て替えが始まり、再開は2029年の秋だ。なんて長いんだ。7年の空白はツライ。

あちこちの劇場で手分けして公演を続けるらしいが、歌舞伎や文楽にふさわしい舞台構造を持った劇場は首都圏にないはずだから、やると言っても色々制約の多い演出・演目になるのだろう。
第一、7年後僕は健脚・健聴・健眼を維持しているだろうか心配だよ。

「さよなら〜」ということもあって、コロナ禍でできなかった通し上演が(完全ではないが)復活した。コロナの収束宣言は出ないけど、それを待っていたら、第2代国立劇場ができてしまうかも。
今回はⅠ部とⅡ部に分けて「碁太平記白石噺」が通して上演される。
と言っても全11段中4段だけだが。

♪2022-125/♪国立劇場-07

2022年9月2日金曜日

東京シティフィル第354回定期演奏会

2022-09-02 @東京オペラシティコンサートホール



指揮:高関健(常任指揮者)
東京シティ・フィルハーモニー管弦楽団
バイオリン:竹澤恭子*

エルガー:バイオリン協奏曲ロ短調 作品61*
シベリウス:交響曲第4番イ短調 作品63
-----アンコール-----------------
エルガー:愛のあいさつ(オケ伴奏版)*


演奏家の実力なんて本当のところは分からない。
しかし、竹澤恭子は相当な実力者だと思っている。技量だけでなく音楽への入れ込み様にいつもただならぬものを感ずる。この世界、若手の台頭が著しいが、たまにこの人の演奏を聴くと、次元が違うような気がする。

短い前奏が始まるや否や彼女は音楽の世界に没入した。初聴きのエルガー:バイオリン協奏曲はあまりに難しいので演奏機会が少ないのだそうな。
全曲で約52分という長尺を、独奏バイオリンはほぼ出ずっぱり。オケはすっかり伴奏に回っている風。
つまり、協奏曲ぽい絡みはほとんど記憶に残っていない。
オケ伴奏付きバイオリン・ソナタか幻想曲みたい。
構造も掴みにくいのだけど、ずっと最後まで引き込まれた。

今日は残り物に福ありでVn協奏曲を聴くならここしかない、という風な良席だったので、Vn協にしては大編成の弦14型の風圧を直近に受けながらも、それにも埋もれない独奏Vnの変化自在な妙技に飽きることなし。

終曲後は、超大曲の後だし、アンコールは無い方がいいと思ったが、あった。
同じエルガーの愛のあいさつ…は珍しくもなんともないが、オケの伴奏付きは珍しい。

この可愛らしい馴染みの曲を、高関・竹澤コンビとも思えないくらい甘ったるく情緒的に演奏した。お遊び半分お客サービス半分だったか。

生演奏だからと言って、いつも生の音楽の楽しさを味わえるとは限らないが、今日はこれぞ生演奏の喜び。

後半も珍しいシベリウス交響曲第4番。
前半でエネルギー使ったので、この音楽の面白さはイマイチだった。
終楽章の本来チューブラベルを使うところがグロッケンを使ったので、これは音楽を小さくした感じがする。

♪2022-124/♪東京オペラシティコンサートホール-03