2016年12月7日水曜日

国立劇場開場50周年記念12月文楽公演『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』第二部

2016-12-07 @国立劇場


七段目   祇園一力茶屋の段
八段目   道行旅路の嫁入
九段目   雪転しの段・山科閑居の段
十段目   天河屋の段
十一段目 花水橋引揚の段

(主な出演者)
 豊竹咲太夫
 豊竹咲甫太夫
 鶴澤寛治
 鶴澤清治
 吉田簑助
 桐竹勘十郎
     ほか

第1部と第2部は、一応別の公演なので、記録上も2本に分けて書いておこう。

歌舞伎と文楽で「仮名手本忠臣蔵」を堪能したが、最初は子供の頃から映画やTVドラマで馴染んできた所謂「忠臣蔵」とは大きく異なる話なのに大いに驚いた。

「忠臣蔵」では主人公はほぼ由良助だが、「仮名手本忠臣蔵」ではむしろ加古川本蔵かもしれない。いや、おかると早野勘平も重要人物だ。そして平右衛門も捨てがたい…、などと思い起こしていると、本蔵の後妻戸無瀬も、娘小浪も、由良助の妻・お石もみんな魅力的だ。


人間的魅力に溢れた彼らの心根が絡み合いすれ違いがたくさんの悲劇を生み、それらを乗り越えた暁に本懐が待っているのだ。

彼らの心の有り様を紐解くことこそ仮名手本忠臣蔵の面白さだろうと思う。

文楽としての面白さは七段目にとりわけ心動かされた。
平右衛門が由良助の密書を読んでしまった妹おかるに斬りかかる場面だ。この場面だけ、義太夫、三味線の定位置である舞台上手側に客席に向かってはみ出すように設けられた「出語り床」とは別に舞台下手に「出床」が設けられて、そこで(無本で)語ったのが豊竹咲甫太夫だが、この人の語りはものすごい迫力で、義太夫という芸の面白さを十分に味わった。

余談:
歌舞伎では「塩冶判官」、「由良之助」、「鶴ヶ岡」、「天川屋」
文楽では「塩谷判官」、「由良助」、「鶴が岡」、「天河屋」と表記が異なるそうだ。

♪2016-170/♪国立劇場-11