2016-12-25 @NHKホール
ヘルベルト・ブロムシュテット:指揮
NHK交響楽団
ソプラノ:シモーナ・シャトゥロヴァ
アルト:エリーザベト・クールマン
テノール:ホエル・プリエト
バリトン:パク・ジョンミン
合唱:東京オペラシンガーズ
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調 作品125 「合唱付き」
今年の「第九」の4回目。
ブロムシュテットの指揮でN響を聴くのはこれが3回目。
ベートーベンの作品は前回の交響曲第2番とピアノ協奏曲第5番に次いで2回目の3曲め。
前回の印象では奇を衒わない正統派ドイツ音楽という印象を受けた。
今回は席も良かった。1階席のど真ん中やや前方。楽器の原音と残響とがうまく混じり合って大迫力なのに各パートの音が明瞭に聴き分けられる。そういう事情も手伝ったのだと思うが、音楽の細部がきちんと伝わってくる。
ベートーベンの交響曲、特に「第九」は細かなパーツを丁寧に積み重ねられた大伽藍だ。パーツの各面が正確に磨き上げられていなければ積み上がった構造物も隙間ができぐらついてしまうが、ブロムシュテットのN響に対するトレーニング〜指揮ではまさにどのパートも磨き上げられて美しく響き、積み上がって大伽藍を構成した。
「神は細部に宿る」という言葉を思い浮かべていた。
全曲を通じて、これほどに幸福感を味わいながら音楽を聴く事ができたのは得難い経験だ。
合唱隊だけでなく声楽ソリストも最初から舞台に上がった。それで、楽章間にソリストの入場で音楽の緊張感が損なわれることがなく、しかも、第3楽章が終わると、ほんの一呼吸置いただけで終楽章に雪崩打ったのには胸のすく思いがした。
N響の演奏は、常に上出来とは限らない。しかし、前回の「カルメン」全曲に続き「第九」でもさすがに日本を代表するオケだと感じさせてくれた。
2016-184/♪NHKホール-13