2019年7月7日日曜日

読売日本交響楽団第218回マチネーシリーズ

2019-07-07 @東京芸術劇場大ホール


小林研一郎:指揮
読売日本交響楽団
アンドレアス・オッテンザマー:クラリネット*

ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲
ウェーバー:クラリネット協奏曲第1番ヘ短調 作品73*
ドボルザーク:交響曲第8番ト長調 作品88
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ハンガリーの民謡*
ドボルザーク:交響曲第8番第4楽章から終結部

響きに不満があるので、余程のことがない限りこのホールでは聴きたくないが、今回は、横浜定期が他の用事とダブったために仕方なく藝劇の公演と振り替えてもらった。
振替えの場合は席を選べない。同じランクの中で空いている席があれば振り替えてもらえるという仕組みなのでとやかく言えないが、その振替席は、ここでもS席かと思うような場所だった。

前から10番目はかろうじて許容できるが、Lブロックでしかも壁際から2席目だ。やや舞台中心方向に傾けて並べてあるブロックであるとは言え、それでも背もたれに背中をつけてまっすぐ前を見ると第1バイオリンの第4プルト(前から4列目)が正面だ(指揮者の背中を見るのが理想。)。つまり、オーケストラの左端近くに座っている訳だからバランスが実に悪い。

音のバランスだけでなく、目はどうしても指揮者に向かうので、身体は自然とねじれてくるし、よくまあこんな席でもS席で売るものだ、いや、買う人がいるのが不思議。

と、心中さんざの悪態をつきながら開演を待ったのだけど、ねじれはともかく、演奏が始まってみるとこれが、案外良い感じで聴こえてきた。「雨の日はホールが良く鳴る」とは僕の仮説だが、今日も、藝劇でも、正しかったようだ。

普段は響いてこない、特に弦がぼやけがちのホールなのに、10列目というせいもあったろうが、今日は弦がよく響くこと。
指揮者の右側にいるビオラは遠いというデメリットがあるが、チェロやコントラバスは指揮者越しにこちらを向いているので、見た目のせいか低域弦もそこそこ鳴っているのだ。
これで案外管楽器と弦のバランスがうまくいったようで、当初覚悟していたような悲惨な音響的経験にはならずに済んだ。
とは言え、やはり真ん中の真ん中で聴くのが一番いい。

クラリネット独奏のオッテンザマーはベルリンフィルの来日公演でも聴いているので、これでオケの独奏としては3度目か。室内楽でも聴いたように思うが記録していないな。
アンコールで吹いたのがテクニックの披露だったが、本番のウェーバーではあまり音色の美しさは感じられなかった。

ドボルザークの8番はやはりいつ聴いてもいいなあ、と感じさせる。ブラームスが賞賛したというメロディーメーカーぶりが特にこの8番では発揮されているのではないか。全篇がボヘミアぽい哀愁に満ちているのが素晴らしい。
この頃聴くコバケンは遊びを封印してひたすら正統的だ。

尤も、アンコールでは4楽章終結部を思い切り超速で振って、観客サービス怠りなし。

♪2019-096/♪東京芸術劇場大ホール-3