2019年10月29日火曜日

横浜音祭り2019 横浜18区コンサート 〜大江薫バイオリン〜

2019-10-29 @かなっくホール


大江薫:バイオリン
管弦楽:カメラータかなっく

ベートーベン:バイオリンと管弦楽のためのロマンス第2番ヘ長調 作品50
ベートーベン:バイオリン協奏曲ニ長調 作品61

大江薫くんが我が家の近所のかなっくホールでベートーベンのバイオリン協奏曲を弾くのは嬉しいが、オケは?カメラータ・かなっく!って何?聞いたことないぞ。

横浜音祭の一環なので、今回の演奏会のために急遽集めた少人数オケだと思っていたら、なんと常設の(主にかなっくホールで演奏活動している)オケで、代表がN響の名物コンマス篠崎史紀の息子で神奈川フィル首席ティンパニー奏者の篠崎史門。メンバーは総勢30人強だった。まずはそれにびっくりした。

かなっくホールは我が家から文字どおり<最寄り>のホールだが、その名を冠したオケがあるとは灯台下暗しだ。

室内楽程度のオケを想定して買った席は、結果的にステージに近すぎて、独奏を聴くには良かったが、オケはもう原音そのままで全体に硬かったが、やむを得ない。

また、大江くんのバイオリンの音色も実に明瞭。当然、音圧高く、息遣いのようなフレーズも聴き取れて臨場感が半端ではない。

さて、協奏曲中、独奏者が名人芸を披露する<カデンツァ>が、今回の演奏では珍しい版が用いられた。
この作品で、ベートーベンはそれを独奏者の腕に任せて自らは書いていない。それで、多くのバイオリンの名人達が作曲したものが残されていて、現在ではそのうちのどれかを採用しており、自ら作曲するとか即興演奏することはないようだ。
そのうちの一つと言っていいか、変わり種としてベートーベン自身がバイオリン協奏曲をピアノ協奏曲に編曲し、その際に自ら書いたカデンツァがある。これはピアノ独奏にティンパニーが加わる。
それを元のバイオリン協奏曲でも使えるようにピアノの独奏部分をバイオリン用に編曲している例がある。

実は昨年5月のN響定期(P.ヤルヴィ指揮、バイオリン独奏⇒C.テツラフ)でベートーベンのバイオリン協奏曲を聴いた際に、テツラフが採用したのが、このカデンツァで、ピアノ版をバイオリン用に編曲したのもテツラフ自身だった。
その事情がN響定期演奏会の会場に掲示してあった。

今回、大江くんが採用したカデンツァもまさにテツラフが演奏したものと同じだった。ただ、ピアノ版からバイオリン版への編曲を誰がしたのかは分からない。会場張り紙には編曲者までは書いてなかった。

問題のN響定期の演奏を録画放映した「クラシック音楽館」の録画を見直したら、そのカデンツァの由緒を史門君のパパが解説してたのは妙な暗合で面白い。

♪2019-166/♪かなっくホール-01