2019年10月13日日曜日

名曲全集第150回 ジョナサン・ノットの「未完成」

2019-10-13 @ミューザ川崎シンフォニーホール


ジョナサン・ノット:指揮
東京交響楽団
ヴァーヴァラ:ピアノ*

アイヴズ:答えのない質問
シューベルト:交響曲第7番「未完成」
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番*
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ブラームス:6つの小品 作品118から第2曲「間奏曲」*

台風19号の余波で開催が危ぶまれたが、10分遅れでもやったのは良かった。いつもよりお客の入りが悪かったのはやむを得まい。

当初は、アイヴズ作品にシューベルト「未完成」を続けて演奏するという木に竹継ぐような…ノットの悪癖に嫌気がさしていた。真面目にやれ!

しかし、初聴きのアイヴズ「答えのない質問」が予期に反してとても真面目な作品で興味深い。徹底的な弱奏を基調とする中に木管が思いがけない答えを用意する。静に始まり静に終わり…間をおかず「未完成」が始まるとそれはシューベルトとアイヴズの世界の混交状態。聴き慣れた旋律が今日は愛おしい。

不思議な感覚のまま入り込んだ第2楽章など、まさに先ほどのアイヴズが再現されているかのようだ。こんな印象的な「未完成」は初めて聴いた。ノットの外連味が今回に限っては功を奏して静寂で接続された両作品がともに味わい深いものとなった。

ヴァーヴァラ(初聴)の独奏でブラームス:ピアノ協奏曲第1番。協奏曲なのに弦の編成は14型から16型に拡大。

ピアノがえらく力強い。
オケも分厚い。
その分、前半2曲のような精緻な透明感は損なわれた。
協奏曲だし14型のままでも良かったのではないかと思うもののそれではあの迫力は出せなかったかもしれない。

厚切りフィレステーキを食べたような満腹感。
加えてアンコールのブラームス間奏曲118-2が心憎い選曲と名演。

♪2019-155/♪ミューザ川崎シンフォニーホール-21